「彼らの「強さ」の理由がわかる」BE:the ONE ALABAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
彼らの「強さ」の理由がわかる
声出しNGの時期のライヴなのに歓声の効果音が入れられていたりの違和感はあるが、それを補って余りある、充実した内容のドキュメンタリー。
彼らが何を目指し生まれたのか、何を大事にして進んできたのか、そしていまどんな道の途中にいるのか、全てが詰まった音楽ファンなら必見の映画。
BE:FIRSTファン以外が観て楽しめるのかどうかは意見の分かれるところだとは思うが、フェスやTV番組などで彼らの存在は知っているがこれまでの経緯はあまり…という方にこそ観てほしい。
なぜなら、監督自身が「これは過去と未来のBESTY(BE:FIRSTファンのファンネーム)のためにだけ作られた映画」と語っており、その言葉の中には「これを観たらあなたもBESTYになってしまうでしょう」という、彼らの魅力を存分に引き出したという自信が見て取れるからだ。
BE:FIRSTというグループは「強い」。
ファンへの想い、スタッフへの想い、そしてメンバー同士への想い、すべてにブレや迷いがなく、驚くほどそれは純粋だ。
だからこそそれを受ける側が、同じかそれ以上の熱量をもって返そうとする。
そこにはプラスのフィードバックが循環し、さらに純度は高められているように思う。
その純度は、斜に構えた者から見たら胡散臭い、演技的と思われるほどだろう。
しかし、ピュアであることに対する怖れが彼らにないのは、音楽に対する想いに対しても同じだ。
自分たちがやりたい音楽、やるべき音楽についての訴求が極めて強く、それを実現するための努力や研鑽を惜しまない。
ストイックに、時にはユーモラスに、それぞれが現在の立ち位置を確かめながら、確実に一歩一歩と定めた目線の先へ進もうとする彼らの強さの理由が、全編を通して描かれていると感じた。