「ナポレオンからの手紙」ナポレオン レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ナポレオンからの手紙
終始心を奪われた妻に翻弄されるナポレオン、彼女の浮気を知って軍を放り出し遠征先から帰国。妻を責めるも結局はマウントをとられる始末。マザコン的な性格も垣間見える。
まるで盛りがついた犬のように交尾するナポレオン、ミイラとの対面に箱を台にするナポレオン、暴徒に追われて無様に階段を転げ落ちるナポレオン、自分をからかう新聞記事に切れまくるナポレオン、侍女たちにモスクワの焦土作戦は常識だと戒められるナポレオン、等々ここまでフランスの英雄をこき下ろして大丈夫ですか。また戦争起きたりして、起きないか。
ナポレオンの宿敵だったイギリス人のリドリー・スコットがその英雄をこき下ろした作品なのかと思ったが、監督のインタビューからもわかる通りその主題はナポレオンとその妻ジョセフィーヌとの愛憎劇に重きを置いたようだ。
現存するナポレオンの彼女にあてた手紙からも彼の愛情の深さを知ることができる。かたやジョセフィーヌの方はほとんど返事を返さず浮気に夢中。そんな彼女への当てつけでナポレオンも浮気をしまくり婚外子を作りまくる始末。
追っかけるナポレオン、その彼をいなしてはうまく立ち回るジョセフィーヌ。二人の愛憎劇はまるでドロドロした昼ドラのよう。
またさすがリドリースコット監督だけにスペクタクル感満載の戦闘シーンは圧巻。驚いたのは最初のトゥーロンの戦いでナポレオンの乗る馬が大砲の直撃を受けるシーン。今まで戦争映画で馬が血を吹いて倒れるシーンなんて見たことない。これだけの大御所なのにいまだにこんなフレッシュな映像表現が健在とは。
また史実通りデモ行進してる生身の人間に対して大砲を打ち込むなど残虐極まりないシーンや氷上に敵を誘い込んでの大砲一斉攻撃など見どころも盛り沢山。
でもやはりメインは二人の愛の物語、ナポレオンが幽閉されてる間に病でこの世を去ったジョセフィーヌ。彼女を失い失意のまま再度戦場で指揮するもかつての奇跡のような勝利をおさめることも出来ず、最後は流刑先でその生涯を終える。
ジョセフィーヌの言った通りナポレオンは彼女のもとへ旅立ったのだろう。二人が最後に残した言葉には互いの名前があったという。最後まで互いのことを思いこの世を去った二人。
結構歴史的事実が多く盛り込まれていて情報過多なイメージだけど、戦闘シーンと二人の愛情物語を楽しめばいい作品。
スコセッシに続いて、ベテラン監督の大作が観れてうれしい限り。
別に敵国? の英雄を揶揄する映画でもいいんですが、あの戦死者データの出し方は! 戦犯ナポレオンとは言い切れない、他国は革命後のフランスに虎視眈々だったんだから。
レントさんもそうでした?私もかなり笑いました。ジョゼフィーヌと向かい合っての食事中に、ボナパルとがホニャホニャ意味不明語つぶやいて、テーブルの下にもぐって、ジョゼフィーヌも続く!あの場面だけでも再度見てませんもう一度笑いたいです!
思わず笑ってしまったのは、大砲を撃つ度に、その音が物凄いからナポレオン(その他の兵士も)が両手で両耳を塞ぐシーンが何回もあったことです。これは音がうるさいから、でいいんでしょうか?それとも鼓膜が破れないようにするため?
ナポレオンが乗っていた白馬が血まみれになって倒れた箇所、すごかったですね。その馬の腹に手を入れて腹の中から大砲の玉を取り出して母親に送ってくれ、というナポレオンの言葉に圧倒されました