キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのレビュー・感想・評価
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小さなコミュニティで圧倒的な力を持つ叔父と彼を頼って来た無職で
家族もおらず大して若くもないアーネスト。同じコミュニティにはただそこに住んでいたというだけで莫大なお金を手に入れているインディアン族。彼らと婚姻関係を結んで資産を手に入れ遊び惚けている同類。強盗、殺人で平気でお金を奪う犯罪者たち。魅力的なモーリー。多くの人のいろんな欲望が絡み合って物語は進んでいく。結局人々は犯罪に手を染めていくわけだが、それぞれみんなその手前で乗り気じゃなかったり躊躇したりっていうところがあって何故そこで踏みとどまれなかったんだろうかと。思いとどまった人もいるはずで(映画にはでてこないがw)その違いは何なのかなと?行動に移す前のほんの小さな心の動きを捉えることができるかどうかなのかな?心の声に耳を傾けることができるかどうかなのかな?仏教のアングリマーラの話を何故か思い出しました。止まりなさいアングリマーラ、止まりなさいアーネスト。
それにしても206分て長すぎw
欲にまみれた人間の醜悪さ
欲にまみれた人間の醜悪さは見ていて辛くなるが、でも物語の題材としての価値は十分にある。本作もそうだ。アメリカの先住民オーセージ族に起こった実際の事件が題材。石油が発掘されたことで巨万の富を築いた彼らの財産を、白人たちが狙っていく話。子どももまで産ませておいてそんなことする?と思ってしまう。あんな事ができるのは時代なのか、欲に目がくらんだからなのか。いずれにしても先住民たちを人間として扱っていなかった白人たちの感覚が色濃く出ている事件だ。昔を描いた物語なのに、現代のことを考えてしまう。 当時の社会情勢や町並み、いろんなものを再現させた努力はすごい。冒頭のディカプリオの歯が若干汚れた感じなのもうまい演出。そうだよな、西部劇のように銃で簡単に人が生き死にしていた時代なんだということを改めて思い知らされる。 欲にまみれた人間たちの醜悪さと、その中に存在した愛。人の感情はなにか一色に染められているわけではなく、いろんな思いが点在し混じり合った抽象画みたいなもの。そんな事を考えさせられる大作だった。ディカプリオと妻役のリリー・グラッドストーンの演技がとにかく凄みがあって印象に残る。 ただし長い。もう少し短くできるだろうよと思ってしまう。
ドキュメンタリーとドラマのバランスは適正か
スコセッシ、デ・ニーロ、デカプリオと三人揃えば期待せざる得ない。
先にスコセッシのインタビューを見て居るので、ゼロからの視聴ではないことをご容赦願いたい。
まず前半パートはオセージ族の牧羊的な儀式が描かれるシーンが多い。
スコセッシがオセージ族をしっかり撮りたかったと語っていたので説明的なドキュメンタリー部分にあたる。
TV番組の『世界遺産』を見ているような文化・歴史が描かれるが、会社帰りのレイトショーで見ている自分には眠気との戦いになるパートであった(笑)
美しい風景、神秘的な儀式とダブルパンチ。
後半に行くに従って、主人公のデカプリオの葛藤やデ・ニーロの怖さが見え隠れし始めドラマが一気に動き出す。
ここからの動きは流石にスコセッシ映画である。
俳優陣の演技もヤバい。いい意味で。
デカプリオの清濁併せ持った演技は、タイタニックのアイドル俳優としてしか知らない人間が観たらどう思うだろうか。
顔芸等と評されるが主人公のある意味哀れな男の葛藤や翻弄される様を表現できていると思う。
デ・ニーロはやはりゆっくりやさしく恐ろしくなっていく。マフィア映画で慣らした本領発揮だ。
これが見たかったファンも多いだろう。自分もその一人。
今作も同じような役回りだが落ちていく様まで描かれるのは珍しいか。
