「星を救うのは仲間と心を合わせた音楽」映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー) Ato Tanakaさんの映画レビュー(感想・評価)
星を救うのは仲間と心を合わせた音楽
映画ドラえもんをおよそ30年愛してきています。音楽がこれまで題材としてなかったのが意外に思い、新鮮に感じました。
ヴィルトゥオーゾに選ばれたのび太くんしずかちゃん、ジャイアンスネ夫。
このカルテットは、(腕前はともかく)しずかちゃんはピアノとヴァイオリンの稽古を受けていて、ジャイアンは将来歌手を志していてリサイタルを開くなどアーティスト活動をしており音楽に造詣が深く、また英才教育を受けているスネ夫はおそらくクラシック音楽のレコードをたくさん聴いているだろうし、のび太はやはり紙一重で天才だったりと4人とも感性が豊かで、即興で楽器のセッションをさせてみたら非凡な才能が開花するというのは長年のドラえもんファンとしてはとても納得したし、痛快に感じました。
地球人が言語で会話をするように、音楽でコミニュケーションを交わすファーレの殿堂の人々。宇宙にそういう星があり、心の通った音楽が星の危機を救うというのは、現代の地球人にとってのメッセージにも感じました。
数年前、コロナ禍でコンサートなどの芸術や娯楽の公演は軒並み中止になったときのことを思い出しました。音が耳元で美しくきこえ、いつも隣に気持ちに寄り添ってくれるような音楽がある。それが失われ、かつては当たり前だったことが当たり前でなくなったとき、人々はどうなる?そんなことをこの映画でもう一度問いかけられた気がしました。そして、当たり前の日常に感謝をしなければ、と思いました。
そして、ドラえもんが今回脇役に徹したということにも拍手を送りたいと思いました。あくまでも今回は、22世紀の科学よりも、人々の心の通った音楽が星を救ったというところに、この映画が伝えたいメッセージが込められていたと思います。ですがのび太が、ジャイアン達に罵られても、必死にドラえもんを助けようとする場面はやっぱり泣けてしまいます。この2人の間の特別な友情にはわかってても必ず毎回やられてしまうんですよ...。
そして、地球にたくさんの素晴らしい音楽家がいるなかで、星の危機を救うヴィルトゥオーゾに選ばれたのが4人の子どもたちだったということも、星を救えるファーレを奏でられるのはこの4人だったのかな...と、納得しました。
いや〜おもしろかったです。ドラえもん大好き!
劇中の音楽も聴いてて楽しく、お得な気分になれました。製作陣の皆さま、演奏家の皆さま、ありがとうございました!