劇場公開日 2023年9月15日

「イタリアンホラー風ミステリー」名探偵ポアロ ベネチアの亡霊 カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5イタリアンホラー風ミステリー

2023年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作既読。
ポアロシリーズでも相当後半の作品でおそらく初めての映像化かな?(違ったらすみません)

ケネス・ブラナー版ではアルバート・フィニー、ピーター・ユスチノフ版同様「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」など小説としてもヒットした作品をオールスターキャストで映像化して行くのだと思ったが、ここに来てあえてマイナー作品を世界的にも無名に近い役者達でチャレンジしたことは意欲的な野心作と捉えるべきだろうか。

原作と比べ設定や舞台を大きく変えている点も本作の特徴だと思うが、映画で舞台になったベネチア(原作はイギリス国内だったと思う)は4月に国内で封切られたスペイン映画「ベネシアフレニア」でもあったがジャッロの本場のイメージが強く、本作もポアロシリーズとしては似つかわしくないくらいストレートな表現やスピリチャルな雰囲気を強く押し出している。

過去シリーズの有名観光地で壮大なスケールによるオールロケとは対極的に暗い密室の中だけでの撮影は縮小感が際立ち、また(毒による幻覚で存在しないはずの)霊や少女を見たり、ジャンプスケアの多用などでさらに安っぽさを後押しした。

アガサ・クリスティの作品は大好きなので正直言ってがっかりのほうが強かったが、もし次作を検討しているならポアロやミス・マープルにこだわらず「そして誰もいなくなった」「検察側の証人」などの燻し銀の名作をエンタメ感と演劇感たっぷりに映像化して欲しいと思う。

あの子供も落ち着き過ぎだし賢過ぎだしでかえってリアル感なかったし。

カツベン二郎