身代わり忠臣蔵のレビュー・感想・評価
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“遊び”のセンスは微妙だが、時代劇の観客層を広げる試みは大切
「超高速!参勤交代」「引っ越し大名!」の原作・脚本を手がけてきた土橋章宏が、武家社会の定番要素に現代的な視点や設定を加え21世紀の読者・観客にとって親しみやすい時代劇を作る持ち味を、この新作「身代わり忠臣蔵」でも発揮した。河合勇人監督は、テレビドラマでは「黒崎くんの言いなりになんてならない」「兄に愛されすぎて困ってます」、映画では「チア☆ダン」「かぐや様は告らせたい」など、ラブコメや青春ものを多数手がけてきた印象で、時代劇ファンではない若い世代にも届くような演出を期待されての起用だろう。
主要キャストも主演のムロツヨシをはじめテレビでお馴染みの中堅~若手の人気俳優がずらりと顔をそろえ、「忠臣蔵」を扱った多数の映画の中でも俳優陣の平均年齢が屈指の若さだと思われる。そうしたキャスティングの傾向も若い観客層の取り込みに寄与するはずで、時代劇コンテンツを現代向けにアップデートすることにより商業映画ジャンルとして存続・発展させる試みは大切であり評価されるべきだろう。
好みが分かれるところだとは思うが、作り手が“遊び”のつもりで入れたであろうネタで、心から笑えないものがいくつかあった。たとえば、ムロツヨシの鼻の近くのほくろを吉良上野介の“顔の特徴”として、身代わりを務める弟・孝証がつけぼくろを貼りつける。フィクションの設定と俳優のリアルを重ねるシュールな笑いを狙ったのだろうが、現実に顔面で目立つほくろ、とくに鼻に近い場所にあるほくろを気にしている人は多く、ほくろ除去の整形手術の広告を目にすることもよくある。そうした外見的特徴で他人を笑う人は昨今減ってきているはずだが、ひそかに悩んでいる人も少なからずいるだろうから、もちろん本編中で嘲笑の対象になっているわけではないにせよ、ほくろで笑いを取ろうとするセンスは微妙だ。
終盤の“ラグビー”シークエンスもやはり遊びなのだろうが、本当に必要な演出だったのかと疑問に思う。現代的な味付けと悪趣味をはき違えているというか。たとえ仇(かたき)であっても死者には敬意を払うのが日本の伝統的な美点のはずであり、遺体をモノ扱いするドタバタで笑いを誘おうとする姿勢には、時代劇であるがゆえになおさら違和感を覚えた。
吐き気がした。放送禁止にすべき。
無茶苦茶なストーリーだが原作があると知って驚いた。亡くなった人の首をボール代わりに蹴る、こんな酷いシーンを映像にして良いわけはない。吉良家とは縁もゆかりもないが、吐き気がした。放送禁止にすべき。
思った感じと違って良かった
最近定期的に存在するコメディ時代劇の一本。好きなカテゴリだから観ているわけだが、この作品にはそんなに期待していなかった。吉良上野介の身代わりになった男が、仇討ちを恐れて右往左往するだけだと思ったからだ(その要素はあるにはある)。
コメディが好きというわけではない自分としては、笑えればいいということでもなかった。
なんなら序盤の作品テンションから察するに仇討ち自体もないかもしれないくらいに感じていた。
しかしどうでしょう。ちゃんと笑いも入れながら何かいい感じに展開していき、忠臣蔵の大筋も脱線せず、ラストはホロリとさせられた。
突き抜け感がないので「超高速参勤交代」や「殿利息でござる」と並べるほど良かったとは言えないけれど、期待していた以上のものは観られた気がした。
普通に考えて忠臣蔵を吉良家の視点から見るというのがすでに珍しいわけで、赤穂にも吉良家にも政治的な圧がかかっている描写などは面白かった。
年末時代劇をやらなくなって忠臣蔵をちゃんと観る機会はなくなったからなあ。
ムロツヨシの良さ
実は とても素敵な作品でした
実際の忠臣蔵の結末に上手に添った内容になりながら身代わりになった心優しい(偽)吉良上野介の物語だった ただのコメディオンリーの作品かと思っていましたが(偽)吉良上野介と大石内蔵助の心あたたまる友情作品でした 最高!!
