身代わり忠臣蔵のレビュー・感想・評価
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The Last Ninja
河合監督は実写作品でかなりやらかしてる印象があるので、久々ではありますが結構不安視していました。ただその不安を払拭してくれるくらい真面目で要所要所で面白く仕上がっていました。原作は未読です。
一部のやりすぎなギャグだったり、雑コラみたいなCGが出てきた序盤は眉を顰めましたが、身代わりという役割を本筋にしてからは加速していくように面白くなっていきました。
殺された兄貴の身代わりをダメダメな弟が務めるという成り変わりものの王道をいく展開ながら、史実の忠臣蔵の流れを濁さずにやり切ったところにも好感が持てました。
ダメダメと言いつつも、他人を思いやる気持ちは兄貴よりも多くあり、質素なおかずで暮らしていた家臣たちのおかずを増やしたり、子供たちとの交流をしてみたり、給料増やしてみたり、色々と孝証の優しさが滲み出るシーンが多くあったのが印象的でした。
大石内蔵之介と孝証との夜明けまで飲んだくれで過ごし、長年の付き合いかのような交流をしたのち、再び出会った際は仇討ちをする側とされる側になっていて、蔵之介の気持ちが痛いほど分かる孝証が自分の首を差し出すと宣言した時は漢気あるなーと感心してしまいました。
序盤ではあれだけ呆けていた孝証が誰かの上に立つということで自分自身を見つめ直していくきっかけになって、最終的にこの決断につながったのは成長が垣間見えたなーと思いました。
終盤、なぜか兄貴の生首をラグビー形式でラリーしていく謎の流れが出てきて、吉良も赤穂もどちらも応戦するようにラグビーしていくので苦笑いしながら観ていました。不謹慎っちゃ不謹慎なんですが、なかなか観ない感じの生首の使い方だったので新鮮でした。
蔵之介含め仇討ちをしたものは切腹という流れは変えず、その死を悼む孝証の姿はもう最初とは別人のようで光り輝いていました。
孝証が次へと踏み出す様子もとても前向きで、良い気持ちで観終われたなと思いました。スカパラの主題歌もまた良い。
役者・ムロツヨシの凄さがこれでもかと発揮されていました。優しい声や表情は勿論のこと、コメディならではの派手なアクションが全て笑いに直結していって、どんだけこの人は飛び跳ねるんだとニヤニヤしながら観ていました。コメディに人間ドラマに、一人二役を演じ切ったのも相まって感動してしまいました。
これ絶対に原作面白いだろうなと思い、観終わった後本屋に駆け込んで購入しました。じっくり読んで映画との比較をしたいなーと思います。楽しかった〜。
鑑賞日 2/13
鑑賞時間 11:35〜13:45
座席 I-2
終盤のラグビー戦はやりすぎか?
そこそこ?面白くて、概ね期待通りでした。実は他の映画を観るか悩みましたが、本映画を見に行って良かったです。で、この映画は? というと、まさに「ムロツヨシ劇場」。最初から最後まで出ずっぱり。台詞も多くて大変だったでしょう。
余談ですが、終盤のラグビー戦はちょいとやり過ぎなような気がしました。
余計なこと(個人的な感想)
自分は、忠臣蔵なる物語を見るのは初めてです。あらすじを知ってはいますが、なぜか、いまいち好きになれなくて、今まで見てはいませんでした。で、本映画をみて、なぜ忠臣蔵が好きになれなかったが、しっくりきました。
「浅野内匠頭があまりにお馬鹿すぎて好きになれなかった」ということです。江戸城内(殿中)で刀を抜けば、切腹・お家お取り潰しは確定でしょう。そんなこともわからず、一時の感情で家臣の生活を台無しにする行為が嫌いだったのです。真に腹を立てたなら、893さんのごとく吉良上野介に脅かしをかけるか、ばれないように暗殺(相当)をすれば良いと思います。
また、このあだ討ちなる行為を、当時の民衆から喝采を持って迎えられたということにも、いまいち納得できていませんでした。この行為が「仇討ち」に該当するのか? という感情があったからです。当時は幕府が上司であり裁判官です。今の時代でいえば、裁判官の判定に納得いかなかったからといって自分らで行ってしまう武力行為は、仇討ちではなく私刑ですね。同意できないです。
<主な基準(今後のためのメモ)>
4.5 観て良かったと感じた映画
