トゥ・クール・トゥ・キル 殺せない殺し屋のレビュー・感想・評価
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Magic Hour
リメイク元は観ていませんが、日本の作品のリメイクが中国でヒットするなんていう珍しい事もあるんだなーと考えながら鑑賞。9時過ぎの朝イチ映画は体にきます。
思い描く中国のコメディ映画そのままの程よく面白い作品に仕上がっていました。
万年エキストラの役者が資金難でギャングに追われる監督たちに主演の役を与えるということで、有名な殺し屋に扮してなんとか切り抜けようとする作品です。
演技の癖が強すぎて敬遠されてるウェイの演技は、ギャングたちが横行する現場を本物の現場だと思い込んでるもんだから、リアルで撮り直しなんかしちゃうんで、そのズレの面白さが秀逸でした。
最初のシーンの時点で最初は風格漂わせる殺し屋を演じてたのに、ナイフ舐めにこだわりすぎてアイスキャンディー舐めてるみたいな感じになっていて笑えました。
偶然が噛み合いまくって、修羅場(ウェイ自体はなんとも思ってない)を見事なまでにくぐり抜けていくたびに、ウェイの態度が大きくなっていくのもまた面白かったです。
この撮影が実は無いもの、ギャングとの交渉の一つとして利用されていたことが分かったときのウェイの絶望感がこれでもかと表現されていました。映画の主演を目指して走ってきてウェイにとって、ダメ出しはとても嬉しいものだけど騙されていた事に強いショックを受けた上に生き埋め寸前まで追いやられたりと中々なやられっぷりの絵面は悲壮感が漂っていました。
そこからの逆転劇、ウェイが撮影班を引き連れてギャングの結婚式を阻止しにウェイの役者人生を懸けて挑むシーンは胸熱でした。これまた作り物感というか完全に作り物のセットでギャングを蹴散らしたのはなんだか爽快でした。
ベタな港での攻防も、登場人物全員集合の如く救世主たちが一気に現れて、ウェイたちが優勢になる流れもありがちっちゃありがちですが、この手の作品の締め方としてはとても良い形だなと思いました。
少し引っかかった点として、リメイク元がどうだっのか分かりませんが、実はこの殺し屋を演じるという設定の作品でした〜というオチはちょっと物足りないなと思いました。そこまでの描き込みがとても熱いものがあったので、種明かし的なオチはもったいなかったです。セットの作り物感の強い感じもその種明かしのためだったと思うと少しだけ興醒めしちゃいました。
クスクスっと笑えて、ズレを楽しめるアクティブなコメディでした。リメイク元の「ザ・マジックアワー」も時間を見つけて見てみようと思います。
鑑賞日 7/8
鑑賞時間 9:20〜11:20
座席 F-4
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