「黒沢清初心者には良いかもしれないが」Chime 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
黒沢清初心者には良いかもしれないが
長年黒沢清監督を追い続けているけど、これって「 劣化版CURE 」 だよね?予告編が短くてどんな内容なのかも分からなかったんだけど、
予告編がもう少し長くてストーリーが分かっていたのならこれって「CURE 」の焼き直しじゃん?と黒沢清ファンなら気づく筈。
27年前に既にやった事を今更やってもねぇ。何で同じネタをやる事になったんだろ?「 CURE 」は大好きな作品だけど、役者を変えて同じテーマでやっても「 CURE 」 を超えるのはちと厳しいでしょ?
料理教室のぼっち男性が授業中に突然キレて自分の頭を包丁で刺した事がキッカケになって、イラっとする生徒を滅多刺しにして殺すんだけど、発作的に殺人をする割には、死体を入れるシェラフを事前に用意していたり、まるでその日に遺体を運ぶのを計画していたかのように、料理教室のビルの一方通行の道路にマイカーを路駐しているのは何故?せめて、駐車場に止めないかな?
真っ昼間から人目につく筈なのに白昼堂々と河川敷に死体を遺棄しているけど、何故夜中に遺棄しないのか?あれだけ、派手に料理教室で殺人をしているのに後始末はどうしていたのか、これだけ痕跡を残しているのに全く気づかない刑事役の渡辺いっけいは間抜けすぎじゃないのか?
「 CURE 」 は殺人の動機( スイッチ)が、催眠術のようなモノだという説得力があったけど、この作品は動機が頭の中に聞こえるチャイムだというならば最初のイラっとする女性の生徒を殺す時に主人公の頭の中でチャイムが鳴っている描写がないから、唐突に人を殺すから意味が分からない。
黒沢清監督は、清水崇監督みたいに、自己模倣を続ける事も無く発表する作品は毎回切り口が違って楽しませてくれたのに、何故今更「 CURE 」 の焼き直しをするに至ったのかその理由が分からない。どうしちゃったの?
スパイク・リーがリメイクしたオールドボーイみたいに、オリジナルを超える事が出来ないのは分かっているんだから、ここは新作で勝負すべきでした。
昔のネタを繰り返して許されるのは、噺家と講談師とアサダ二世の手品だけだぞ?今日はちゃんとやらなきゃいけないよ?
黒沢清演出を極力排除したスパイの妻で評価されて、僕らの黒沢清は手の届かない星の人になってしまったが、本作でいつもの黒沢清に戻ってくれたのは嬉しかった。
だから、ファンムービーとしては文句のつけようがない作品です。お安い特別料金1500円で見れるしね?
← 結局褒めるんかい。