「手塚治虫の鉄腕アトムやPLUTO(浦沢版含む)が好きなら見ても損はないかも?」ザ・クリエイター 創造者 たまに映画館で見る人さんの映画レビュー(感想・評価)
手塚治虫の鉄腕アトムやPLUTO(浦沢版含む)が好きなら見ても損はないかも?
前評判は聞いていましたが、実際視聴するとかなりの良作でした。
本作から自分の受けたイメージは、「鉄腕アトムの前日譚」です。最後、子供姿のロボットがそのままPLUTOの鉄腕アトムになったと言われても、うまく行けばなんとなくいけると思います。
手塚治虫は鉄腕アトムの世界で、人間のように生活するロボット達との未来を描きました。この映画に出てくるロボット達はまさにその通りの存在です。ある意味、ロボット好きの自分にはたいへん馴染み深いテーマでした。
以下、簡単なあらすじです。
高度に発展したAIは、ついにシンギュラリティポイントを超える。ロボットという物理的身体を得たAI達は、人類の良き友人達として、時に助け合い、時に競い合う、いわば互いにとっての最良の伴侶として、共に支え合って繁栄していく。
そんなさ中、ある日AIが突如としてロサンゼルスへ核攻撃を行うという恐るべき事件を起こす。この日を堺に米国は、AIを絶対悪とする御旗を掲げた西側諸国連合軍を組織し、東南アジアを中心として広がるAI擁護勢力、ニューアジアに対し、テロ掃討戦の名の下に戦争を仕掛けていく。
戦端が開かれてから5年、西側諸国の圧倒的な物量はその趨勢を一方的なものとしていく。テロ対策の名の下、アメリカが開発した対AIの象徴でもある巨大空中要塞「ノーマッド」からの小型核弾頭が、ニューアジア諸国の街々を次々と殲滅してゆく。
そんな中、アメリカ国防総省に一つの情報が入る。ニューアジアがついに、戦局を覆す新兵器を完成させたらしいと。
かつて、米軍で潜入調査を行った主人公に、再度の敵地潜入が命じられる。目標は新兵器と、そしてAI達から「創造者ニルマータ」と呼ばれる人間の捕獲だった。かつての潜入捜査の手違いで妻を失った主人公に、ロサンゼルス核攻撃の真実と、そして妻が遺したものが明らかになっていくー
全編を通してですが、AIは人間よりも少し弱い存在として描かれます。これは恐らく作中のAIの基本設計が、人類を助けるための存在として作られたという設定のためでしょうが、これはアメリカ映画としては珍しく、例えばアイアン・マンやロボコップ、アイアン・ジャイアント、ヴィランではスライサーロボなど、基本的には人間よりも遥かに強い存在として描かれています。ここら辺も既存映画との違いとして楽しめました。
アクションシーンはそんなに派手ではありません。もちろん少なからずありますが、ターミネーターのように人間とロボットとの間の激しい銃撃戦を期待すると、かなり拍子抜けするでしょう。また、ゴア描写も少なく、何よりやられる側は基本ロボット達なので、撃たれても血は出ず火花が散る、頭は取れたりするがやはりそこはロボット、残酷なシーンとは映りませんでした。
全編を通してのテーマは、妻を失った主人公の家族愛、でしょう。ラストは主人公にとっての救いです。
日本のロボット好きならオススメの一本です。