4.0 おすすめできる映画、何かしら感慨を感じる映画
3.5 映画好きなら旬なうちに見てほしい映画
3.0 おすすめはできるが、人により好みが分かれると思われる映画
コメディ要素多めだと思ったら
ムロツヨシさん出演だし、予告もコメディ色を強く押していたので、頭からお尻までコメディたっぷりなんだろうな、と思ったら頭と尻だけコメディで重要な部分はシリアスだった。
最初の方は、ダメ坊主の弟がダメっぷりを遺憾なく発揮していて、ムロさんコメディって感じだったが、身代わりするうちに成長していく様が結構好きなジャンルなのでよかったです。
最初は、上の人間の理不尽にへぇこらするだけだった孝証が段々と意見したり、身内も赤穂も思いやり自分が討たれることでけじめをつけると覚悟を決めたシーン、好きでした。
首は、途中でリアルラックが働き「あ、これ本人の首だ」てなったら大正解だった。
ラストの大将首アメフト中々面白かったです。
自分は、忠臣蔵を読んだことなかったし歴史にもうといので、最後に赤穂浪士がどうなるかとか、許しのない仇討ちをするとどうなるか知らなかったので、大石の「私もすぐあとを追う」を現代的にとらえていたから、「みんな生き残った~!」からの全員切腹エンドで泣いてしまった。
「大石に生きてほしかった」というセリフ、私もだよ。
あと、最所の「この、三文役者!」から「よっ!千両役者!」という繋がり、好き。
新しい感覚のお笑い忠臣ムロ劇場
忠臣蔵を小さい頃からこよなく愛し10代の頃は歴史小説も読み漁った1人としてムロツヨシがこのストーリーをどう料理するのか楽しみに鑑賞した。
結論から言えば予想通りの結末。そりゃそうだ。これだけ歴代の忠臣蔵がある中で易々と結論は変えられない。まさかの大石内蔵助が生き続けたとは出来ないよね。でもそんな中でも、この映画はムロツヨシワールドによって全く違う忠臣蔵、いやはや忠臣ムロツヨシを見た感じがする。高校生の娘と見に行ったが大爆笑もあれば感動シーンもありあっという間の2時間だった。
ただ、長谷川一夫や鶴田浩二、市川雷蔵、松平健や田村正和のような忠臣蔵を期待するならやめといた方がよい。そもそも今回は吉良上野介にフューチャーされた作品で今までのような作品を歌舞伎とするなら、今作品はあくまで大衆向けの演芸作品。しかも上方漫才ではなくツービートを輩出したストリップ劇場のあった浅草フランス座の漫才のようなもの。常識を求めるならやめといたほうがよい。人によってはやりすぎと言われるだろうが、今作品は道徳作品では無くお笑いなのだ。予告編を見れば十分に伝わるのだから、それが不快なら、はなから見ない方が良い。
個人的には笑いあり人情あり感動ありの最高のムロツヨシ娯楽作品となった。他の登場人物もハマり役ばかりで楽しかったです。
わかりやすい人情時代劇
吉良上野介が
陰湿ないじめでブチ切れた赤穂藩藩主に切り付けられたため
いろいろあって、弟の孝証が兄に成りすまして
お家おとり潰しを阻止しようとした
そして、吉良上野介が切り付けられた傷で
本当に死んでしまうと
ここからしばらく孝証が身代わりにならないといけなくなってしまう
赤穂の大石内蔵助は
仇討をしないと部下を怒りが収まらないが
お家再興が叶わなくなったために
仇討を決行しないといけなくなり
本物の吉良上野介が死んでいるため
身代わりの孝証の首をとらなくてはいけなくなった
前半はコメディっぽいが
後半は人情時代劇要素がつよくなっているように思った
終盤で切った首をつかって
ラグビーっぽいことをするのは
面白いと思ったし
本物の吉良の死体を腐らないように塩漬けにしていたのが
討ち入りのときに見つかるシーンもよかった
ムロツヨシはオモシロイ
吉良上野介と身代わり四男孝証の二人を演じたムロツヨシはオモシロイです。なんだかどんな映画、ドラマもこの感じに演じるんじゃないんかと思ってしまう。
忠臣蔵をあんまり知らないでも史実が分かりやすく、もっと幕末くらいに思っていた自分の江戸時代を認識させられた。
キレイにまとめて史実を変えず身代わりを作ったけど、今やるのに意味ある?インパクト不足。12月にやらない(入れなかった?)時期ハズレ感じ一杯で売る為のプロデュースやらないで良い映画にもなれない。
面白かったけど仏さんの首を蹴るのはさすがに不謹慎では?
