「わたしは、決してあなたを踏みにじらない」違国日記 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしは、決してあなたを踏みにじらない
「人と人は絶対にわかりあえない」、それでも他者と関わろうとするし、
関わる中で試行錯誤するし、通じない言語があるので“違国”であり、
ずっと人はもがき続けるわけですが、それがコミュニケーションの本質だと思います。
相手を知ろうとする、わかろうとする、そのアプローチをし続けることが大事だと思います。
そういうことを一貫して描いている作品だなと感じました。
この世界観をつくりあげている瀬田監督をはじめ、キャスト陣の演技が素晴らしいです。
高代槙生を演じた新垣結衣。
『正欲』から、かつての新垣結衣像を自らぶっ壊し、一皮も二皮もむけた演技をしていると思います。
槙生のちょっとだらしない感じ、TPOに応じて服装や髪型を変えているところ等、
役に入り込んで演じているなと感じました。
田汲朝を演じた早瀬憩。
私は本作で初めて認識した女優さんですが、主演を張れる実力は充分にあったと思いました。
朝の天真爛漫さや悩みを繊細に演じたり、振り幅も大きい難しい役だったでしょうが、見事に演じ切っていました。
歌唱シーンが初々しく、涙が出てしまいました。
他、夏帆演じる醍醐が持ってくる優しい空気感、瀬戸康史演じる笠町の包み込むような空気感、
小宮山莉渚演じるえみりの本当の親友のような関係性(深い悩みを抱えつつ)、
伊礼姫奈演じる森本の凜とした佇まい(『毒娘』の演技とは真逆です(笑))、
いずれも素晴らしかったです。
パンフレットデザインを大島依提亜さんが担当されており、実にセンスを感じるつくりになっているので
こちらも併せてご覧いただければ、さらに本作を堪能できると思います。
「わたしは、決してあなたを踏みにじらない」という槙生のセリフが至言だと思います。
トミーさん、共感&コメントありがとうございます。最初は遠慮していた朝が率直に槙生に色々聞くことで、健全なコンフリクトが起きていましたよね。それが関係性を深めることにつながっていると思います。
共感ありがとうございます。
二人の生活はだらっとしている様に見えて内側にはヒリヒリするものが有ったように思えます。表立って喧嘩とかの事件が起こらなくても、相手を尊重しようという姿勢が静かな衝突を繰り返していた印象でした。