「呉服(くれは)公園」鯨の骨 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
呉服(くれは)公園
冒頭のエピグラフにて、死んだ鯨の骨が沈む際にまだ養分がある内は微生物等が一緒に沈み、その際に仄かな光を発するそうである しかし養分が亡くなると光を失った生物達も消えていくそうとの事
メタファーを用いて、現在のネット世界のある部分をフォーカスしたオリジナルシナリオであり、時代ならではのヒューマン&メロドラマとのカテゴリだと思うが、それにしてもどっちにも傾倒せず、良く言えばバランス、悪く言えばメッセージ性に乏しい作劇になってしまっていた
全体的にライティングが暗く、又物語上夜のシーンがメインになってしまうのもあって、何かが蠢いているのは分るのだけど、その意味するところや後ろに繋がるような伏線が余り伝わらない映像になってしまっていた
観賞して、ネタバレサイトで初めて真相や内容が分った程なので、折角サスペンス仕立てにストーリーテリングされているのだから丁寧な説明が必要なのではないだろうか・・・と、大きなお世話なのかな?
冒頭でいきなり結婚式の予約までした婚約者に自身の二股を告げられて意気消沈するところからスタートするのだが、ここで男の気の弱さ、諦めの早さをキャラ付けさせる しかしこれが本編で余り機能していなかったのではと思うのだが その性格が物語を駆動させる意味合いをもたせていないのではと思ったのだ
今作は普通に、後輩からマッチングアプリを紹介されてそこで知り合った女子高校生(に変装している童顔の女)と意気投合だがなんだかよく分らないが、男の部屋に連れ込んだのは良いが、女が自殺してしまうという、摩訶不思議な出来事が拡がる で、女を遺棄しようと山に埋めるため穴を掘って死体を確認すると消えていた しかし、ひょんな事からAR技術を用いたアプリ(自分の好きな場所に動画を埋め込み、他の人がドラクエウォークの要領でその場所を探す様な内容)内で人気のある女性とソックリなことが判明し、その謎を解くという筋書きである
サスペンスフル、又はミステリー要素が挿入され、興味が湧いてくる 女が残したバック中の参考書や、ナイフのタングに彫られたマーク、又は女のファンから聞き込みから謎を突き止めていく件は面白い なのだが、途中の危ないファンからの妨害や、元婚約者の意味ない復縁話、そしてこれが最大の問題だが、ネットでの承認欲求目的、又は金銭目的への移行等の話が機能的に噛み合わないと感じたのである
というのも、ヒロインの女の子は何故このアプリで活動していたのか?の動機付けが語られないと少なくても自分は読解したのである
そのアプリで自分を探して欲しい感じでもない 勝手に男が謎解きをしていて、その亡霊のような女を追いかけているのだから・・・ ヘッドマウントディプレイ、又はスマホ画面上で追いかけているのだろうが、その体にしてしまうと、亡霊感が表現出来ないので、演出でのカットの切替で表現しているのは上手だ
そしてやっと女をみつけるが、正体は塾職員だった女は逃げるが、途中で消える しかしこれはAR演出ではなく、本当に畦に隠れていてすぐに発見されるというオチ そして結局は初めに逢った喫茶店で、自殺しようとしたが車で運ばれている途中で薬が切れて起きてしまい逃げたのだと告白する そして2人で過去に埋めていた動画を削除して廻ろうで、結末なのである
さっぱり分らない 分らないのは自分がついて行けないオヤジだからか、それとも今の若者はスッキリとこのシナリオを肯定するのか?
クエスチョンマークに脳内を侵蝕された後味であった
ラストで男が会計に出る時、穴に埋めたデータを削除するシーンは、実は男の方がDataでどんでん返しがあるのかと予想したが、そのままスンナリ二人で退店 その後も喫茶店内映像持続ながら、エンドロール しかし店外の青カッパは横切るがそれ以外は何も起こらない
やんわりと色々なテーマが散らばってはいるが、機能的にそれが結びついておらず、訴えるメッセージも薄く、これをどうレビューしたらよいか、皆目検討つかない内容であった