デカプリオと作中で結婚するオセージ族の女性役、リリー・グラッドストーンも良い。
オセージ族の寡黙で聡明だがな女性だか、それ故愛した旦那を信じて良いか、自身で判ってる結果を直視できないという難しい役柄(しかも病魔に蝕まれている設定での演技)を演じている。
原作は未読だか、白人視点でFBI長官フーヴァーから派遣されたホワイト(この映画ジェシー・プレモンス演)がオセージ族連続殺人事件を解決するものだそうだ。
本来はホワイトをデカプリオが演じる予定であったという。
それを脚本を大幅変更し、アーネストとモーリーの関係に重点を置いたものに変更したという。
これはストーリーが濃厚になったし、素晴らしい変更だと思う。
(個人的には原作のままのハードボイルドな作品も見てみたかった。生きていたらセルジオ・レオーネあたりに監督してもらって)
ただ最後のオチが意外過ぎて笑ったが、賛否両論だろう。個人的にはもう少しなんとか出来なかったのかと思う。
色々言ったが総じて面白い作品であった。
しかし、ドキュメンタリーとドラマが合体したような作品なので上映時間が凄い。
3時間は適正だったのか。これは悩むところだ。
海外で休憩時間を取った映画館が怒られたらしい。
黒澤明の『七人の侍』も休憩時間が入る。
この辺りは構成を考え、トイレとコークの補充に行かせて貰う時間が欲しい(笑)
興行では飲み物代でも助かるはずだ。
最近スコセッシ監督はマーベル映画に毒を刺したが、スコセッシだからこの上映時間で上映出来るわけで、興行収入を考えたら映画館的には90分を2回まわした方が利益は高い。
アカデミックな表現を受けるスコセッシだが、娯楽であり映画館を儲けさせる点も忘れて欲しくない。
80歳の監督にさらに夢を見せて欲しいというイチファンの希望である。
見るべき作品かと言われたら、面白いし見るべき作品である。
ただ長さだけは工夫すべきであったと思う。
映画館でなく、配信で見たいと言った友人がいたが「確か」にと思ってしまった。
すごい話だな
アメリカの原罪みたいな話よくやり切ったな。しかも3時間26分!!興行収入も良いらしい。映画館の真ん中の方は空いていた。私も念のためやや出やすい席に。ドラマのビンジウォッチだと思えば長すぎるということもないかも。 時代はタルサ虐殺のころだから100年前。そんなに昔でもない。福田村事件と同じころ。 モーリー役のリリーグラッドストーンが気高く美しい。賢そうなのになんでチンピラ白人なんか好きになったんだ。美しく自由な姉妹たち。ハンサムでそこまで賢くないところがかわいく思えたのかな。 自然と共に生きたオーセージ族が少しずつ自然や先祖との調和を失っていくのが悲しかった。お葬式の変化とか。パンケーキやトーストなど、白人の食べ物はモンゴロイドには合わない。 ディカプリオはこの役には少し歳をとりすぎているようにも思う。30代くらい?童顔なのでそこまで違和感はない。人を呼べるからいいのかな。 さすがに後半は周りの観客も集中力切れてきてて落ち着かなかった。 フーヴァーってあのフーヴァーなのか。ほんと、そんなに昔の話でもないんだなあ。 ヘイルとアーネストがあからさまに謀議するのではなく、それとなくお互いの真意を読み、探りながら自分たちの利益に向け殺人までしていくのが怖かった。これを直接的なセリフではなく、演出で表現するのはすごい。 結論としてはだれも信用するな、特に夫は他人だってことかな! これはモリーの悲しみの物語。
そこは最初に持ってきて欲しかった
全体としては一切退屈せずに見れた作品でしたし、ところどころに挟まれるバイオレンス描写や、変にポリコレに配慮しない姿勢も素晴らしい作品です。が、やはりラストは詳しくは言えないけど、そこは最初に持ってきて欲しかったと思う終わり方でしたね。でも最後のエンドロールの余韻はすごく良かったです。 余談ですが、唐突にフリーメイソンが出てきたのはちょっと笑いそうになった。あと眠ってる人いたけどいびき立てるなよお。うるさいじゃないか。
