「生きていて良かった」月 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
生きていて良かった
「茜色に焼かれる」は親子の再生物語、「愛にイナズマ」は家族の再生物語、そしてこの「月」は夫婦の再生物語にしたかったのかもしれませんが、全編に描かれている暗くて冷たい重度障がい(障害ではない)者施設での目を覆うほどの蛮行が途轍もない虚しさ、やるせなさを作り、
夫婦の小さな幸せのエピソードをかき消してしまいそうになる。
それでも私は夫婦の回転寿司での馴れ初めや、オダギリジョーが小さな映画祭で賞をとって「生きていて良かった」と言い嬉し涙を流す宮沢りえが好きだ。
磯村勇斗が勝手(共感するなどゼロ)に選別し、死に至らしめた「きーちゃん」だって、宮沢りえが優しく語りかけてくれた時、声には出せないが、きっと「心」の中で「生きていて良かった」と思ったと思う。
「心」がない人などいないと思いたい。
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