江戸時代は家督を継ぐのは長男で、次男以下は寺へ入れられたりしていたというのは聞くけれど、家を出されたけれど寺の修行も抜け出してしまうろくでなしが、武士の社会なんかよりずっと人間味のある立派な人だったっていう、コメディで立ちションしたり花魁を買ったり下品なところも多いわりに、なかなかいい話だと思いました。
赤穂の主張は筋が通っている、兄が悪い、だけど幕府は幕府の沙汰に不服があるというのが威光に傷がつくと思っていて、不当な結果がまかり通っていて、それがどうにも許せない。
ろくでなしだと思われていた主人公が、身代わりとして自分が討ち取られて死ぬために大石に協力して、自分を殺しにくる討ち入りの支度金まで用意する。
えらいことです。
ただ、討ち取られた後の首を奪い合う場面で、いくらなんでも仏さんの首をボール代わりにラグビーして、しかも首を蹴ってパスしたりなんていうんだから不謹慎だと感じました。
実際に主君の首を取り返したい家臣と、仇の首を墓前に供えて仇討ちを報告したい赤穂浪士と、入り乱れての激しい首の争奪戦では、首も揉みくちゃでまともな扱いをされないだろうことはわかりますが、だからといってフィクションでどうにでも脚色できるのに、あえて首を蹴っ飛ばす神経は理解できませんでした。
ムロツヨシ劇場
ムロツヨシが、主人公の孝証とその兄の吉良上野介を一人二役で演じる。
最初から最後までムロツヨシの独壇場。
このノリを許容出来ないとなかなか楽しめなさそう。
コメディパートとシリアス展開のバランスがイマイチ…
身代わりのまま吉良上野介として斬られる覚悟を決めた孝証に泣かされたと思いきや、唐突に始まった首ラグビー。脳内で勝手に麻倉未稀のヒーロー流れてきた。
あれ、ムロツヨシ以外の役者さんの顔だったら不謹慎すぎて楽しめないかも。ムロツヨシでギリ、「シュールといえんこともない」といったレベル。
赤穂浪士の処遇に温情を…みたいな流れだったので生存ルートかなと思ったけど、温情=切腹だった。現代的な価値観では悲しい終わり方だわ。。大石内蔵助の死を嘆く孝証の姿で最後にまた泣く。
この手のライト時代劇の中では結構楽しめた方かも。
ムロツヨシファン向け
笑える場面が随所にあり周りからも笑い声が聞こえるほどでしたが、上映時間が少し長く感じました。
もっとコメディに振り切ってテンポよくした方が楽しめたなと思いました。
ラストの首ラグビーは振り切ってました!
もう少し大事に扱ってあげて、となりました笑
吉良もつらいよ
日本の年末の風物詩であった『忠臣蔵』。
しかし今ではすっかり廃れ、Z世代は概要どころか“忠臣蔵”という言葉すら知らないという。
不当に罰せられた亡き主君の仇討ち。非暴力時代の昨今では仇討ちはコンプライアンス的に問題ありなのかもしれないが、儀や忠を重んじる精神は侍を体現し、我々日本人に響く。
日本史の中でも語り継がれる事件であると同時に、映画、演劇、小説、TVドラマなどエンタメの題材としても恰好。
映画は戦前~1960年代にはほぼ毎年のように作られ、その数実に80本以上。いつぞやハリウッドでも映像化されたほど。とんだ珍作だったけど…。
直近では2019年の『決算!忠臣蔵』。こちら討ち入りをお金の視点からユニークに。
その前は『最後の忠臣蔵』。“その後”として。名篇だった。
いずれも変化球。今回も。だってもう、タイトルが。
で、“身代わり”とは…?
有名な“松之廊下事件”。吉良上野介の侮辱に対し浅野内匠頭が斬り付けてしまった傷害事件であったが…、もしこの時深手を負っていたら…?
そしてそのままぽっくり逝ってしまったら…?(それが致命傷ではなく、死んでしまった理由はちょい訳ありなんだけど…)
そんな事がバレたら武士の恥。ただでさえ背中に逃げ傷を負わされ…。お家も取り潰し。家臣たちも路頭に迷う。
吉良上野介は健在で、上役に申し開きしなければならない。
その“代役”。
何と、吉良には弟がいた…!?
これは私が無知だったに過ぎない。
主人公・孝証は実在の人物。劇中通り五人兄弟の末弟で、僧。性格は演者に合わせ創作だろうけど。
長兄と末弟じゃ何もかも月とスッポン。あちら権力者として好き放題なのに、こちらは日々の暮らしにも困窮のド貧乏。お金を恵んで貰おうと兄邸を訪れようも、見下し虫ケラ扱い。家族の情など微塵もない。
本ッ当にムカつく奴! 罰でも当たれ!
