劇場公開日 2023年12月1日

「リドリー・スコット 監督  今回" も "晩節を汚す」ナポレオン YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5リドリー・スコット 監督  今回" も "晩節を汚す

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

今年1番の期待作だったので、迷わず 初日に観ました。

深く考えずに、字幕版を観てしまったが、本作は英語劇だったので、
英語を話す ナポレオン と フランス人達 には まるでリアル感がなく、
この 極薄ハリボテ映画を英語版で観る価値はないので、日本語吹き替え版で鑑賞すべきでした。

また、この駄作映画を見る前夜には10時間余の 充分な睡眠をとっておかないと、
本作鑑賞中が 睡魔との戦いになってしまうでしょうでしょう。

この映画は 何が言いたい映画なのか。。。?
副題「英雄か悪魔か?」この映画は そんな事を言えていたのだろうか?

ハリウッド映画なので、撮影技術は申し分ないが、音楽は手抜きレベル
ナポレオンの長い半生を描くには、映画ではなく、Netflixあたりで、3シーズン位に別けた 長編ドラマに構成すべきでしたが
リドリー・スコット 監督は 映画「タイタニック」のように、男女の恋愛映画にしたいと考え
恋多き皇后 ジョゼフィンを軸にした脚本に執着してしまい
ナポレオンがハクスブルグ家令嬢と結婚した事や、ルイ18世を追い落とした野心 そして ナポレオン法典 を創った功績までも ないがしろにして、
ナポレオンがどういう人間なのかを無視して、 かっての「マカロニ ウエスタン」のような、「ハリウッド 解釈のフランス料理」=ヘンテコな創作映画になってしまいました。

また なんら基礎的歴史観がない脚本家は
多くても「アウステルリッツ」「ロシア侵攻」「ワーテルロー」程度の3つ程度に戦いを絞ればいいものを
歴史のポイントを理解できていないようで
、ナポレオンに とって は大した意味のない戦いや
多々なストーリーの"数々の出来事"をダラダラと展開し続け、限られた映画時間の無駄遣いをしてしまった。

その1番肝心な 最後の戦い「ワーテルローの戦い」は、
前戦の「リ二ーの戦い」があっての、再集結「ワーテルロー」なので、
前戦場から、離脱したプロシア軍と追撃した フランス別動隊の
どちらが先に、ワーテルローの戦地に辿り着くかが、このワーテルローの勝敗のキメ手 となったのですが、
どうも本作脚本家は そのレベルの歴史知識さえもなかったようで、つまらぬ戦闘に成ってしまっている。

有名すぎる ワーテルローの戦地と この映画の 広いだけの撮影地 の見た目が違い過ぎました。
ナポレオンが、指揮所としていたのは 戦場では1番高地に建つ有名な"大屋敷"なのだが、
本作では 英国軍本陣と同じくらいの 対峙した丘の上の"テント!"
この豪邸は、戦後処理にも使われた歴史的重要施設なので、ハリボテでもよいから、作る冪モノです。
また戦場を囲む2つの丘から、盆地的な谷になる中央部には、戦闘の中心である激戦区の"ラ・エー・サント"と"ウーグモン"と言った
二つの 大きな農場主の豪邸があり、英・蘭連合軍がここを護りぬいたのが、この戦闘の第二の キモ なのだが。。。
歴史とは無縁なアメリカ人には、この辺のことは どうでも良いのでしょう。
ナポレオンの帽子もヘンだし、

この時代の どの軍も、敵に寄る 勇気いる"横隊戦列"は、鼓笛隊のリズムで、歩調を合わせて前進しますが、これは"にぎやかし"や"勇気づけ"ではありません。
味方が逃げないように、日頃から“二拍子 曲(行進曲)” に 歩調を あわせさせたもので、この 行進訓練を 現代の軍隊でも、実施しています。
また、連隊帰属意識を高める為に、連隊毎に 微妙に軍服が違う事を この映画では きちんと表現しておらずに残念 アバウトなハリウッド人には無縁なファッション性。

この 連隊 と言うのは、日本で 言う 戦国大名・藩にあたり、欧州では 貴族である連隊長(大佐)が、主になり、連隊は独立性があり、連隊の兵は国家ではなく、各貴族が養っている組織なので、国家の軍がピラミッド型の平等なアメリカ人には、それが理解できてない。

最後に、長尾景虎(上杉謙信)のように、ナポレオンがサーベルを抜いて、敵陣に切り込んで闘いだしますが、
皇帝近衛隊にナポレオン皇帝は加わりません。配置場所も違うし。。。

