「日本人の特別な感情」オッペンハイマー ぬきだるまさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の特別な感情
原爆、放射能、地震、津波などを描いた作品にに日本人特別な感情を抱くと思います。
本作品はオッペンハイマーの科学者としての半生を描いた作品で、原爆開発は彼のキャリアの中での重要な出来事ですが、あくまで彼の苦悩の一つでしかありません。
神に近い力を地上で使えるようにしてしまった、世界が自分の発明で終わってしまうのではないか、、、
原爆を開発した彼の苦悩が、キリアンマーフィーの表情、皺、視線、音響全てから伝わってきます。苦悩した1人の伝記としてはすごく良く表現されてます。
ただ、日本人としては違和感が拭えません。
原爆の火はあんなに綺麗な表現でいいのか?
黒コゲの遺体ひとつ、死者の数だけで、被害が表現出来ているのか?
原爆関連の報道、ドキュメンタリー、原爆ドームで生々しい被害の写真を見てきた私たちにとって、正直表現が甘い、物足りない、、、
いや、アメリカの認識ってこうなのかな、、、と少し悲しくなりました。
ノーランは恐らく、ウクライナ危機からの核戦争への警鐘を鳴らしたかったんでしょう。反戦、反核のメッセージは伝わってきます。
恐らく核の悲惨さは日本人にしか描けないと思います。いつかの星条旗、硫黄島のように、核被害にフォーカスしたアンサー的な作品が作られることを願います。
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