「新世界ノワール」BAD LANDS バッド・ランズ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
新世界ノワール
いいんじゃない。この新世界ノワール。ヘルドックスに続いて極上のビターテイストが堪能できる。
悲運を背負って生まれたネリ。ネリに厄災を持ち込む弟。破滅に向かっていくであろうこの兄弟が、かすかな希望に向かって進んでいく。
安藤さくらが見せる表情の切り替えは、まるで三面観音。普段は、無表情で事務的に仕事をこなす三塁コーチャーの顔、事が起きれば殺しも厭わない肉食獣の顔、心を許す相手にだけ見せるおだやかな笑顔。
山田涼介も安藤さくらに引っ張られるように軽薄モード、ビビリモード、決死モードをいい塩梅に見せてくれる。ラスト近くの見せ場は、めちゃくちゃよかった。小柄で少年のような容貌を生かした動きには、誰もが呆気に取られる。
コメディリリーフ役が多い生瀬勝久だが、今回は良心のかけらが一つもない特殊詐欺集団のボス。コイツは死んでもいいと思わせる悪党になりきっている。
宇崎竜童のカッコ良すぎるジジイに見とれていたら、なんと見事な伏線回収。
傑作でございます。
追記
そうそう、賭場の元締めをやっていたサリngROCK姐さんが、すごく印象に残った。安藤さくらとの駆け引きは、火花が見えるくらい緊迫感で、一歩も引いていなかった。
セリフが聞きづらいっていう意見もあるけど、全部聞こえないところにリアリズムがあると思う。
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またぞうさんのコメント
2023年10月1日
現実社会にも発声や滑舌が悪い人は一定数いますが、周囲は慣れてきちんとコミュニケーションできています。客が理解できないレベルのセリフ自体は対して重要ではなく、相手のリアクションやシーンのムードこそが重要だと思われ、そのレベルでは過不足ないと思います。