劇場公開日 2023年9月15日

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「手に負えない」キリング・オブ・ケネス・チェンバレン marさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0手に負えない

2025年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

人種差別の根っこは深い。
それはたぶん各人の生存本能からくるものだからじゃないだろうか。

ケネス・チェンバレンはきっと無辜の人だったのだろう。
だけど犯罪率の高い地域で、犯罪率が高い(と思われている)見た目の人が
(病気だとは言え)常軌を逸した行動をしていたとしたら、どうだろうか。
自分や同僚を含めた周囲の人間が危険にさらされていると感じるんじゃないだろうか。

けっして警官の行動を擁護するわけじゃないけど、
自分がその場にいたとして、冷静な判断ができただろうか。
僕はどうしても自信がもてない。きっと恐怖に駆られると思う。
それはケネス・チェンバレンの鏡映しでもあるんじゃないだろうか。

多様性、相互理解、平和、
そういうキレイな言葉は、恵まれた環境に生きているから吐けるだけなのかもしれない。
アメリカの暗部みたいな場所で信念を貫いたケネス・チェンバレンは英雄なのだろうか。
こういう悲劇を繰り返さないためには、
「人権意識」なんていう不安定で気まぐれなものに頼るしかないんだろうか?

なんかもう、手に負えない。
いろいろよく分かんねぇなって感想しか出てこない。
作品としては面白かったけど、ただただ絶望的な気分になる映画体験だった。

mar
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