「コニャックの等級」ナポレオン TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
コニャックの等級
この手の作品を観て常々思うこと(でも、やっぱりやらないんだけど)と言えば、「ちゃんと世界史を知ればもっと面白いだろうに・・・」。
特にヨーロッパとロシアは戦争に次ぐ戦争で、タイムラインや国境線は複雑すぎ。正直、「プロイセン」なんて久しぶりに聞いた気がします。そして、ナポレオンというビッグネームですら、その印象は「皇帝」「馬に乗った肖像画」、そして何といっても「コニャックの等級」くらい。。ちなみにその由来は「1811年に皇帝ナポレオン・ボナパルトに初めての男の子が生まれた喜びと、ブドウの豊作を記念し、その年にできたブランデーをナポレオンと名付けたのが始まりという説」があるそうですが、、って結局、世界史じゃなくて雑学ばかりが気になる私。と一見、いつもの私の脱線傾向と思われるかもしれませんが、今作『ナポレオン』にとっても「男児誕生」は重要なポイントになります。
さてさて、今回も観に行くかどうかの判断から始まり最初に引っかかったのは「158分か。。」まぁ、リドリー・スコット作品だしそこは覚悟の上として、、意外とIMDbやRotten Tomatoesの評価が高くない。。。が、やはり観ておかないとと思い直して参戦です。
ですが、公開初日の今日、TOHOシネマズ日本橋が本作(夜回)に割り当てたのは小さめで何のギミックもない「スクリーン3」。ところが今日は「映画の日」と言うこともあって、シアターはおそらくフルハウスの客入りだったと思います。
で、観てみてやはり思うのはやはり「戦闘シーン」の迫力です。この時代の戦争において最大の破壊力である「大砲」と、緊張と高揚が織り交ざるナポレオンの「息遣い」など、音による演出は大変素晴らしいです。実際、早い時間帯ではDolby-ATMOS(スクリーン8)もあるのでなおさら、この時間にスクリーン3を割り当てる日本橋の番組担当の「見立て」にがっかりしたりします。。
で、肝心のストーリーは?と言うと、正直中盤までは「半信半疑」でしたが、結局いつの間にか前のめりになりますね。一見「破天荒」にすら見えるナポレオンとジョゼフィーヌの結婚生活ですが、やはり時代ならでは、遠征などで離れている間は筆まめな二人に、後半に至るほど(その顛末を含め)キュンとします。
そして、不器用なりに天性の勝負勘で戦争にのめり込み、且つ、「かつての栄光」に幻想を抱くものの加齢と肥満でイメージを再現できない後年のナポレオンに、自分もそんな歳になったことを重ねて哀愁を感じます。
と言うことで、「観る人による」作品だとは思いますが、リドリー・スコット、ホアキン・フェニックス、そしてバネッサ・カービーという面子に裏切りなく味わい深い作品に仕上がっていると思います。