劇場公開日 2024年6月7日

「好きです」違国日記 たろたろさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0好きです

2024年6月9日
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鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

原作好きで、新垣結衣さん主演ということで、期待していました。
かわいらしい声と笑顔の印象が強いですが、表情の自然な感じや立ち姿で、かわいらしさもかっこよさも気難しさも表現できる元々上手な俳優さんだと思っています。かわいい役や台詞のかわいさの印象が強いというのも俳優としての素晴らしさ。今回も人との距離の取り方が苦手がゆえに知らない相手との関わりが苦手な感じと嘘をつかず人と向き合っていく槙生がとても槙生でした。

個人的にも人生に影響を与えるくらい原作が素晴らしかったので、好きな方が色々思うところがあるのはわかりますが、俳優陣の解釈だったり演技力が素晴らしかったし私はこの空気感を大きなスクリーンで見ることができて幸せでした。あとは、どこの場面や台詞を脚本にいれるかいれないか流れの関係で変えるか変えないか、映画の主軸をどこにおくかのお話だと思っていて。それで合う合わないはどうしても出てくるのかなと。原作の一方向でない描き方が好きなので、それも含めて違国日記のよさ。

インタビューを色々読ませていただき、朝の生活と成長を軸においていることと瀬田監督が少女たちの瑞々しさや儚さ、空気感を撮られるのが上手なことを知っていたので、私はとても好きでした。柔らかな年頃の子どもたちを上から押さえつけず尊重するまわりの大人たちの関わり方や描き方もとてもよかった。

(原作は印象的な台詞を槙生や槙生まわりの大人が言うことが多いけれど、映画は朝メインなのと2時間という制約もあり、今回はそこの部分はそこまで描かれていないかなと。でもここではないですが異国日記と題名さえ間違えて原作ファンなのですが云々と言われている方を結構お見かけして、感想は自由だけれど題名さえ間違えてるのに何かと比較するのはさすがにちょっとなあなど。ここで吐き出してしまった。)

槙生ちゃんが隠さない人だからこそ表情が意外と変わったり、おどけたり横槍いれたり、相手によって口調や表情が違ったり。そういうところを映像化されていてよかったです。そして原作の朝のまっすぐさは(母親の影響や守られ具合のせいか)現代の子にしては幼いので、演技や演出によっては現実感を出すのが難しかったと思いますが、早瀬さんのまっすぐな演技と瀬田監督の手腕でとても良いバランスになっていたと思います。

不特定多数への攻撃性の強い世の中に日々消耗していたので、見終わった後に心が落ち着き、人の優しさやあたたかさを信じてもよいのだろうなと思う映画でした。間を楽しみ、映像美や音響のよさもふくめての映画なので大きなスクリーンで見ることが出来てよかったです。試写会などにも行かせていただいたので4回見ましたが、自分の精神状態や体調もあったりで心に響くシーンが毎回変わってきたので、また見に行きます。

たろたろ