「【”無垢なる幼き子供達の心と身体を傷つけるな!”今作は子供達が誘拐される時は怒りと哀しみを覚え、捜査官が命懸けで捜索するスリリングなシーンに引き込まれ、ラストは涙するムネアツな社会派映画なのである。】」サウンド・オブ・フリーダム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”無垢なる幼き子供達の心と身体を傷つけるな!”今作は子供達が誘拐される時は怒りと哀しみを覚え、捜査官が命懸けで捜索するスリリングなシーンに引き込まれ、ラストは涙するムネアツな社会派映画なのである。】
ー エンドロールで、この作品が実話に基づいて製作された事が分かる。そして、世界に蔓延る児童誘拐事件の増加の実態を知り、主演の捜査官ティムを演じた敬虔なクリスチャンであるジム・カービルが第4の壁を越えて観る側に訴えかけてくる言葉に、琴線を揺さぶられたのである。
今作を鑑賞する前に新聞に掲載された、東南アジアで児童買春をした日本人の中年の男のインタビュー”貧しい村に金を落として、何が悪い。”という開き直ったコメントを読み、”お前は、地獄に堕ちろ!”と思った事も、一因で有ろう。
■但し、評点の4.5は、この映画の内容と社会的意義に共鳴してのモノである事は、敢えて記載する。ー
■米国土安全保障省に勤務するティム捜査官は、アメリカ国内で小児性愛者の逮捕に成果を上げて来た。
だが、誘拐された子供の殆どが、海外に連れ去られているためにもどかしさを感じていた。そして彼は上司を説得し、一週間だけコロンビアに渡り、且つては児童買春の組織側にいた男バンビロ(ビル・キャンプ)達とチームを組み、コロンビアの人身売買業者や、顧客の小児性愛者たちを、ある島におびき寄せ一網打尽にする計画を実行する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・児童買春の実態がここまで拡大しているとは、恥ずかしながら知らなかった。この映画を観ていると、子供達をおびき寄せ誘拐する組織の手際の良さから、犯罪行為が常習化している事が良く分かる。
・幼い姉弟、ロシオとミゲルが誘拐されるシーンは恐ろしい。美しい女がロシオが太鼓でリズムを刻む中、近付いてきて”オーディションがあるの。パパを説得して。”と言い、ホテルの一室に連れ込む。そこには、夢見る多数の幼子がいるのである。女は子供達の”大人びたポーズ”の写真を撮るのである。
ロシオとミゲルの父が迎えに来た時には、部屋は蛻の殻である。
・怯える子供達が、バンに乗せられる時の恐れと哀しみの顔は、忘れ難い。そして、子供達は愚かしき小児性愛者たちに買われて行くのである。
余りに悲惨であり、可哀想過ぎる。
子を誘拐された男の言葉”娘がいないベッドがある家で、眠れるか?”が哀しく響く。
・バンビロが改心した理由を、酒を呑みながら話すシーンで彼が言った言葉も印象的である。
”出所した後、いつものように酒を呑んでいたら、町に女が立っていた。終わった後に分かったんだ。25歳じゃなかった。14歳だったんだ。俺は銃で頭を撃ち抜こうとしたんだ。何故生きて居るかは、神のみぞ知るだよ。”
■そして、ティム捜査官とバンビロは見事に、コロンビアの人身売買業者や、顧客の小児性愛者たちを、ある島におびき寄せ一網打尽にするのである。
だが、そこには救い出したミゲルの姉、ロシオの姿は無い。彼女はコロンビアの反政府ゲリラの居住地である南部に連れ去られていたのである。
ここからが、凄いのだがティム捜査官は、ナント米国土安全保障省を年金受給10カ月前にして辞め、バンビロと共に国連の医師団を装い、反政府ゲリラが居る集落に乗り込んで行くのである。ゲリラの親玉が言った通り、物凄い肝っ魂であるし、崇高な行為には頭が下がる。
そして、ティム捜査官は銃弾が飛び交う中、無事にロシオを救い出すのである。
<ラストシーンは、心に沁みる。ロシオはミゲルが見守る中、父と抱き合い誘拐される前と同じように太鼓でリズムを刻むのである。正に”サウンド・オブ・フリーダム”である。
そして、この作品ではエンドロール時に拡大の一途を辿る児童買春の実態がテロップで流れ、実際の犯罪者たちが逮捕された時や、子供達が救出された時の写真も映し出される。
今作は、スリリングな展開に引き込まれるアクション映画であるが、私が最も感銘を受けたのは、この作品が児童買春の実態を世に知らしめた事であると思う。
故にレビュータイトルには”社会派映画”と入れたのである。>
<2024年11月3日 刈谷日劇にて鑑賞>