スコセッシの話芸を堪能できます
200分越えか!と怯んではいたものの、そこはやはりスコセッシなのでまったく長くは感じない。クロニクルはお家芸みたいなところもあるし、語り口もフラッシュバック、フラッシュフォワード混ぜ込んだりするので飽きが来ず、特にロビーロバートソンの音楽が、このオクラホマ舞台の映画には本当にあっていてセットアップの1時間が過ぎると完全に身を委ねられる。年間に数本程度でいいのでこのクラスの映画がかかってて欲しい、と思うけれど、それらは配信ドラマの会社が作っているのが複雑ではある。 まあデニーロ&デカプリオということもあり、そこに新鮮なところはないけれど、インディアン系の俳優が新鮮味ある中で、この地域と部族の栄枯盛衰、謀略と裏切りの中でリリーグラッドストーンの佇まいが素晴らしい。歴史の暗部というと、「ソルジャーブルー」みたいなトラウマ感のあるものに比べるものよりは得意な感じがしないのが物足りない感じはあるが、ラストの「その後」を伝えるラジオドラマショーのところがとても気が利いてる、かと思ったら監督が自ら登場して現代に繋ぐところで気分があがった。
長編も良いです
途中、集中力か途切れ、眠りに入りましたが、最後には持ち直しました。 作品が長かったからだと思います! 西部劇の撃ち合いを想像していたら、まったく違う話でした。オーセン族について知ることができて良かったです。 砂漠の原油から、遊牧民が大金持ちとなったアラブの富裕国の成り立ちを想像しました。また、ハワイや、オーストラリアに元から住んでいた人々、そしてアイヌの方々についても思いを馳せました。 史実に基づく部族融合過程のストーリーですが、夫婦関係や親族関係を考えさせられるヒューマンドラマでもあります。 法廷や刑務所の様子も興味深かったです。 ディカプリオは、もちろん良かったですが、ロバート・デ・ニーロはさすがだと思いました。
時間の長さを全く感じませんでした
久しぶりにスクリーンで見たロバートデニーロ。まだまだ現役で嬉しかった。そのデニーロに完全に弄ばれるディカプリオのダメっぷりも良い。先住民を搾取することで成り立ったアメリカ合衆国の歴史をあらためて認識。その歴史が忘れ去られないように、このような作品が定期的に制作されることが素晴らしい。 エンドロールで立ち上がる人がいなかった映画も珍しい。流れる音をずーっと聞いていたいと思った。ありふれた音楽が流れるより、映画の余韻を感じることができて素晴らしかった。
エデン17
すごく面白かった。
この映画で実際の事件に興味をもち、実際の人物の写真なども観てみたが、配役たちとイメージがあっている。
もともと素朴に清らかにくらしていたオセージ族が、「富」によって不幸に転落していく話ともいえる(もちろん悪いのは白人たちだけど)。
「火の鳥」の望郷編のエデン17を連想した。
「純血」とか「無能力者」とか、説明なしに出てくるので、実際の事件の背景を知ってから観た方がより話を理解できると思う。
当時の人達の考え方や言葉をできるだけ再現しようとしてる点が良かった。
「白人がインディアンの使用人として働いているなんて罰当たりだよ」というようなセリフが印象に残っている。この当時の人たちにとって、白人が最も偉い、というのが道徳的に(宗教的に)正しいことだと信じられていた時代だ、ということ。
成金先住民に群がる強欲白人
アメリカ先住民の所有する荒地から石油が掘り出され、定期的に石油会社より大金が先住民に送られることとなった。 このお金を巻き上げようととする、白人社会の病巣の映画です。 3時間26分の大作ですが、骨太な展開で、長くは感じませんでした。 監督と脚本家が良かったのでしょうか。 デカプリオとデニーロの名演、先住民の俳優陣の自然な演技、犯人役の白人俳優のリアリティのある不気味な演技がとても良かったです。 殺人を依頼され渋っていた白人が、先住民が標的と知ると快諾したシーンが印象的でした。 ホラーではありませんが、人間の怖さがわかる映画でした。
