「奇跡の推し活」ロスト・キング 500年越しの運命 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡の推し活
鑑賞前に、できればリチャード三世がどんな人物かというのを知っておいた方がベター。一応序盤でシェークスピア劇を見るシーンがあるけど、あれだけではちょっと理解しにくいかもしれない。
その戯曲から暴君というイメージが付いてしまったリチャード三世にシンパシーを感じた一介の主婦フィリッパが、彼の真説と未発見の遺骨探しに没頭する…これがほんの10年前に起こった実話というのに驚き。そもそも、それまで謎を明かそうという動きは起こらなかったのだろうか。それだけ彼が嫌われた存在だったのかもしれないが、にもかかわらず“推し活”し続けたフィリッパの情熱に乾杯。
イマジナリーフレンドのようにリチャード三世を登場させたのは、ともすればフィリッパの行動に共感しかねない観客への緩衝材なのだろう。協力的な人物や、対立概念となるアコギな姿勢を打ち出す教育機関など、背景も分かりやすい。
それにしてもイギリスでのシェークスピア絶対主義は予想以上。日本に例えるなら吉川英治か。『宮本武蔵』も実際の武蔵とはかなり異なっていたと言うぐらいだし、著名だからといって好き勝手に人生を書かれてしまうのも気の毒な話だ。
チャーミングなサリー・ホーキンス演じるフィリッパのラストの独白が説得力大。
>糸電話さん
私もリチャード3世はシェークスピア劇でしか触れていなかったので、本作は興味深かったです。
>カンタベリーさん
情報ありがとうございます。参考にいたします。
ジョセフィン.ティの、時の娘、と言うミステリ小説を読むと良いと思います。リチャード3世がほんとうに悪王であったかを入院して暇を持て余した警部が解き明かす歴史ミステリです。
タイトルは、真実は時の娘、と言う格言から。
遺骨を発見したのが女性。
面白い一致です