本当に当たってしまった…! 瀕死の状態。自分の横柄さが招いた自業自得だが。
その兄の言わば尻拭い。やってられるか! 知った事か! お家取り潰しでも何でもなっちまえ!
しかし側近の懇願に…と言うか報酬金に目が眩み、引き受ける。
この“身代わり”というのも面白いが、『忠臣蔵』で悪役として描かれてきた吉良を主役に据えた事がまた目新しい。
吉良(身代わりだけど)の視点から見えてくる、『忠臣蔵』の真実…!?
大老に申し開き。
怪しまれつつも何とかやり過ごすが、上野介が死んでしまった。(死因は訳ありだけど…)
一回きりの約束じゃん。ずっとなんてヤだよ!
食い下がらぬ側近。上手く言いくるめる。
まあ…、ド貧乏から贅沢三昧の殿様も悪くない。
それに、お世話係が優しくて美人な桔梗さん…(///ω///)♪
しょうがねぇ、やってやるか。
“三文役者”が一世一代の大芝居。
だけどどうしても地が出てしまう。
ちゃらんぽらんな性格。
にしても、兄貴って本当に嫌な奴だったんだ。
横柄な態度、威圧的な口調。側近にはパワハラ。下々の者を何とも思わない。ま、恨み買われても当然だな。
時代劇のみならず、日本のエンタメ界に於いても“悪役”の代表格。ちなみにゴジラシリーズの『怪獣総進撃』は当初『怪獣忠臣蔵』というタイトルだったらしく、敵対する宇宙人は“キラアク(吉良悪)星人”。『忠臣蔵』がモチーフになっているという。
その一方…
下からは嫌われ、上(大老)からは圧力。大老には常に言いなり。
吉良を板挟みの中間管理職として描いたのも全く新しい。
吉良もつらいよ。
誰がそれをどう演じるかが、本作の死活問題。
ムロツヨシがいなければ。
ムロツヨシ劇場。ムロツヨシの土壇場。
一人二役という腕の見せ所と旨味たっぷりの役所。
上野介は嫌みたっぷりに。孝証はほとんど素のように。
ナチュラルもユーモアもアドリブも全開。その中に、シリアスや人情も滲ませる。
福田作品を離れれば見事な演技と魅力を発揮する。
それくらい良かった。堂々主演だし、役の知名度も含め、代表作の一つにしてもいい。いや、しちゃいましょう!
側近の林遣都。上野介を一番側で見てきたとは言え、あれじゃあM男…?
川口春奈は清涼剤。孝証でなくとも、桔梗さん…(///ω///)♪
ヤな奴上野介。が、上野介を上回るヤな奴が、大老。演じるは近年さらに快進撃止まらぬ柄本明。そのヤな奴っぷりは言うまでもないだろう。
“吉良側”から描いているのが本作の面白い所。
だけど勿論、“赤穂藩”も黙っちゃいない。
大石内蔵助や赤穂藩士のドラマも描かれる。
当初の大石は仇討ちに消極的。嘆願書を書いてお家再興を乞う。
藩士や民からは不満の声続出。仇討ちもしないなんて…。それでも武士か、臣下か。
道楽に惚け、『決算!忠臣蔵』の堤内蔵助といい勝負。『四十七人の刺客』の高倉内蔵助とは雲泥の差。最も、実際の内蔵助も“昼行燈”と揶揄されていたらしいが…。
しかし、藩士たちの処遇や声、嘆願書の無視やお家再興の望み絶たれ、主君の無念と忠義…。
我々がよく知っている『忠臣蔵』を描きつつ、永山瑛太も新たな大石像を魅せる。
全く新たな視点の『忠臣蔵』。
それは、二人の男の出会い…。
開幕、川に落ちた孝証。一人の男に助けられる。しょっぱい塩飴も貰う。
“吉良”の代役に。こっそり屋敷を抜け出して、吉原へ。豪遊。
そこで川に落ちた時助けてくれた男と再会する。
意気投合。朝までどんちゃん騒ぎ。
そこへ相手の迎えが来て、その男の事情や誰かを知る。
不当に罰せられ切腹した主君の仇討ちをするか否か。それを決行するかはこの男の一存で。
意気投合した男の名は、大石内蔵助。
よりによって…。
こちとらお主の憎き敵の弟…なんて言えやしない。
藩士たちは仇討ちを叫んでいる。俺、標的なの…? 殺されるの…?