デカプリオとデニーロ,最高コンビ
アメリカ大陸のインディアンの土地で湧き出たオイルダラーをめぐり、白人たちが彼らを利用し搾取していく。結婚という形で部族に入り込み,殺人はそれを隠すための殺人を呼んだ。
軍隊から帰ってきたデカプリオ扮するアーネスト。彼は女とお金が好きなある意味で欲望に忠実な若い男だった。彼はただ楽して遊んで暮らせればラッキーと考える,おバカな若者だった。そんな彼の本質を見抜き,巧みに操るデニーロ。そんな彼をひたすら信じて悪いことに手を染めていく。少しずつ深みにハマっているが気が付かず、いつのまにかどっぷり抜け出せないところまで来てしまった。唯一の救いは彼が本当に部族の娘を愛したことだった。
それゆえ,最後には人の道に戻ることができた。
ただ、最後の彼女の問いに、やっぱり自分を守ってしまった。それは運命の分かれ道。彼女との別れが決定づけられただろう。
デカプリオの顔だけ取り柄のおバカだけど本質は悪くないよねって思わせて憎めない男と、マフィアのボスを彷彿とさせるデニーロの腹黒な仮面のコンビがこの映画のキモだと思った。そして,意外と最後まで展開の読めない脚本もお見事でした。
スターのオーラを感じさせないディカプリオの迫真の演技が、矛盾そのもののような男の存在を納得させてしまうのです。 それを極めた怪演は見事です。
米国の負の歴史に光を当てて世に問い、かつ人間ドラマとしてもめっぽう面白かったです。監督マーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ。ハリウッドの重鎮、大御所が顔をそろえ、米国映画の良心と底力を感じさせる大作です。 極めつけは、愛することと、だまして殺そうとすること。同じ相手に対する正反対の行為に、ほとんど矛盾を感じさせない見事な演出と演技にあります。それが存在することを恐るべき説得力で演じきったレオナルド・ディカプリオの圧倒的な演技の力に、惚れ惚れしました。 ●ストーリー 1920年代の事実に基づく物語です。 1894年にオクラホマ州にあったオセージ族所有地で石油が発見され、彼等に莫大な富が流入、強欲な白人たちがそれに群がっていました。優雅な物腰のオセージ族に白人がかしずき、顔色を窺っていたのです。親族に相続されるこの富を、白人支配者たちはあくどく搾取し、多くのオセージの人々が虐殺されました。本作は、そうした中で起きた大量殺人事件の一つを描きます。 第一次世界大戦後の帰還兵となったアーネスト・パークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、叔父のキングとよばれるウィリアム(ロバート・デ・ニーロ)を頼って、オクラホマ州オセージの駅に降りたちます。 キングは地域の顔役として先住民のオセージ族と良好な関係を築いていました。しかし、その裏でオイルマネーを横取りする策略を巡らせていたのです。 地元では先住民たちが次々と怪死する事件が続いていました。キングは、アーネストに先住民の女性と結婚して石油の利権を奪うよう命じるのです。 その命に応じるかのように、アーネストは、先住民の女性モリー(リリー・グラッドストーン)と恋に落ちて結婚します。叔父の言葉がきっかけでも愛は本物でした。そこから彼は、モリーの一族の資産を横取りするため、キングの命じるままモリーの親族殺害に加担するのです。自ら手を下さずとも殺し屋たちに依頼して。そしてついに、愛するモリーの命までも狙うことになります。 町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された元テキサス・レンジャーの特別捜査官トム・ホワイト(ジェシー・プレモンス)が調査に乗り出します。