「AIは、アイとも読む」ザ・クリエイター 創造者 xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
AIは、アイとも読む
未来の戦争。空中母艦、アンドロイド、こんな感じになるのでしょうか?VFXすごいですねって、のんきな気分ではいられませんでした。現実、イスラエル・ハマスの戦争が始まりました。ロシア・ウクライナもまだおさまっていないのに。
女性軍曹ハウエルが部下に言います。「ネアンデルタール人は滅びて、なぜ我々が生き残っていると思うか?」。残酷だからだよ。なんかニヤついて言う。戦争が性に合ってる、そんな感じ。それが私たちホモ・サピエンスの特徴だとしたら。
そろそろ自分たちでもうちょっと自覚して、制御しないといけない。
いつまでたっても相変わらず戦争するわ、核兵器やミサイルは落としまくるわ、人を簡単にあやめるわ、どう考えてもおかしい。わざわざ苦しみを増やしています。
シナリオでは、ロスに核兵器を落としたのがAI(ロボット)だと、人間が思い込んだのが戦争のきっかけ。
だけどそれは人間の入力ミスなのに...とロボット側の親分(渡辺謙)はこぼします。ロボは自らの意思で人を殺したりできない。
さらにこの戦争、人間vsロボではありません。
「西側」vs「ロボット&newアジア」という構図。
意味深です。
やはり世界観、宗教を抜きにはできない。
映画のタイトルが気になりました。
創造主とは、一神教では神のこと。
そしてこの映画でもテーマに父性が見え隠れします(スターウォーズ同様)。
パパは命をかけて家族を守る!でなきゃ男である意味はない!くらいのプレッシャー。西洋的。パパ様。
に対して、アジアは母性がテーマ。そして多神。日本は八百万の神、アマテラスは女性神。
母なるものから命は生まれる。
それがAIでも。Mother。
母なるものは、戦いより共存を欲します。
そして、優れた一つになる必要はない。
どの命も、違いはあれど、等しく必要。
人間であるヒロインを、幼い頃愛情深く育ててくれたのは、ロボでした。ヒロインは愛を、ロボットから学びました。
勝つこと、一番のみが生き残るという男性性的世界観もしくは西的世界観とは、違うタイプのエネルギーです。
勝つことや1番になることだけでは、世界は成り立たない。
現実世界も、いまそれで息切れしているように見えます。
「AIが人間の仕事を奪う」などという見出しもよく見かけますが、自分たちで創造しておきながら敵視するという、人間の不可解さ。人間は神になりたがるのに、結局創造主になっても、相変わらず「やるか、やられるか」の対立構造にはめ、戦いを始めてしまう。
けれどいくらホモ・サピエンスが残酷だといっても、勝ち負けだけではとっくに滅びていたはず。生き延びたもう一つの鍵が、愛です。だから愛も人間らしさ。
愛という漢字の読みと、AI=アイという音韻がかさなるのも、不思議な符号ですね。監督も何か気づかれたかな。ところどころに漢字や日本語も登場します。
がいつまでたっても人間は、愛のことを大してわかっていない。
だからわたしも、こうして映画を観に行くのでしょうね。
映画は愛の教科書。
戦争が起きるのは、世界に愛が足りていない証拠。
いまの戦争が早くおさまりますよう、わたしもアジアの片隅から毎日祈っています。