是が非でも止めさせたい仇討ち。
しかし徐々に、大石の決意も固まってくる。
身代わりなのに仇討ちされる…。
当初はびくびくしていた孝証だったが、彼も彼で心境に変化が…。
そもそもは恨みを買われるほどの侮辱をした兄が悪い。
刀を抜く事を禁じられている場で刀を抜いてしまった浅野内匠頭にも非はあるかもしれないが、ならば喧嘩両成敗が妥当。話は逸れるが、いつぞやのアカデミー賞での“ビンタ事件”もそうすべきだった。
なのに…、一方は罪を負わされ、一方は全くのお咎めナシ。
しかも主君の罪だけじゃなく、臣下全員職も暮らしも奪われ…。
不祥事を起こした会社が丸々潰れ、社員とその家族が全てを無くしたようなもの。ウィル・スミスの奥さんと子供もハリウッドから追放されたようなもの。
あまりにも不公平だ。不満、悲しみ、憤りが出て当然だ。仇討ち…今で言ったら不当に解雇された事に対して訴えを起こすのも当然だ。
こちらが非を認め、謝罪をすれば良かった。
が、上野介が生きていても絶対しなかっただろうし、大老がそんな事許す訳ない。幕府=上様の沙汰に異を唱えるのか。言語道断。
昔も今も権力者のやる事は同じ。時代は変わったのに、腹黒さは変わらない。
こんな面倒に巻き込まれるなら、身代わりなんて引き受けなければ良かった。
本ッ当に面倒な事を押し付けてくれたよ、兄貴は。
俺と兄貴は違うんだ。
…そう。違う。
じゃあ、兄貴に出来なくて、俺に出来る事は…?
ここからが本当の意味での“身代わり忠臣蔵”。
当初は劇場で観る予定なかったが、話が面白そうだし、『忠臣蔵』題材だし、昨今のユニークな趣向を凝らした時代劇コメディには良作多く本作もその系統で、原作/脚本が土橋章宏。
この人の書いた『超高速!参勤交代』がまさにユニーク趣向の時代劇コメディの始まりだったし、『引っ越し大名!』も良かった。『サムライマラソン』はビミョーだったけど…。
時代劇を見ない若い世代でも見れる現代的な感覚。
序盤はコメディ色が強く、演技も演出もオーバーでドタバタ漫画的だが、次第に人情要素が心に染み入ってくる。
孝証の人望で藩の雰囲気も臣下たちや民の暮らしもより良くなった。君主に相応しかったのは上野介より…?
加えて本作は、“忠臣蔵”だ。語り尽くされたこの物語に、どう新風を吹き込むか…?
勿論“身代わり”がポイント。
ある時孝証は、内蔵助に全てを打ち明ける。自分が弟の孝証である事、身代わりである事、上野介はすでに死んだ事…。
それでも仇討ちをするのか…? 例え自分や臣下が死ぬ事になっても…。
武士の一分…も分からなくはないが、でもやっぱり分からない。
命を犠牲にしてでもやらなければならないのか…? 命あってこそではないのか。
そんなにお家が大事か…? お家の為じゃなく、臣下や民が居てのお家ではないのか…?
内蔵助の決意は変わらない。
そっちがその覚悟なら、こっちも。孝証も決心が付いた。
遺恨や不条理をここで打ち消す為、斬られる。
双方の臣下に犠牲を出さない。緻密な計画。決行は12月14日。
たった一人、自分の命一つで済むのなら…。
人の役になど立てないと思っていた自分。
やっと人の役に立てる時が来た。自分の命は、この為にあったのだ…。
あのちゃらんぽらんな孝証の姿はもう無い。覚悟を決めた名君。
赤穂浪士四十七人を率いてきた内蔵助。彼は、孝証を斬れるのか…? 討ち入りは決意したが、友を斬る決意は未だ…。
そして運命の12月14日が…。
序盤で上野介が死んだ事で何となく察しは付いたが、それでも“身代わり”の巧みさに天晴れ!
終盤の“ラグビー”は本作が“時代劇コメディ”である事を明確に。あれこそ本当の“首”…?
大石内蔵助の最期は知られ、本作でも史実通り。
犠牲者は出さない筈が、最も大事な友が…。
友情と悲しみ。でもそれを押し付けようとはせず、何処か見終わって晴れ晴れと。
“三文役者”が“千両役者”へ。
“うつけ”が“大義”を。
趣向や視点を変えれば、語り尽くされた『忠臣蔵』もまだまだ語れるものはある。色褪せる事はない。
笑いあり涙あり
初っ端から笑いの連続でした!
