劇場公開日 2023年10月20日

「粗もあるが、力技で持っていかれた」ザ・クリエイター 創造者 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5粗もあるが、力技で持っていかれた

2023年10月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

AIなりアンドロイドがどれだけ人間社会になじむかというテーマは、昔からSF作品の中に登場してきた。対立が強くなって戦争まで発展する物語が多いが、たまに共存させる物語もあったりする。本作では、「ブレードランナー」のように見た目では判別できないわけではなく、明らかにソレとわかるAIロボットと首周辺を見たらソレとわかるアンドロイド的なやつが登場する。他にも30年位未来の話として登場するテクノロジーがとてもいい。現代の機械(自動車とか)も普通に残っているところが妙にリアル。
話の展開で若干ん?と思うところがあったことも確か。マヤの気持ちとか、アルフィーの能力とか、アンドロイドの設定とか。でも、あの世界観・未来像に浸かってしまうと、あまり問題にならなかった。
AIを敵として排除する社会と、AIと共存する社会が対立するという構図はなかなか珍しく、とても興味深かった。たしかに異質なるものとの共存という意味で考えると、AIとの共存は現代社会の様々な差別や対立の問題のメタファーに思える。でも、AIを新たなる種として捉えた場合、人類は駆逐される側にいるってことになる。この考え方の違いは簡単には埋まりそうもない。たしかに戦争まで発展してしまいそうだ。
そんなことを考えながら観ていたが、物語の最後はぜんぜん違うところに着地した。いや、それなりに予想ができちゃうんだけど、それも問題はない。オリジナル脚本で、ここまでその世界観に浸らせてくれるのであればそれでOKと言える。
そして音楽の使い方も好みだった。何と言ってもレディオヘッドのあの曲をあんな場面で使うなんて!なんて新鮮!でもとてもいい。あの美しいイントロとノイズがSF映画にマッチしてる。「ローグ・ワン」に続いての本作だから、ギャレス・エドワーズへの個人的評価は絶対的なものになった。

kenshuchu