「父に泣けてくる」ダンサー イン Paris りかさんの映画レビュー(感想・評価)
父に泣けてくる
素人から見れば、
あと少しでエトワールになるというのに、
何という不注意なんだ、
なぜ足先まで神経を使わないのだ⁉️と。
それも繰り返しているようで、
自身の身を守る為には、
踊ることそのものを断念せねばならない状況。
ただこのエリーズ、あまり苦悩しているように見えない。
順応しているのか、方々から尋ねられても、
あっさりと返事している。
エリーズの父は、母亡き後バレエのレッスンに送り迎えしてくれた。娘三人を育てて来た。
友人に誘われてフードデリバリーの助手に参加する。
キッチンカーを牽引して依頼されたところへ。
のどかな田園風景に建つペンション。
そこでは、オーナーがお気に入りの有望な芸術家たちグループを招待して合宿ができるようにしている。日替わりにやって来る芸術家の卵に食事を提供する仕事。
偶然にも、コンテンポラリーダンスの一団がやって来た。中にはエリーズとバレエ仲間だった子もいるし、先日路上ライブで出会ったメディもいた。
ダンスの練習フロアの近くで野菜の皮剥きをするエリーズ。
オーナーが声をかけて来る。
有望な若者を埋もれさせたくないのだ。
やんわりと夢を希望を捨てないように話す。
きっかけもあり練習に参加するようになって
みるみるうちにダンスの虜に。
日程が過ぎ一団は帰って行く。
メディと皆と再会の約束。
メディとまた会えて気持ちを確かめ合う。
練習にも参加。
父との食事デートの後練習を見に来てもらう。
驚嘆して帰って行った父。
いよいよ本番。
父も忙しい中駆けつける。
始まると息もつかせない動きの数々。
どれだけのエネルギーが必要なのかと
考えさせてしまう激しい動き踊り。
父の頭をよぎるのは、
バレエレッスンに送り迎えしたあの長い道のり。二人ともよく頑張ったなあ、と目頭を押さえる。
前日に友に話していた。
バレエは地面を避けて上へ上へと行く。
コンテンポラリーは、
反対に地面に這いつくばったり近づいたりする。見方変わって好きになった、と。
母にも報告、新しい自分になったよ、と。
冒頭のバレエのシーンも必見。
コンテンポラリーダンスに没頭していく姿は素晴らしいのですが、個人的には冒頭のクラシックバレエが圧巻すぎて、彼女の本心はクラシックバレエに戻りたかったのではないかと思ってしまいました。