「天才Oppieを軸に人間、仲間、組織、国家の複雑さと多面性、そして陰謀」オッペンハイマー talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
天才Oppieを軸に人間、仲間、組織、国家の複雑さと多面性、そして陰謀
ノーラン監督3時間、と覚悟して見始めましたが眠くならずに最後まで見ました。色々な意味で非常に面白く内容の濃い映画でした。
大変だったのは;
1)台詞の量が半端なく多いのでついて行くのが大変でした
2)モノクロとカラー場面及び時系列の入れ替わりが多く、それが魅力的でありながら大変でした
前もってオッペンハイマーについて調べていても間に合わないことが多かった。「オッペンハイマーという名前でわかるとおりユダヤ人です」といった台詞が数回出てくるのでそれゆえナチス・ドイツに対抗するのが彼の使命だと思った。その部分も勿論あるがそんなに状況は単純でなく複合的だった。
人間オッペンハイマーの多面性に焦点をおきつつ、周囲の人々、北米の赤狩りやソ連のスパイ疑惑を利用した陰謀が映画後半の中心だった。オッペンハイマーも彼の弟も、愛人も妻も『資本論』を読んでいるような人々で理系のインテリのサークルでの雰囲気がよく出ていた。彼らの世界観と自分の能力なり才能を限りなく展開していきたい(行かざるを得ない)欲望は相反することではなかった。現代の観点でオッペンハイマーと彼らを巡る人々、アメリカ社会、国家を評価するのは簡単なことではない。日本は加害者で被害者、アメリカ合衆国も同様。この映画はオッペンハイマーを軸に冷戦時代を含めた当時のアメリカ合衆国をクリティカルに描写している。
オッペンハイマーが賞賛される場面で、彼の幻想の中に広島と長崎の被爆者の様子が抽象的に映し出される。そのシーンでは嗚咽せざるを得なかった。
どんな職業や役職であれ表舞台に居続けたい欲望を執拗に持つ人間がいる。トルーマン大統領がオッペンハイマーに安堵の気持ちを与えて持ち上げつつ落とす、は短い場面だったがえげつなく嫌悪感を覚えた。
エミリー・ブラント&フローレンス・ピュー、出ずっぱりでオッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィ、素晴らしかった。
おまけ
ドイツのゲッティンゲンの映画館で見た。若きオッペンハイマーはケンブリッジ大学では実験に不向き、ドイツのゲッティンゲンに行けと言われ、量子物理学の当時の最高峰であるゲッティンゲン大学に行った。
小さい街、ゲッティンゲンを散策していたらオッペンハイマーが住んでいた家を見つけた。少し離れた所に日本語で「ヒロシマ広場」、ドイツ語で"Hiroshimaplatz"と併記されたこじんまりとした広場があった
talismanさんへ
私もたくさんの登場人物の区別が付かなく、2度観てようやく少しは理解出来た感じでした。
それにしても、ドイツで「オッペンハイマー」を鑑賞なんて、talismanさんてどんな人?😊
「ヒロシマ広場」も意味深ですね。
再度ご返信ありがとうございます😊お気遣いありがとうございます😊この場所に行かれて散策して映画も観て来られたのですね。
そして家とプレートも教えたいただいてありがとうございます😊
tailsman さんの世界は広いですね。貴重なお話をありがとうございます😊またよろしくお願いいたします🤲
ご返信ありがとうございます😊
ご説明いただきましてありがとうございました😊
懐かしの場所にヒロシマと命名するのは、ご自身のいろんな想いが込められていたのでしょうね。
ありがとうございました😊
共感ありがとうございます😊
わかりませんが、『ヒロシマ広場』とあるのは、オッペンハイマー自身が、来日され広島長崎を訪れておられるからでしょうね。
栄誉を与えられつつ、悩み多き人生だったのかも。ドイツ🇩🇪というのは日本未公開の時なんですね。
はじめまして。いいねコメントを頂き、ありがとうございます!tailsmanさんのレビュー、大変わか分かりやすく、心に沁みました。
ドイツの地で鑑賞されたとのこと、素敵ですね。日本以外の場所で映画鑑賞するのは、いつか実現したい憧れです。ところで、コメントのお返事が遅くなり、失礼しました。この1、2ヶ月、実家の断捨離に格闘してまして、、完了したので映画鑑賞も再開します笑 今後とも宜しくお願いします!
