劇場公開日 2024年3月29日

「原爆の責任とは、誰に帰するか?」オッペンハイマー 木花咲耶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原爆の責任とは、誰に帰するか?

2024年4月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

良いところ
史実かはさておき天才的な科学者が制限なしに最先端の科学発展を指揮する欲望を隠せない正直さと狂気を感じられる展開
それでいて予測できていた結果に対し、開き直ることなく良心を持ち続けることができたという事実

ん?なところ
ネタバレ見てから本編みた方がいいくらい情報量が多すぎる。メモでもとらんと一度で理解するの無理やろ

原爆開発プロジェクト(マンハッタン計画)のリーダーとして、物理学者として熱意と高揚感にうなされるような前半と完成後の後半の対比が隠と陽のように格差があって、2本の映画を観ているよう。原爆完成時点であと1時間以上残っているというところで、これはあくまでオッペンハイマー博士の物語であって原爆開発の話ではないと見せつけられた。
一応、物理学科の出身としてはなんらかの線端理論に対し実現させる計画があったら、そりゃもう楽しいだろうというのは理解できる。それに原爆はここでやらなくてもいづれどこかの誰かが確実に完成させていることは明白でその意味では最初の名誉はあっても責任を全て負う必要はないのは理解できる。とは言え、その開発が楽しかった、と言うのは負い目になるだろう。使ったのは政治家だが開発を楽しんでたのは自分なのだから。

過去に追いつかれると言ったセリフも言ってしまえば取り返しのつかないことへの呵責であって一生消えない傷みたいなもの。これは原爆だからではなくいろんな事に当てはまる訳で被曝者にとか、日本に対してのみ感じる必要はないと考える。

とは言え、まあ政治家はある種の異常さも描いていたな、こいつらこそ真っ先にそして最大限呵責を味わうべきで、全く良心のかけらもない描かれ方してたのがまあ、納得。

木花咲耶