いろいろ
ムロツヨシ節炸裂作品。
ムロさんを使って
現代の価値観による”見直し忠臣蔵❗️”という感じ。
本作でムロさんが至極真っ当な人間に見えるから不思議。
弟の坊さんの方で。
当時と現代の乖離が甚だしいこと。
仇討ち、切腹‥‥。
西洋でも死刑と言えば、斬首が罷り通り、
仇討ちもあったが、
🇯🇵の切腹という概念が見当たらない。
だから切腹という言葉がそのまま使われるが。
大石内蔵助と結託するなんて、夢のような話。
お金💰まで用立てるあり得ないストーリー。
驚いたことに、
何を蹴っているかと思えば、吉良の首⁉️
これはいただけない‼️
冗談では済まされない、
奪われないようパスしているのも、
人の首をモノ扱いするのは、
笛まで吹いて悪趣味としか言えない。
この部分は無くすべきだった。
赤穂浪士は切腹させられるが、
打首よりマシな訳で
先の主君の裁きを鑑みてのことらしいが。
死ぬことは同じだが、その死に方により、
名誉or不名誉となる当時であり、
討ち死にで死ねば、
本人だけでなく家族にまで累が及び、
たまったものではない。
それが武士の世界となり理解しにくい。
「命よりお家」
殿中で浅野内匠頭に背中を斬られた吉良上野介に、もしものことがあれば吉良家も取りつぶしになりかねない。そこで家臣たちは上野介にそっくりな弟で、乞食坊主をしていた孝証を替え玉にする。そんな時、孝証は大石内蔵助と知り合い。
コメディ部分は、おおかた予想通りの笑い。結末は、どうなるんだろと思ったら意外な形で、なかなか面白かったです。それで漬物か。
もっと突き抜けて良かったかも。。。
2024年公開、東映。
【監督】:河合勇人
【脚本・原作】:土橋章宏
主な配役
【吉良孝証 / 吉良上野介】:ムロツヨシ
【大石内蔵助】:永山瑛太
【桔梗】:川口春奈
【浅野内匠頭】:尾上右近
【斎藤宮内】:林遣都
【柳沢吉保】:柄本明
もし、吉良上野介が替え玉だったら、、、
もし、替え玉の上野介と大石内蔵助が知り合いだったら、、、
◆原作を知らなくても、ミエミエの展開
ムロツヨシ(吉良孝証)と永山瑛太(大石内蔵助)が仲良くなった時点でラストまで見通せてしまう。
◆ムロツヨシのキャラに寄せすぎてないか?
ムロツヨシは良い役者だ。
渥美清が思い浮かぶ。
ただ、吉良孝証のキャラは、ムロツヨシそのものだ。
◆自分を邪険にした兄(上野介)の不始末を、弟(孝証)が片付ける。
童話、いや、道徳の教科書さながらの筋書きだ。
お人好し vs. お人好し、
平和すぎてどうしようもない映画だ。
人の生クビ(が入った設定の布)を
投げたり、蹴ったり、やりたい放題(笑)。
いっそのこと、
「大石内蔵助は生き延びた」くらいまで
突き抜けてもよかったかもしれない。
私の評価は、☆2.5。
途中から
最初はコメディ展開で半ば過ぎ、急にシリアスに。まぁ、その後は生首ラクビーになるわけだが。
ムロツヨシはシリアスの方が好きだな。
吉良上野介に関しては変えられたけど、流石に四十七士の最後は無理だよねぇ。将軍が「切腹。した事にしておけ」と力技ってのもなんだし。
しかし、最近は忠臣蔵ものが減ったねぇ。
身代わりという発想はスゴイ‼️
ムロツヨシによるムロツヨシのための映画かな❓
身代わりという発想はスゴイ‼️
まさか吉良上野介にそっくりな弟がいたなんて❗
兄貴とは真逆で、誰に対しても優しい❗
後半、「家来あってのお家だろう❗」と叫ぶところが、この映画の肝かなと思った。
現代に当てはめても至極真当な言葉。
「生徒あっての学校だろう❗」