talismanさん、拙レビューへのコメント、ありがとうございました。
原爆開発といった主題からして、実にさまざまな問題をはらんでいるので、なかなか「傑作」のひと言では片づけにくい作品だと思いますが、映画表現における「傑物」と言いたくなるような一筋縄ではいかない作品という意味なら賛同したいと思います。
ドイツ、ゲッティンゲンでご覧になられたとか。オッペンハイマーゆかりの地でもあり、原爆開発の初発的な研究先進地であり、敗戦国であり、アメリカによる最初の原爆の標的であったドイツ。かの地で観る本作は、きっと日本で観るのと見え方も変わってくることと思います。
そういう多義性を持つという意味でも「傑」作だと思います。
アカウントが1つにまとまって良かったですね。
私は両方フォローしてましたが、古い?アカウントで共感したものは消えてしまったようなのでとりあえず120件遡って私が観た作品には共感入れておきました。
フォローしていた古い写真のアカウントが消えましたが、フォロー数は減ってません。何故?
直接的ではありませんが、私もオッペンハイマーの動揺や苦悩がその姿から充分伝わってきました。
広島長崎へもラジオで聞くだけと思ったら、その後幾度も言及されて、全く触れられてないという感じはしませんでした。
あくまで私個人の意見。見た人それぞれの意見があっていいと思います。それがこの作品の意義だと思ってます。
コメントありがとうございます。
この作品、まさに複合的で、だからこそ観る側は単眼的ではいけないのですが、一度の鑑賞ではやはり追いつけないと思いました。
ワタシももう一度チャレンジしてみたいです。
オッピーがゲッティンゲン大学に行ってた頃の設定だったか、彼がピカソの絵画を眺めているシーンがあったように思う。ピカソはフランスの共産党員であった、ゲルニカを描いた画家であった、そして後にオッピーが結婚するキティの最初の夫はスペイン内戦で戦死した。そんなことを考えさせてくれるノーランの演出はすごいなあと思った
音楽、サウンドデザインの素晴らしさに今回気がついた。ストローズ(シュトラウスと呼ばれるのいやがったな)が疑心暗鬼になってたアインシュタインとオッピーとの会話の内容が最後に置かれる演出、かっこいい。映画としても台詞としても演出としても素晴らしい
ケンブリッジにいた時の実験下手なオッペンハイマーは、ゲッティンゲン大学のボルン教授のもとへ行け、と言われたんだ。上のレビューのおまけで「ボンかゲッティンゲン」と書いたが聞き間違いだった!わかってよかった。イタリア人科学者役のレミ・マレック、今回ちゃんと認識できた。オッピーはオランダ語もイタリア語もドイツ語もできる、外国語習得能力も高かったことも身に沁みてよくわかった
欠点も多い、妻を何回か裏切った、naive(お人好し、おめでたい)な人でもあるが、それゆえに人を信じ、
reflectiveに思考できるオッピーをキリアン・マーフィーが最高のパフォーマンスで演じた。その演技に涙してしまった。妻役のエミリー・ブラントもすごくすごく良かった。これも2回見た賜物だ
恵まれた家庭に生まれ育ち知的で教養ある人間(もちろん欠点は誰にでもある)との蜜月期間は続かない。嫉妬と劣等感ほどそれを抱く人間を蝕むものはないだろう。そして自分が馬鹿にされたと思い込み暗い怨念に苛まれる。
おかげでモヤモヤが消えた。本当に恐ろしいのは、科学者でも兵器そのものでもない。人間だ。人間の劣等感、嫉妬、猜疑心、疑念、不信感だ。第二次世界大戦中の「連合国」間での不信感、とりわけソ連に対する警戒感が半端なく英国に対しても微妙で決して一枚岩の「連合」でないこともわかった。
共感ありがとうございます。
ドイツで鑑賞されたんですね。
英語にドイツ語字幕なんでしょうか?
初めて気づいたんですが、2つのアカウントを持たれてるんですか?
1/11までのと1/12からのとがあるようですが、どちらも生きてるんですよね?
なんか不思議ですね。
今晩は
talismanさん、”ドイツのゲッティンゲンの映画館で見た。”って記載されていますが、マジですか!!
私は、ドイツ語は、あ、ヒアリングは結構できるけど使っていたのは”ich liebe dich"位だなあ・・。
で、今作。私はとても面白く鑑賞しました。
現代でも喫緊の課題を扱うCN監督では表現できない日本への原爆投下やその後のアメリカの狂気とも言えるレッドパージのシーン。
今作の様な重いテーマを扱いつつ、ヒットにするCN監督の手腕。けれどね。一番は広島、長崎で当時何が起こったか(私も、広島に行って知識ではなく目で見て学んだ。)事を全世界に発信したCN監督の行いに応えてくれる若い世代の行動に注目したいです。では。返信は不要ですよ。
映画自体も衝撃でしたが、talismanさんが日本語字幕なしでこの映画を理解できてることに、更なる衝撃です!