時代劇?からなのか年代は上の人が多かったです
やっぱ、ムロツヨシさんはすごいわ。コメディ系のしか見た事なかったからあんなに引き込まれる演技はすごかった。あと、ムロツヨシさんの人の良さも滲み出てて良き
歴史話はあまり知らないけど、脚色されていたとしても幕府の在り方はそう変わらないのだと思いました。
しかしながら、最後の結末は元禄時代ならではの武士の信念だったなと思いました…
身代わり忠臣蔵
命あっての物種だろうがぁ!
素直に面白かった。ブラボー。
予告でよく見てムロツヨシさんなら面白いだろうと軽い気持ちで観てきました。
面白かったー!
安心して見てられます。ムロツヨシさんのだんだん変化していくところが無理ない。
達観していくあたりは真剣なセリフまわしに惚れそうになりました。
最後は瑛太さんとの関係性も相まってほろりとさせられましたし…
ただ。
その何分か前は爆笑2回こらえてました😅
うんうん、そういうスポーツあるよね、からの
頭蹴った!!!(1回目)からの
星田英利さんの笛(2回目)で、笑いこらえ過ぎて咳き込みました。
柄本明さんはやっぱり怖かったし、北村一輝さんもわずかな出番でありながら存在感ありました。
林遣都さんもトンデモ設定になりかねないところを自然に大げさに演じていました。
最後泣かせる関係性を作れたのは瑛太さんのお上手さもあったと思います。
そしてムロツヨシさん並に感心したのは寛一郎さんです。
グランメゾンではスルーしていましたが、鎌倉殿で印象に残ってはいました。
おじいさま、お父様とは別にいい役者さんになると思います。
今後も楽しみです。
笑いの中にも三文役者が千両役者になる過程が、主人公の変化とともにきちんと描かれていてあっぱれです。
よく知られた忠臣蔵をベースにしてるとはいえ、映画の尺にこれだけエピソードを加え笑わせ泣かせるのも素晴らしい。
手放しで褒めたいと思います。楽しみました。
いい映画をありがとうございました。
身代わりになったのは兄の方
忠臣蔵の話をベースにしたドタバタコメディー。吉良上野介の身代わりがいたら歴史がどう変わるのかと思ったら、最後にツジツマ合わせがある。
身代わりになったのは弟だったが、最後に身代わりになったのは、兄の方だった。
もっと泣き笑いさせてくれると思ったが、もう少し。ラグビー協会からクレームが来そうなシーンは、ブラックコメディーというより悪趣味。ムロと瑛太は悪くなく、孝証と内蔵助のキャラに魅力が足りない。佐々木蔵之介の超高速!参勤交代の方が、殿も家来も魅力があって面白く、ヒロインの色気も深田恭子の勝ち。ただ、寛一郎の演技は、世界のおきくも今回も良い。祖父と父譲りの、目の演技ができるいい俳優になった。
お色気仲直りは男の浪漫か!?
公開したばかりなのにガラガラだったので関心を持ってもらえるようにライトなネタバレにしました
話はざっくり説明すると忠臣蔵パラレルワールドです、分岐点で別説に移行して、最後には史実にきっちり寄せてきます
【評価ポイント】
・川口春奈さんや橋本マナミさんを始めとする女性陣のセクシー風なお芝居
・ムロさんのシリアスなシーンのお芝居
【減点したポイント】
・好き嫌いが分かれるであろうムロさんの定番である空回りの1人芝居シーン
・吉良上野介の屋敷から泉岳寺に移動中に行われる某スポーツパロディー(ここまで良かっただけにがっかりしました)
というポイントで評価させていただきました
コメディーなのに一瞬泣きそうになった(笑)
やっぱりムロツヨシさん良いですわ~!!
そして怖い怖い、柄本明さんこういう奉行とかバレたくない要の役が似合う!
あと北村一輝さん、将軍はそうですよね、やっぱ将軍は北村さんですよね~!!という安定の徳川政権。良き。「カラオケ行こ!」でも組長で貫禄あったけど、出演時間短くても組織のボスに北村さんがいると安定した作品になりますね。
*****
大石さんと吉良上野介(偽物)が知り合いだったら?!って予告編だけで面白そうだったけど、本編もちゃんと面白かったです。
ムロツヨシさん、去年の大河ドラマで秀吉の時も「おちゃらけた性格」と「厳しい(少し狂人めいた)性格」の使い分けが上手かったけど、安定して使い分けの演技が最高でした!
