「SSUが狩られてしまった…」クレイヴン・ザ・ハンター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
SSUが狩られてしまった…
鳴り物入りで始まったSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)。
『ヴェノム』はヒットし、それなりに面白かったものの、『モービウス』『マダム・ウェブ』は興行・批評共に不発。
スパイダーマンと合流するのか、MCUに参戦するのか、シニスター・シックス結成なるのか、何もかも不透明不確定うやむやのまま。
そんな中途半端でいたら、本作を以てユニバースは終了。10年も続かなかったね。
それも分かる本作もビミョーな出来…。
スパイダーマンの宿敵の一人であるクレイヴン・ザ・ハンター。
にしてもグリーン・ゴブリンやらドクター・オクトパスやらヴェノムやら、スパイダーマンも宿敵が多い。
スーパーヴィランであり、ダークヒーローでもあるクレイヴン・ザ・ハンター。名前の通りハンターという設定。
ファンの間では有名人気なのだろうが、実写映画は初。個人的にも初めまして。
という事でお決まりの誕生秘話…。
裏社会の大物ニコライを父に持つセルゲイ(後のクレイヴン・ザ・ハンター)。
父は強さや力こそが絶対の支配者で、気骨のあるセルゲイには目を掛けるも、穏やかな性格の弟ディミトリは出来損ないとし、精神を病んで自殺した妻の事も貶していた。そんな父に対し兄弟は嫌悪や反発を…。
父の趣味である狩りの為、家族でアフリカへ。そこでセルゲイは“伝説”と恐れられる巨体のライオンに襲われてしまう。
セルゲイの傷口にライオンの血が。それによりセルゲイは百獣の王の力を宿して覚醒し…。
アメコミのヒーローやヴィランの誕生って時々“トンデモ”。放射能で怪獣化するレベル。
スパイダーマンは特殊なクモに噛まれて。ヴェノムは地球外生命体が寄生して。モービウスは独自開発のコウモリ血清で。マダム・ウェブは臨死体験で。
クレイヴン・ザ・ハンターはライオンの血ですか…。特殊な能力を持ったライオンでもなく。病原菌とか大丈夫…?
ライオンの力を宿したので、並みの人間など赤子の手をひねるほど。
聴覚・嗅覚・視力も優れ、壁や崖もよじ登る。
あれ、ライオンってそんな能力あったっけ…?
自ら“クレイヴン・ザ・ハンター”と名乗り、動物を狩る人間どもを狩っていく。動物愛護家…?
リストアップした悪人どももターゲットで、裏社会の謎の男=通称“ライノ”や父とも対していく…。
アーロン・テイラー=ジョンソンがワイルドに演じているのだが、どうもキャラの魅力が薄い。
『アメイジング・スパイダーマン2』のラストでちょこっとだけしか登場しなかったライノが、満を持して登場。
一応今回のメインヴィラン。以前はサイ型アーマーだったが、今回は血清で皮膚がサイ化。クライマックスはサイと言うより、まるで白いハルク…?
クレイヴン・ザ・ハンターの事を何も知らないので、ちょいと知ってるライノの登場にはちょっと嬉しい。
父との対峙。
巻き込まれ助け出されるはヒロインではなく、唯一心を許す弟。(この弟も相手の声を完コピ出来る能力を持つ“カメレオン”と言うヴィランらしい)
クライマックスはクレイヴン・ザ・ハンターとライノの“猛獣”バトル…。
アクションや裏社会抗争や複雑父子ドラマなど織り込んでいるが…、
どれもこれも淡白。主人公もだが、敵も周りもキャラの個性や魅力も薄。
故にアーロンを始めラッセル・クロウ、アレッサンドロ・ニボラ、アリアナ・デボーズら実力派を揃えていながらドラマも魅せるものが無い。
ならばSSU初のR指定アクションに期待したい所だが…、何か今一つ、退屈なアクションが続く。
ライノに雇われた殺し屋の特殊能力、あれ何なの…??
クレイヴン・ザ・ハンターの目的や行動理由もよく分からない。弟救出は分かるけど、悪人狩り…? 父との決着…? 動物愛護…?
父の呆気なさはかのコ○ド大王並み。
如何にもな弟のその後…。
ツッコミ所も多々。アクションもドラマも作品的にも締まらない。
SSUの一連の作品はとてもとても名作とは言えないけど、『ヴェノム』はエディとヴェノムの掛け合い、『マダム・ウェブ』は今旬や若手の女優陣の共演で何とか見れた。『モービウス』並みに見た後何も残らないが、肩透かし感では本作。
間違いなくSSUではワースト(『ヴェノム』→『マダム・ウェブ』→『モービウス』→『クレイヴン・ザ・ハンター』の順)。SSUの終焉をまじまじと感じてしまった…。
またしても夢絶たれたシニスター・シックス。
MCUやDCUだって不調の時あった。調子を取り戻した。こちらもいずれ…。
でも、今の面子で見たいんだよね。『スーサイド・スクワッド』や『サンダーボルツ*』を超える豪華悪党チームになりそう。
ドクター・オクトパス→アルフレッド・モリーナ
ミステリオ→ジェイク・ギレンホール
ヴァルチャー→マイケル・キートン
エレクトロ→ジェイミー・フォックス
サンドマン→トーマス・ヘイデン・チャーチ
リザード→リス・エヴァンス
ライノ→アレッサンドロ・ニボラもしくはポール・ジアマッティ
クレイヴン・ザ・ハンター→アーロン・テイラー=ジョンソン
グリーン・ゴブリン→ウィレム・デフォー
ヴェノム→トム・ハーディ
カーネイジ→ウディ・ハレルソン
モービウス→ジャレッド・レト
キングピン→ヴィンセント・ドノフリオ