最近のハリウッド映画は、チョコレートに気を使い過ぎます。
結婚式や、館の女、高級士官に士官候補生(子供)。。。10回程度 これみよがしに 出てくるが、アレです!
記録映画を創っているのではないが、あまり湾曲した事を ねじ込むと、映画の品と質が下がります。

劇中「ローマ ヴィクトリー(グラディエーター)」ならぬ「フランス ヴィクトリー」は、嬉しい無銘兵士のセリフが 入り
嬉しい点も在ったりするが、
スコット 監督は、ブラックホーク・ダウン(2001)位までは、素晴らしい作品を作り続けましたが、
それ以降は 不作続きの ダメ監督・製作者に成り下がってしまったようで、
現在「Gladiator 2 (2024年)」を作っているようだけれど。。。大丈夫か? 心配になってきた。

YAS!
トミーさんのコメント
2024年4月11日

共感ありがとうございます。
「オッペンハイマー」のような遠慮と抑制がまるで無かったですね。それがリドスコの作家性なのかもしれません。

トミー
マルボロマンさんのコメント
2024年3月30日

とても共感したのと、とても勉強になりました。感謝。

マルボロマン
YAS!さんのコメント
2024年1月27日

フランス軍内での チョコレート(アフリカ系)のことですが、
昔からフランスでは、"ムーア人(スリランカ)"という存在の位置づけがあります。
一般兵科には、配属されず、特殊に扱われておりました。
近代である WW2 米軍でさえも、似たようなものです。

この映画では、その辺の微妙さを無視して、
ごり押しして、現代の軍隊と同じように、「肌の色に関係なく。。。」
たとえ、娯楽映画の中ででも 既成事実を歪曲して 映画をつくる表現に悪さえ感じます。

ムーア人について、その辺のことは、だいぶ前になりますが、フランスとスペインの両博物館に行き、通訳を挟んではいますが、
個人的に、解説員から直接話を聞いています。

YAS!
YAS!さんのコメント
2024年1月6日

平田隆文さん、あつぼーさん、blucherさん、
トミーさん、エカシムロさん、MP0さん
MR POPOさん コメントありがとうございます。

僕は、映画が好きで、学生時に少しだけ"自主映画"を作ったりしていましたが、
東京の隅っこに住む、唯の歴史好きな、クリーニング屋です。
この映画の監督や脚本家、そして考証をしたかもしれない人よりかは
近代史を知っているつもりです。

監督はイギリス人と言うよりも、もうハリウッド人であり
エンターテイメントに賭ける情熱が、世界1だと信じていましたが、
もう情熱の電池切れなのでしょう。
映画は創作物ではなく、単なる"集金マシーン"としか考えていないと思われます。
日本にも、自分が創りたい映画を創るのではなく、プロデューサーから 指名されれば、
どんなジャンルの作品でも作る 単なる"雇われ監督 "が存在しますが、ソレになってしまいましたね。

英国軍、フランス軍では、例外的に チョコレートを置いてはいますが、あくまで それは例外であり
軍隊の中での、差し支えないポジションにだけです。
それはアメリカ軍でさえ、そうでWW2終戦まで続きます。

YAS!
MR POPOさんのコメント
2023年12月23日

どこに軸を置いたか、どの視点から描いたの差ではないでしょうか?
歴史ガーというけど、今回の映画を作る際に世に残る文献を集めまくったそうですからYASさんよりは知ってるでは?
それで限られた時間で描くわけですから、解釈や端折る選択が違ってくるのは当たり前かと。
音楽も手抜きとありますが、当時にあった物で作られてると聴きましたよ。
あとチョコレートなど揶揄するあたり人間性が垣間見えましたね。

MR POPO
MP0さんのコメント
2023年12月21日

言いたいことは「退屈」「何が言いたいのか分からない」「イギリス人がフランス人をバカにするための歴史を不勉強な脚本」だということ。

MP0
エカシムロさんのコメント
2023年12月17日

歴史を湾曲??
史実でもナポレオンの部下にはデュマ中将(三銃士や巌窟王でおなじみ大デュマの父)みたいな有名な黒人(混血)の将軍もいるんだが…

エカシムロ
トミーさんのコメント
2023年12月5日

まぁ多作なリドスコさんですからね。金のかかった今作が吹っ飛ぶような作品を作ってくれればいい、グラディエーター2は期待薄ですが・・

トミー
blucherさんのコメント
2023年12月3日

YASさんの見解に同意ですね。

blucher
あつぼーさんのコメント
2023年12月3日

こんな感想書けるのがまず凄い頭良いですね😂
プロの方ですか?

あつぼー
平田隆文さんのコメント
2023年12月2日

リドリー・スコット監督はイギリス人。

平田隆文