「The Last Ninja」身代わり忠臣蔵 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
The Last Ninja
河合監督は実写作品でかなりやらかしてる印象があるので、久々ではありますが結構不安視していました。ただその不安を払拭してくれるくらい真面目で要所要所で面白く仕上がっていました。原作は未読です。
一部のやりすぎなギャグだったり、雑コラみたいなCGが出てきた序盤は眉を顰めましたが、身代わりという役割を本筋にしてからは加速していくように面白くなっていきました。
殺された兄貴の身代わりをダメダメな弟が務めるという成り変わりものの王道をいく展開ながら、史実の忠臣蔵の流れを濁さずにやり切ったところにも好感が持てました。
ダメダメと言いつつも、他人を思いやる気持ちは兄貴よりも多くあり、質素なおかずで暮らしていた家臣たちのおかずを増やしたり、子供たちとの交流をしてみたり、給料増やしてみたり、色々と孝証の優しさが滲み出るシーンが多くあったのが印象的でした。
大石内蔵之介と孝証との夜明けまで飲んだくれで過ごし、長年の付き合いかのような交流をしたのち、再び出会った際は仇討ちをする側とされる側になっていて、蔵之介の気持ちが痛いほど分かる孝証が自分の首を差し出すと宣言した時は漢気あるなーと感心してしまいました。
序盤ではあれだけ呆けていた孝証が誰かの上に立つということで自分自身を見つめ直していくきっかけになって、最終的にこの決断につながったのは成長が垣間見えたなーと思いました。
終盤、なぜか兄貴の生首をラグビー形式でラリーしていく謎の流れが出てきて、吉良も赤穂もどちらも応戦するようにラグビーしていくので苦笑いしながら観ていました。不謹慎っちゃ不謹慎なんですが、なかなか観ない感じの生首の使い方だったので新鮮でした。
蔵之介含め仇討ちをしたものは切腹という流れは変えず、その死を悼む孝証の姿はもう最初とは別人のようで光り輝いていました。
孝証が次へと踏み出す様子もとても前向きで、良い気持ちで観終われたなと思いました。スカパラの主題歌もまた良い。
役者・ムロツヨシの凄さがこれでもかと発揮されていました。優しい声や表情は勿論のこと、コメディならではの派手なアクションが全て笑いに直結していって、どんだけこの人は飛び跳ねるんだとニヤニヤしながら観ていました。コメディに人間ドラマに、一人二役を演じ切ったのも相まって感動してしまいました。
これ絶対に原作面白いだろうなと思い、観終わった後本屋に駆け込んで購入しました。じっくり読んで映画との比較をしたいなーと思います。楽しかった〜。
鑑賞日 2/13
鑑賞時間 11:35〜13:45
座席 I-2