殿様とか王様系統の入れ替わりモノでお約束の「本物は横暴な性格だけど偽物は庶民や貧しい暮らし出身だから下々の気持ちの分かる良い治世を行える、なんなら本物よりも部下から慕われたりする」っていう展開が大好物なので(笑)、(イ・ビョンホンさん主演映画「王になった男」を思い出し。あれも良かった~)
「吉良上野介は悪かったじゃん!赤穂の武士達は筋を通してるし彼らのほうが正しいじゃん!仇討ちとかで結局無駄に家臣達の命が奪われるのはよくないよ!」って真っ当な感覚でこの事態をどうにかしようとしてる展開には、
コメディーなのに不覚にも泣きそうになりました。。!
めっちゃ家臣も大石さん達もリスペクトしてる、偽物だけど良い殿様じゃんか。。。(泣)
しかーーーし!
ムロツヨシさん主演で簡単にお涙頂戴させるだけで終わるわけがなかったーーー!!(笑)(笑)
後半の、とあるスポーツを彷彿とさせる動き、駄目だよいや〜仮にもそれはボールでなくてその。。。〜なんだこの演出は〜〜これは時代劇で合ってるのか?!と苦笑。
うーん、扱いとしてまぁその。。良くは無い。ので気になる人にはちょっと評価マイナスポイントになる気はしますが、
とりあえず「もしも吉良上野介が身代わりだったら」の世界観、エンタメとしてはなかなか面白かったです!!
年寄り向けかと思いきやなかなか面白かった!
全く事前情報なしになんとなく三谷幸喜が作りそうなやつだなって感じで見てみました。
出演者も今をときめく華がある感じの人が川口春奈くらいしか出ておらず(しかもほぼ脇役的な位置)大ヒットとかはしなさそうなある意味地味なメンツでの年寄り向けのコメディだなとも思いましたが内容的にはとても面白かった。
どの世代が見ても楽しめるんじゃないかと。若干、いやらしいシーンと血が跳ねるシーンもありますが。
ムロツヨシ演じる兄の身代わりになることになったタカアキは最初クズキャラだなと思ってましたが実は仲間や家来思いで川口春奈に対してもピュアな一面もありなんとなく志村けんのバカ殿様的なおバカだけど憎めないキャラでそんなタカアキが起こす痛快コメディって感じですね!
死んだ兄の方がよっぽどクズだったな(川口春奈のおっぱいで手あっためてもらうとか)
あと、兄を心臓マッサージしようとして殺しちゃったのにそこはあまり追及されずw
あのシーンがコント的な面白さもあり爆笑しちゃいました!
でもコントではなくちゃんと映画として見れる感じで良かったと思います!でも最初に書いたように本当めちゃくちゃ売れてるイケメン俳優とかは出てないし世間的には大ヒットとかはしなそうかな。でも良い作品なんでぜひ多くの人に見てもらいたいです!
立場は人を作る
忠臣蔵
元禄14年3月14日(1701年4月21日)
江戸城殿中で浅野内匠頭が
吉良上野介を切りつけ
内匠頭は切腹
赤穂藩の浅野家はお家断絶
その後大石内蔵助筆頭に
赤穂浪士47人が
元禄15年12月14日(1703年1月30日)
吉良邸に討ち入り上野介の首を取り
主人の仇を討ち果たした「赤穂事件」
を人形浄瑠璃として脚色し
1748年に上演された演目
ポイントは「忠臣蔵」の意味
臣は忠義を尽くして当たり前
わざわざ忠が付く意味は?
「暗君に仕えるご苦労さんな内蔵助」
という意味なのである
武士の社会を庶民から皮肉った
タイトルとも言える
そんな今作
非常に面白かったです
ちょくちょく作られる一連の
高速参勤交代とかのネタ系時代劇映画
カリカチュアを効かせたコメディ
仕立てなのですが忠臣蔵は
最後は赤穂浪士全員死ぬ
という結末がありますから
どこか悲壮的なものの
5年前の「決算!忠臣蔵」も
そうでしたが笑わせるとこ
泣かせるとこの緩急が
付けやすい感じ
赤穂藩の事情はこれまで通りながら
吉良上野介が斬りつけられた後
その傷が原因で死んでしまったら?
