「アメリカ」キリング・オブ・ケネス・チェンバレン ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ
まず、私が思うアメリカの良い所を書きたい。
世界最先端のカルチャー、エンタメ、音楽、ファッションを発信し続けている国ということ。
医療、教育、様々な分野でも世界トップレベルです。
社交的でフレンドリーな人が多く、自由や平等に対する意識が高い。
たくさんの価値観がある事も素敵です。
私が特にリスペクトするのは養子制度。
養育出来ない場合は「養子に出す」という選択肢がしっかり認められており、アメリカでは80%近くの子供が里親の元に行けるそうです。
不幸な子にも幸せになる権利が確立されている事は素晴らしいです。
問題が起きた時はいつもそれを批判したり、反対する人々が存在する事。デモなど実際に行動を起こすのも日本とは違い当たり前の事ですよね。
全てにおいてスケールがデカい!
桁違い!憧れる所も多いです。
しかし、人種差別は今なお色濃く残り、本作の様な悲劇を繰り返している側面があるのも事実です。
アメリカではないですが、人種差別といえば、先日ショッキングなニュースを知り、ずっと心が痛かったです。
去年アイルランドで行われた女子体操の大会の表彰式での出来事。
笑顔で一列に並んだ少女達。1人1人順番に首にメダルをかけてもらうのを待っていた。
しかし、黒人少女1人だけとばされ、メダルを授与されなかったのです。
姿勢良くニコニコしてメダルを待つ彼女の姿。
自分だけメダルがもらえず戸惑っている表情。胸が張り裂けました。
彼女を抱きしめてあげたかった。
ブランディー、ディスチャ、ローリン・ヒル、マイケル・ジャクソン、ファレル・ウィリアムス、レニー・クラヴィッツ、スティービー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、エディ・マーフィー、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン、ウィル・スミス、サミュエル・L・ジャクソン、ウーピー・ゴールドバーグ、バスキア、ナオミ・キャンベル、、、
他にもスポーツ選手や作家など、活躍する黒人は多い。
そんな素晴らしい彼らに触れ、あの白人警官は心が動かされた事はないのか。
幼い時からもう洗脳されていたのか。
彼が警察官を志したきっかけは何だったのか。正義の心はなかったのか。
白人至上主義を振りかざし、自分は強く、偉くなったつもりにでもなったのか。
ケネスが白人警官の入室を拒まなければ起こらなかった悲劇。。では片付けられない闇があった。
そして警察官に有罪判決が出なかった事にも憤りしかない。
アメリカの銃社会や人種差別問題の根深さは、実際には自分が経験していない事、見た事もないものなので、想像力だけで理解するのは難しい。
しかし、映画や本はその助けになる。
人間は愚かな生き物で、この様な悲劇も差別も戦争もなくなる事はないだろう。
と、理解した上で、どの様に生きるべきか考えるきっかけをくれた作品でした。
こんばんは、コメントありがとうございます。お気持ちわかります。私も本作を鑑賞後、つらくてすぐにはレビュー書けませんでした。本作に限らず、アメリカの黒人差別を描いた映画はたくさん作られていて、見るたびに落ち込みます。でも差別の問題はアメリカだけでなく日本も例外ではないので、こういった問題から目を背けずに生きていきたいとは思ってます。それで少しでも社会が良い方向へ向かっていけばいいと願いつつ。