劇場公開日 2023年7月28日

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「イノセンツ」イノセンツ tyshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0イノセンツ

2023年8月20日
iPhoneアプリから投稿

とんでも無いぞこの映画…。
最高にドキドキワクワク、静かに先行きを見守り、登場人物たちに感情移入していく。
完全に設定勝ちで、一つ一つの設定(自閉症とか)が全部効いてくる。無駄な登場人物は1人もいないし、無駄なシーンは一つもない。
一つ一つが洗練され、考え抜かれたカット、編集、そして演出。見事と言わざるを得ない。
そして、派手な映像的演出を行わなかったのもとても良い。目に見えない超能力というものがどれだけ異物でおかしなものなのかが、一見なんの変哲もない日常と照らし合わせて描くことで上手く描写されている。
まるでシャイニングを思わせるような、子供の残酷さとその怖さ。じわじわくるサスペンスがたまらなく心地いい…。

「人の弱い部分が見えたか」
これに関してはなんとなくなかった気がするが「愚かさ」という部分では大いにあったと思う。しかし、やっぱり大きなドラマや心動かされる体験があったかと言われるとなんだかなかったように思えるので、お話に関しては少し薄っぺらい印象もあった。彼女たちの心にもっと共感し、傷みを一緒に味わうことができたら最高だったのだろうか…。

「謎があったか?」
やはり物語を引っ張るのはこれ。「謎」の存在がやはりでかい。突如使えるようになった超能力の謎がずっといる。ただ、主人公たちがそれを解明しようとしないので、謎を追う物語ではなくとも、そのに謎が生じるだけで客は考え、翻弄されるのだと気づいた。
絶対に謎を追う構図にしなくてもこの面白さは成立するのだ。
このお話での謎は「超能力」とさらには「子供たちの思考」というところにある。
子供たちは、不必要なセリフを話すことはなく、ただ自然に口から出る言葉を吐き出しているだけのように見えた。

「緊張感があったか」
終始緊張感があった。それは、やはりあの男の子の残虐さを見たからだろう。それがあるだけで、主人公たちと男の子の間で緊張感がずっと生まれることになる。ここもやはり美味かった

「すべての事象が繋がっているか」
繋がっていた。なんの疑問も持たなかったし、すべての設定が効果的で生きていたと思う。

tyshi