「心温まる再生の物語」違国日記 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
心温まる再生の物語
ストーリー・映像・キャスティング、全てが織りなす作品自体の空気感が心地良く、いつまでも観ていたい、とても好みの作品でした
主役の高代 槇生を演じる新垣結衣さんが特に良かった。昨年の「正欲」に続いて“ガッキー”を封印し役者魂で勝負した渾身の演技が見事、また彼女の良い代表作が増えたと思います
そしてもう1人の主役 田汲 朝を演じる早瀬憩さんも何とも初々しく、繊細で腫れ物の様なティーンエイジャーをとてもリアルに好演していて印象的でした
その他にも槇生の親友を夏帆さん、微妙な“元カレ”を瀬戸康史さん、母親を銀粉蝶さんなど実力派アクター達が脇を固め彩りを添えています
両親の事故死を目の当たりにし、葬式では親戚の大人達から突き離され孤立する朝
槇生は極度の人見知りでいささかコミュ症なのに、疎遠だった姉の葬式で姪の朝が孤立する状況を見かねて自宅に連れ帰る
こうして始まるほぼ他人同士で状況的にもかなり難易度の高い共同生活、始めは誤解や相手を知らないが故に不本意にも傷つけたりして喧嘩や口論となるけど、少しづつ溶け合い、理解し合い、優しく想い合い、“家族”になっていく展開が観ていてすごくいいなと思いました
そして朝は槇生をはじめ周囲の大人や同級生達に支えられながら両親の死を乗り越えていき、槇生も朝との生活の中で人となりの成長を遂げ、姉との確執も乗り越えていく、人間味溢れるストーリー展開に心打たれました
と、とても好みの作品ではありますが、
・朝は両親が目の前で事故死し普通だったら一生引きずって立ち直れないかも、という重度のトラウマを患いそうなのに、それよりも母と槇生の確執の方が気になり、立ち直り早すぎ
・槇生は人生において極力他人をシャットアウトしてきているのに朝を引き取る唐突な展開ふで動機が薄く違和感がある
という所が引っかかりながら観てはいましたが、総じてとても好きな作品なので細かいことはいいか、と槇生と朝の成長と再生の物語を堪能し幸せな気分になれ大満足でした