劇場公開日 2024年3月29日

「見終わったらシワシワ」オッペンハイマー ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5見終わったらシワシワ

2024年4月1日
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鑑賞方法:映画館

割と人間ドラマだよと聞いていたがそんなことなかった。ちゃんとプロメテウス的世界を描いていたと思う。映像と主題とが、時間を操作したがるノーランの作家性と(ようやく)うまく一致したのではないか。/キリアン・マーフィもRDJもよかった。RDJに至っては、あとから「あれか!」となる始末。/善悪なんてそう簡単にはわからないこと、未来は予測可能か・コントロール可能か、ということを通して人間というもののダメさと限界を突きつけられ、それは当然こちらに残された宿題になるので、見終わったらシワシワである。
(2024.4.2追記)原爆の惨状を描いてないという批判もあり、そうかもしれないが、それを直接描かなかったのに、原爆なんかにそうそう手を出すもんじゃねえ、と思わせたのがこの映画の凄みではないか。
(2024.4.23追記)原爆の被害の惨状に関する描写についてしつこく考えていて、アジアへの軽視みたいなことも考えたんだけど、それでいうと『バービー』の方がそれを感じたんだよなあ。先のアカデミー賞受賞式でも話題に上がっていた、“そもそも視界に入ってない”みたいな意味で。

ouosou
talismanさんのコメント
2024年9月18日

「そもそも視界に入ってない」に同感しました。何千年もの歴史の中で、白人同士が戦い殺し合い、非白人社会から香辛料野菜コーヒー紅茶絹磁器技術、人間と土地を奪い二枚舌の外交能力を研ぎ澄ましてきた白人社会にとって、彼らの視野に入ってどんなに長く見積もってもせいぜい200年に満たないアジアの国も人間も視界に入ってないと思います。SHOGUNでエミー賞沢山、とても嬉しい一方で、やっと先生に認めてもらえましたーのような感じもあります

talisman