凄い!
ヨーロッパの社交場でジェームス・ボンドと踊っててもおかしくないほど国際的!レア・セドゥもいたりして!
talismanさんがコメントに書かれている、「やったことは最低だが、日本では、自国の若者をこれ以上死なせない、苦しませない、という言葉は誰からも出なかったのだろうか」という指摘にハッとしました。
明治の頃から、「国の根幹は人づくり。そのためには、学びたくても資産がなく、極めたくても道がない若者への支援が喫緊の課題」と述べていた教育者もいたくらいですから、当時だってもちろんいたのでしょうが、そうした声がかき消され、国を守るために若者に死を迫る声のみ大きく、それが今も美談として残っている歪さを、改めておぞましく感じてしまいました。
おはようございます。
ドイツの映画館で英語字幕でご覧になられたのですか?
(凄いですね、国際的!!)
ちょっと公聴会の場面は混乱しましたが、思ったほど
3時間は長くなく感じました。
たらればですが、投下さなければ・・・と強く思いました。
ハイゼンベルクという名前だけで、およそ出身が想像できるんですね。
ありがとうございました。
ゲッティンゲン大学というとガウスやリーマン、ヒルベルトらを輩出した大学ですよね。そんな街で「オッペンハイマー」を見るなんて、なんか凄いですね。
この映画でも、当時の戦争で悪の権化であったヒトラー政権においても共通点があるんだと思った。それは「オッペンハイマー」でも、ドイツ映画「ヴァンゼー会議」(ヒトラーの虐殺会議)でも、「自国の若い兵士をこれ以上、苦しませたり死なせないため」に、という言葉があったことです。前者はそのために「早期の戦争終結」という看板を掲げて原爆作って日本を敗戦に持ち込み、後者は「ドイツの若者の精神的負担減少」を掲げて「効率的な虐殺」を実施した。やったことは最低だ。でも両国とも本音はどうであれ建て前は自国の若者を守ると言った。日本は言ったのか?お国のために死ね、捕虜になる位なら死ね、特攻隊は「死ね」。自国の若者をこれ以上死なせない、苦しませない、という言葉は誰からも出なかったのだろうか
talisman さん
そうですね。
ノーラン監督の作品は数十年後に観られる価値のある映画だと思うので、未来の観客がどう評価するか、その時代の社会環境含めて気になるところです。
「トルーマンに対する嫌悪感」よくわかります。
別の方のレビューを読んで、自分でも気づいたことなのですが、私はオッペンハイマーに対して、さほど嫌悪感を持たないまま、この映画を見終えました。
これはよいことなのかそうでないのか、よくわかりませんが、ノーランの原爆観に自分が乗ってしまったのは間違いないような気がしました。
ドイツ語吹替えであの作品、理解できたんですか?😳スゴすぎます。
私はドイツが早々に降伏してよかったね…と思いながら見てました。最後の最後まで諦めなかった日本人の国民性もすごく理解できたし、アメリカ首脳陣のやりとりのシーンでは、特にドイツ人の感想に興味があります。そもそもドイツにも終戦記念日的な行事はあるんでしょうかね。
talismanさんくらい作品を楽しむために、もっと内容を予習しとくべきでしたー😭… ドイツ人の反応はいかがでしたか?
もうすぐ日本でも公開、みなさんのレビューが楽しみです!
いいね、ありがとうございました。
私には難しくて、時間軸が急に変わるのについていけない展開でした。セリフの量も多かったので、せめて英語字幕でいいから読みたかったです😭…
「ヒロシマ広場」と日本語表記がプレートに併記されている広場は、オッペンハイマーの住んでいた家の向かい側で少し離れています。プレートには折り鶴の絵も描かれています。「オッペンハイマー」がようやく日本でも公開されることになり嬉しいです
フィルマークスは削除とかないですね。今回削除原因となった福田村事件のレビューも同じ内容ですが消されてません。以前映画ドットコムでレビュー書いてた人も嫌気がさしてあちらに移ったりしてますね。
変なコメントして申し訳ありません。今回レビューやコメントが削除されていて、前にも何の前触れもなく全削除されたので、今回もそうなるかもしれません。こちらのサイトでは政権批判などすると削除される傾向にあるみたいです。ほかのサイトではそんなことないのですが。
こんばんは。取り急ぎご報告を。今まで私のレビューに共感及びコメントありがとうございました。実は今回二度目のレビュー全削除となりそうですのでご挨拶を。今までありがとうございました。