「チェスを見ているようで退屈」ナポレオン たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
チェスを見ているようで退屈
枕詞に巨匠と記されている場合ろくなことが無い。誰もが認める偉大なムービーメーカーでこれまでリドリー・スコットの作品を観て一瞬たりとも「退屈」と感じたことが無く最もハズレなしで安心して鑑賞できる監督のはずなのだが今回少し「退屈」と感じてしまった。日本の豊臣秀吉同様コルシカ島生まれで無名の貧しき軍人がフランス革命後の激動の時流に乗って皇帝にまで昇り詰めるという成功譚、連戦連勝のフランスの英雄を描くのだが視点が定まっておらず「自軍300万の兵隊を殺した悪魔」というテーマになるべきはずが、彼の生涯と幾つかの歴史的戦いを総花的にダイジェストで見せる凡庸な作品となってしまった。制作費2億ドル8000人のエキストラを使い11台のカメラで戦争スペクタルを描いたというのだがそれが何なのだろう?生身の人と人が殺しあう悲惨が描けていないのだ。ホアキン・フェニックスはもちろん素晴らしく彼とジョゼフィーヌの芝居は十分に楽しめるのだが、悪人にしきれないのがこの偉大な英雄を描く難しさなのだろうか?死屍累々のエンドクレジットが長いこと長いこと・・私史上最長
コメントする