「あなたも俺なのでは?その問いに、私はすぐにNoが言えない。」月 chappieさんの映画レビュー(感想・評価)
あなたも俺なのでは?その問いに、私はすぐにNoが言えない。
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苦しい映画だった。あなたはほんとうは重度の障害者にいなくなって欲しいと思っているのではないか?問いは、質問者と回答者の立場を何度も逆転させながら、映画を観る私に、繰り返し突きつけられる。多くの人が答えに詰まる瞬間を味わうはずだ。
題材となった2016年7月の「相模原障害者施設殺傷事件」を調べてみる。死刑囚となった実在の人物と、劇中で事件を引き起こす人物と、否応なく巻き込まれる登場人物たちと、それを安全な場所から観ている私たちとの間を、問いが串刺しにする。あなたはどうなんだ?ほんとうか?嘘をつかずに答えてくれないか?あなたも俺なのでは?
石井裕也監督が宮沢りえに与えた原作にはない役割が、磯村勇斗の「さとくん」と二階堂ふみの「ようこ」が繰り返し突きつける「問い」を、さらにリアルで説得力あるものにしていた。
映画を見たあとに、Wikipediaで実際の事件直後にどんな議論が巻き起こったのかを調べると、多くの人がその問いにまともに答えられなかったことがよく分かる。
苦しい映画だったが、かすかに希望も読み取れた。それが救いだった。
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