というifを基に
長男上野介が家を継いだので
出家させられたが逃げ出して
放逐されていた瓜二つの次男・
孝証(たかあき)が吉良家継続のため
急遽身代わりになるというもの
そして孝証は放浪の中で
大石内蔵助に偶然出会って
親友のように意気投合しましたが
討ち入りに突き進んでいく大石と
浅野家も吉良家も疎んじ
江戸の離れに屋敷を移し
討ち入りを迎え撃てと
家老柳沢吉安に仕向けられます
職が無くなった
下級武士たちの生活の為
お家再興したい自分と
仇討ちをしたい赤穂浪士達で
板挟みになる内蔵助
上野介のパワハラに苦しめられて
きた吉良家の家臣たちに気づき
家族のように扱おうとする中で
討ち入りされて無駄な
犠牲者を出したくない孝証
それぞれの立場は
近いものであるところで
孝証が内蔵助に
正体と本心を明かしていく
展開はなかなか熱いものがあります
終盤の
死んでしまった上野介の
遺体の扱い方については
コメディととっていいのか
はたまた不謹慎かという議論は
あるかもしれませんが
まぁムロツヨシの一人二役
ですしいいんじゃないでしょうか
と解釈して撮ってると思います
最近観た北野武の「首」でも
思いっきり蹴とばしてますし
最近ほんと映画で首よく見るな(笑)
相変わらずのムロツヨシの
破天荒なアドリブも満載
パッとシリアスに切り替えたり
永山瑛太の大石内蔵助も良かった
上野介のパワハラに耐えすぎて
もはやマゾになってしまった
斉藤宮内を演じる林遣都も
こんなん笑うわという
感じで良かったです
脚本執筆の段階で流行っていたものを取り入れても、時代遅れになってしまうナンセンスの典型
2024.2.10 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画
原作は土橋章宏の小説『身代わり忠臣蔵(幻冬社文庫)』
お家取り潰しの危機を避けるために芝居を打つ武士と僧侶を描いた時代劇コメディ映画
監督は河合勇人
脚本は土橋章宏
物語の舞台は元禄の江戸
赤穂藩の殿・浅野内匠頭(尾上右近)は、吉良上野介(ムロツヨシ)の度重なる嫌がらせにキレて、松の廊下で斬りかかってしまう
幸い傷は浅く、吉良は生き延びてしまうのだが、背中に傷があったことから「逃げ傷」と揶揄されて、その弁明をする必要があった
幕府の柳沢吉保(柄本明)はこの事態を重く見ていて、「逃げ傷」であれば「吉良家を取り潰しにする」と考えていたのである
一方その頃、殿の乱心の影響を受けた赤穂藩は取り潰しになってしまい、行き先を失った浪人たちは敵討の機会を伺っていた
浅野内匠頭は責任を取って自害し、その判断は赤穂藩長老の大石内蔵助(永山瑛太)に託されていた
大石は犠牲を出したくないと考えていたが、浪人たちを抑え込むには限界があり、その間でどうすべきかを悩んでいたのである
という「赤穂浪士の討ち入り」が描かれる中で、その本当のところはこうだったんじゃないの?という「もしも歴史改変コメディ」が描かれていく流れになっていた
実在する吉良の弟・孝証(ムロツヨシ)を登場させ、彼が死んでしまった吉良の身代わりを演じて、柳沢への申し開きをしていく様子が描かれていく
その後も、やむを得ずに身代わりを続けていくのだが、兼ねてから想いを抱いていた桔梗(川口春奈)との距離が近づき、それが継続の動機になっていたりする
本編は、柳沢の思惑を知った孝証が、偶然親友の仲になった大石を諭すという展開になるものの、武士としての誇りを止めることができずに、やむなく芝居を打つという流れになっていた
だが、あの乱戦で犠牲者が出ないわけもなく、後半の生首ラグビーは下品な演出になっていて、このシーンで脱力してしまう人は多い
配役の段階でシリアスなものになるとは思っていないが、いくら吉良憎しといえども、死人に鞭を打って楽しませるというのは悪趣味なので、そこは控えた方が良かったのではないだろうか
いずれにせよ、忠臣蔵を知っている前提で話が進むので、全く知らないと意味がわからないと思う
知れば知るほどに「登場人物」が理解できるので面白みが増すと思うが、そこまで日本史マニアではない人の目線だと、単なる悪ふざけのように思えてくる
シリアスに作り込む必要はないと思うが、ここまではっちゃけるのも微妙で、「人が変われば国も変わる」というメッセージを前面に出して、変わりゆく吉良家と暴走する赤穂浪士という構図のまま、惜しまれて殺されるという美談にしても良かったのかなと思う
世間は吉良を自業自得だというものの、吉良家の人間と大石だけはそうではないという想いの交錯があって、さらに当の本人はやはり嫌われ者だった、というので筋が通る
それゆえに、羽目を外しすぎた後半の演出は勿体無いものに思えたというのが率直な感想である
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