「米アカデミー賞7部門」オッペンハイマー 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
米アカデミー賞7部門
間違いなく映画史に残る作品かなと思います。唯一の被爆国に生まれた人間の一人として、原爆に関する記録や物語は数多くみたり読んだりしてきましたが、初めて原子爆弾を作った人のことは考えたことがなかったので、とても興味深く観ました。オッペンハイマーは、1960年に来日していて、そのときの講演で「世界中から核兵器をなくしたい」と語っているそうですが、その複雑な心境の断片を今作が描いた彼の半生からも読み解くことができるように感じました。冷戦が終わり、束の間の平和が幻想であったかのようにウクライナ紛争やイルラエルのガザ侵攻などの破壊行為が続発していて、その背景には核による威嚇もあるので、今作と地続きのような緊迫感やリアリティを感じました。個人的にクリストファー・ノーラン作品は苦手で、今作も少々判りにくかったのですが、強いインパクトがありました。
みかずき様
コメント、ありがとうございます。
いつも詳細な作品解説を書かれていて、とても参考になります。
>本作、ノーラン監督作品、なので、難解であることは覚悟していました。
私は苦手で、ノーラン作品ですとんと腑に落ちたということがないです(汗;)。
>アメリカが舞台の作品なので、アメリカ視点寄りになることも覚悟していました。しかし、被爆国である日本の視点がないのは驚きであり、残念でした。
多くの方(日本人)がそういう感想をもたれたように感じます。私のおぼろげな記憶では、「アメリカン・スパイナー」(14)でも似たような反応があったように思います。私自身は、いずれの作品も当時のアメリカ人の視点を描いた作品なのであまり違和感はなく、それでも強い反戦の意識を感じましたが、あくまで個人的感想なので、一般的には違うんだろうなと思ってます。また、共感作でお話できればと思います☺。
赤ヒゲでした。
こんばんは
お久し振りです
本作、ノーラン監督作品、なので、難解であることは覚悟していました。
アメリカが舞台の作品なので、アメリカ視点寄りになることも覚悟していました。しかし、被爆国である日本の視点がないのは驚きであり、残念でした。
原爆の恐ろしさ、狂気を伝えるためには、原爆を作った人、原爆を使った加害国、そして被爆した被害国の視点が必要です。被爆国日本の視点がなかったのは残念でした。原爆実験も圧倒的に迫力不足でした。
作品としては作品賞に相応しいと思いますが、日本人としては、複雑な心境です。
では、また共感作で。
ー以上ー
琥珀糖様
コメント、ありがとうございます。
原爆投下を知らない世代ですが、この記憶は語り続けなければと思います。様々な作品を観たり読んだりしてきましたが、例えば、「父と暮せば」(04)や「一枚のハガキ」(11)のように実際の悲惨なところは敢えて見せずに、戦争の悲惨さを描ききる作品が個人的には好みです。
赤ヒゲでした。
共感ありがとうございます。
たしかにこの映画をきっかけにして、原爆を正面から
考えるようになりました。
そして投下後の長崎と広島の映像を全世界の人が
見てほしいです。
M様
コメント、ありがとうございます。
>原爆を作った本人が「核兵器の廃絶」を訴える皮肉を感じますが、作った時の高揚感も、落とした後の後悔も、本物だったのかもしれません。
そうですよね。私は人間の浅はかさを感じました。目先の目標に全力で突き進んだ先に予想もしないことが起きてしまってこんな筈ではなかったのに、ということが私も時々あります。刃物はドスにもメスにもなると何かで読んだことがありますが、核分裂もそれと似ているのかな…。
色々と考えさせられる作品でした。
赤ヒゲでした。
原爆を作った本人が「核兵器の廃絶」を訴える皮肉を感じますが、作った時の高揚感も、落とした後の後悔も、本物だったのかもしれません。
でも、その言葉を日本で語った、というのは驚きです。
結局、広島と長崎には行ってないので、良心の呵責に耐えかねた、というところかもしれません。
でも、本当は生きている間に、広島と長崎を訪問して、生き残った方々の話を直接聞いて、「自分達が何を作ったのか」ということを認識して欲しかったとは思います。