「裏社会の悪い奴ら」BAD LANDS バッド・ランズ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
裏社会の悪い奴ら
『オレオレ詐欺』という言葉が、ニュースで報じられるようになって何年たつのだろう。警察捜査とのイタチごっこで、あの手この手と趣向を凝らして繰り出し、最近では、SNSを活用しての強盗や人の命をも奪う犯罪になってきている。
そんな、特殊詐欺グループに関わる闇の裏社会を、原田眞人監督らしい切り口で、悪い奴らの世界観にフォーカスを当てメガホンを撮った作品。終始、大阪弁で、捲くし立て、凄味合う台詞も、本作には相応しく感じた。
2時間半の上映中、展開に間延びするシーンが無く、常に緊迫感と疾走感が続く中で、ネリとジョーの姉弟愛も、織り交ぜてくる。しかし、クライマックスは、悪い奴ららしく生と死を分ける落としどころは、見応えがあり、逆に爽快感さえ感じた。
特殊詐欺グループの番頭である高木の元で、片腕を担っていたネリは、刑務所から出所した弟・ジョーの面倒に手を焼いていた。ある日、ジョーは賭博の借金の返済の為に、強盗殺人を起こし、そこに居合わせたネリと共に、3億円もの金品を手にし、それを機に、様々な悪の組織から命を狙われることになる。
2人をその窮地から救い出すのに一役買ったのが、嘗ての極道で、小さい時からネリのことをよく知る、宇崎竜童演じる曼荼羅だった。また一方で、仮想通過で莫大な財産を得た、ネリの元恋人の存在も浮上する中、醜い悪の人間模様が繰り広げられる。
本作は、何と言っても、安藤サクラと山田涼介の演技が光る作品だ。血の繋がらない姉と弟を演じる中で、弟を邪険にしながらも愛情を見せるネリ役の安藤と、サイコパス的な怖さの中にある、幼い子供のように姉を慕う、ジョー役の山田との掛け合いが、本当の姉弟の様に自然体で演じていた。
安藤サクラの演技は既に定評があるが、山田涼介も『グラスホッパー』の蝉を演じてからは、こうしたダークな役にも、しっかりと向き合える役者に成長していると感じた。また、友情出演のチョイ役で、意外なアカデミー書俳優も参加していた。ジャニーズは、今何かと騒がせている時ではあるが、こうした逸材をしっかり成長させて欲しい。