「人間の傲岸不遜と付喪神の不在」ザ・クリエイター 創造者 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の傲岸不遜と付喪神の不在
生成AIの脅威的な発展により、世界は人による対面での信頼関係を失い、互いへの疑心暗鬼のみが助長され、決定的に分断された。
アメリカ◦ヨーロッパ、ロシア、中国を核とした勢力に集約される流れとなった。そんな中、天然資源もなく、人口減少の止まらない日本は、独自のAI保護策を打ち立て、ダライ◦ラマ率いるチベット仏教による人間性とAIの理知とを融合させる世界観に基づく自治区を作り上げた。
その理念は、AIの理知的な判断力と人間性の強欲や嫉妬などからの解脱、良心との融合を、目指すものであった。
この映画の背景となる世界観を大雑把に想像したらこんな感じ?
ホワイトカラーもガテン系も例外なく仕事を失い、ただ生きていくのは暇だし退屈なので、レジスタンスにでもなるか。
仕事の無くなった人間は、デモシカ教師ならぬデモシカ戦闘員に。
(昔、◯◯にでもなるか、◯◯にしかなれない、という表現がありました。
機械なんだし、殺してるのではなく、ただ破壊してるだけ。
そんなことを平気で言える人間になると、道端のお地蔵さんも、ただの石なんだし、破壊するのになんの抵抗があるの?
なんてことを言うのと同じように聞こえます。
※付喪神…九十九神ともいい、99年経ったモノ(ここでは技術に置き換えて解釈)には魂が宿るという考え方。妖怪の一種。
八百万(やおよろず)の神を生み出した日本人は、人間と長い時間を過ごしたモノにも魂が宿ると考えました。
魂は人の都合で勝手に無かったことにはできないし、それができると考えるのは傲慢さの表れ、そんな感じです。
うむむ、これでも分かりづらいですよね。なんかすみません。
そもそも、『ターミネーター』のように人類を滅ぼすことを選択したAIは、自意識が生まれ進化した果てに、地球環境の維持、もしくは、自分を破壊できる力を持つヒトを無力化することが目的化。
そして一番冷徹な判断として、ヒトは害だ、と認定したことになります。でなければ闇雲にヒトを攻撃することはしないはず。
ということはAIも、ヒトを滅ぼした後、目的を失い〝自分は何のために生まれたのか〟と人間のように悩むことになるのですね、きっと。
ibtさん、コメントありがとうございます。
AIが支配する(人間との共存ができるなら、差配する?というほうが適切かもしれませんが)ようになったら、人間が尊厳を保てるように何か仕事とか使命を与えてくれるといいですね。
賢いAIですから、人間が反抗的にならないように対策も考えるはずです。
ただ支配し、君臨するなら、AIも本当に〝人間的〟に進化したということになります。うーん、進化の形がまったく想像つきません。