「悪魔のような天使のテーゼかも 安藤サクラが醸し出す正義が犯罪行為を浄化する」BAD LANDS バッド・ランズ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
悪魔のような天使のテーゼかも 安藤サクラが醸し出す正義が犯罪行為を浄化する
ストーリーがとにかく面白くて143分を微塵も感じさせない傑作で今年の邦画ベスト3はこれで決まり。昨年の「ヘルドッグス」と似たテイストで大好物のクライムサスペンスだけれど大阪の西成が舞台だけにリアル社会感と猥雑さとコメディ要素が増しましになっておりなんといっても3塁コーチ安藤サクラが全部持っていく好演でこっちのがちょっと上。やはり山田涼介を相手役にキャスティングしたジャニーズ映画なのが少し気になるがそのダメさ加減が妙にマッチしていていい味を出している。原田眞人は純粋にドンパチやるこの手の映画が大好きなのだろう、独特のへんなマルチアングル風の短いアクションつなぎを含めその演出は達人の域に達しているかもしれない。天童よしみの「なめたらアカン」を筆頭にサリngROCKの浪花千栄子ギャグやオレオレ詐欺捜査班長の江口のり子が眼鏡で人格を変えるシーンなどシリアスとコメディのぎりぎりを攻めていて楽しい。安藤サクラが逃げるシーンでリュックが棚に引っかかってなかなか抜けない。おそらく本番アクシデントのNGだと思うが、中の通帳とハンコが床にばらまかれるシーケンスを足して見事に緊迫感に変えている(あくまで私の推察)。エンディングの走る安藤サクラの笑顔は「明日に向って撃て!」に匹敵する名ラストカットで爽快。
コメントする