「社員あっての会社だろう❗」
「国民あっての国家だろう❗」
大事なことを忘れてもらっては困る。
ラグビーボールのように『首』が跳ね回るのはご愛嬌にしてもちょっとやり過ぎかな。
林遣都がいい仕事をしている。
死んた吉良上野介を塩漬けにしておくなんて。
ちなみに塩は「赤穂の塩」だろうね。
寛一郎の清水一学の生き様がいい。
柄本明の柳沢吉保は極悪が似合いすぎ。
永山瑛太の大石内蔵助はかっこ良すぎ。
結局、(眉毛がつながった)将軍綱吉の助命があったにも関わらず、大石内蔵助は死んでしまった。
ここは史実どおりなのか。
せやけど、おもろかったわ(笑)。
暇なら見ようね
令和の忠臣蔵
笑って、笑って、手に汗握って笑って、そして泣かせる、エンターテインメント時代劇の王道を行く作品が本作です。
多くの人が知る忠臣蔵をベースにしつつ、奇想天外なストーリーに脚色し荒唐無稽な人物設定にしているにも関わらず、意外にすんなりスクリーンに没頭できたのは、偏に脚本がこなれているせいだと思います。現代的なストーリー展開にしながら、登場人物を最小限に絞り、時代劇の枠をギリギリ守ったシチュエーションと台詞回しによりますが、このジャンルでの土橋章宏氏の筆致はいつもながら見事に冴えていました。
脚本に加え、変幻自在怪優・ムロツヨシの本領が発揮され、ほぼ独壇場のワンマンライブが本作を際立たせています。
けれど前半は、ムロの明らかに過剰気味の演技が際物めいていて、顰蹙させられていましたが、このフザケ度が後半のやや重いスジを一層に引き立たせます。ちょうど『柳生一族の陰謀』(1978年)で柳生但馬守を演じた萬屋錦之介の演技に通じます。
忠臣蔵では、吉良方を悪役、浅野/赤穂側を正義として描き、勧善懲悪の仇討ちという普遍の軸に作品ごとに色々と凝った肉付けをして作品の特色を出していきますが、ともかくは観客を正義の赤穂側に感情移入させていきます。そして多くの場合、赤穂の象徴として主人公になる大石内蔵助の一人称目線で進行します。
が、本作は、視点を逆転させて吉良方を主役に据えた上に、吉良も大石も善人とする意表を衝いたスジです。ただ話を進めるには置かざるを得ない悪役は側用人・柳沢吉保のみなので、どうしても設定が弱くなり討ち入りの必然性が希薄になってしまうのに、空虚な印象がしてこないのは、多くの京都の社寺仏閣等でのロケ主体で撮られた映像がリアルで、その時代の緊迫感がスクリーンに漲っていたせいだと思います。
おなじみの随心院、大覚寺、妙心寺、金戒光明寺、流れ橋に加え、本作では萬福寺、落柿舎、更に久々に二条城で撮られていました。何といってもラストの粟生光明寺の坂道は、主人公の新たな旅立ちの不安と希望を象徴して、非常に効果的であったと思います。
後半、主役のムロツヨシの目が明らかに変わります。それまでの世を拗ねた戯画めいた眼差しが透徹した澄んだ目になり、欲望で動いていた動機が、己の命を賭して大義に捧げるという劇的なパラダイムシフトを遂げます。このギャップ、いわば義理と人情に目覚めて、人が変わっていく様は、純粋に心を打ちます。
奇抜な設定とユニークな配役が囃されている本作ですが、その本質は人間愛にあると思います。
尚、今や忠臣蔵を知らない人が大宗を占める時代ゆえに、何年かに一度は、本作のような変則技でもよいので忠臣蔵ドラマを製作・公開してもらいたいものです。
多少笑ったけど
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