「サトクンに言い返せないだでけでなく、自分の中にもある優生思想にがく然とする。重度障害ということが全然分かっていないことを知る。」月 マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
サトクンに言い返せないだでけでなく、自分の中にもある優生思想にがく然とする。重度障害ということが全然分かっていないことを知る。
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最初の方で洋子(宮沢りえさん)がきーちゃんに出会う場面で圧倒される。
きーちゃんはベッドに横たわったまま動けない。聞こえず話せず目も見えない。僕はきーちゃんが僕の親、子ども、パートナーだったら生きていてほしいと思う。しかし、自分がきーちゃんだったら生きていたいと思うのだろうか?
後半、洋子とサトクン(磯村勇斗さん)が対峙する場面。
サトクンの思想と問いに言い返す言葉を見つけられない洋子と僕がいる。
入所者に優しく寄り添っていたサトクンが洋子に問う、「きーちゃんは幸せだと思うか?」と。
つまり、サトクンは洋子に(そして僕に)、「自分がきーちゃんだったら幸せだと思うのか?」 と問うているのだ。 洋子は(そして僕も)言葉に詰まる。
「生産性がない」と言うサトクンにも何を伝えればよいか分からない。
この時もう1人の洋子が洋子自信に問うて来る場面も圧巻だ。
出生前診断で障がいが見つかったとき中絶するのは命の選別、優生思想ではないのか?サトクンは生きている障がい者を殺すつもりだが、生まれる前に選別して中絶する自分はサトクンと同じではないのか?洋子が洋子自身と僕に問うて来る。僕は「イヤ同じではない」と返す。 だけど、もし「サトクンと一体どこが違うんだ」と問われたら返す言葉がない自分にがく然とする。
色々なことを考えるキッカケになる映画だ。僕には答えが見つけられない問いも多い。
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