果たしてトムはどこまでキングの狡猾な陰謀に辿りつくことができたのでしょうか。 ●解説 スコセッシ監督は、白人による先住民差別と搾取、非道な 犯罪を許しがたい歴史の汚点としながらも、単純な善悪対比の構図に押し込めません。 この手の実録犯罪ものは、序盤のうちに事件が発生し、中盤の入り口あたりでFBIの捜査が始まるのが常。ところが本作はそうしたパターンを壊し、殺人シーンや捜査官登場のタイミングを大幅に後ろへ引き延ばした。そのためテンポは緩く、似たような場面の反復も見られ、鑑賞中に何度かじれったさを覚えることでしょう。その半面、白人による搾取の卑劣さや執拗さ、先住民の悲劇性が強調され、これはこれですさまじいのです。 アーネストは仲間たちと犯罪をためらわず繰り返す一方で、モリーには愛情深く接します。残忍なキングはオセージを「最も美しい人々」とたたえ、部族会議にも出席して犯人発見に協力を約束するという二面性を発揮するのです。 3時間26分と長尺の映画で、画面からの圧がすさまじいのです。スコセッシ監督の語り□も映像も 重厚濃密、そして俳優陣が圧巻です。愛情と物欲のはざまで右往左往するアーネストを演じたディカプリオ、二面性を持つキングをサイコパスではなく造形したデ・ニーロ。2人の間で可哀そうな被害者にとどまらず、歴史の闇を体現したグラッドストーン。賞レースもにぎわせそうです。 ●作品の背景に浮かび上がること ネーティブアメリカンには強制移住、居留地の歴史がつきまといます。オセージ族もしかり。そこに、アメリカ社会に根付く「富を生むルール」の蛮行を交錯させ、マイノリティーの財産を搾取する支配の構図を浮かび上がらせました。白人によるこうした事例は多々ありますが、西部劇を除けば映画として世に問われる作品は少ないのです。その意味でも称賛されるべきです。とりわけ、モリーの沈黙は圧巻。□に出さずとも言葉にした以上に心意を語り、オセージ族としての衿持と家族への思い、アーネストヘの愛と幸福への意志が視線とその強さに宿っていました。 ●感想 先住民と結婚した白人の夫の仕業と思われる殺人が頻発する連続殺人が主題のサスペンスですが、殺人場面そのものはほとんど描かれません。むしろドラマチックになりすぎないよう、先住民と白人たちが共に暮らす日常の描写が積み重ねられます。大量殺人があまりに淡々と描かれるのであぜんとしてしまいました。コメディーのように思えるほどです。 カメラはアーネストの表情をじっくりと捉えます。恋人モリーを見つめる愛情のこもった顔。妻となった彼女と過ごす家庭での安らいだ顔。妻の家族の殺人を依頼しに行く冷酷な顔。叔父の前での弱々しい顔。アーネストの行動は行き当たりばったりで何を考えているのかよく分かりません。 一方、表情を動かさないモリーは陰謀を知ってか知らでか、アーネストヘの信頼を寄せ続けます。アーネストとモリーのサスペンスフルな結婚生活を描く映画でもあります。夫は妻を愛しているのか、資産目当てにすぎないのか。彼らの仲を決定づける場面が美しいと思えました。 スターのオーラを感じさせないディカプリオの迫真の演技が、異様な世界に観客をぐいぐいと引き込こんでいき、矛盾そのもののような男の存在を納得させてしまうのです。 ディカプリオの役どころはおそらく彼のキャリアで最も愚かで浅はかなキャラクターですが、それを極めた怪演は見事です。 ●最後の音だけの嵐のシーンについて 屋敷でぎこちなく時をすごす2人の背景で謎めいた音が響き、続く屋外のショットでその音源が嵐であると判明します。横に並んで座る2人。何か話そうとする男を制し、嵐は力であり、それを静かに受け止めるべきだと女は沈黙を強いるのです。2人の結婚は、まさに嵐に飛び込む行為だったのです。 先住民の血も引くロビー・ロバートソンが音楽を担当。今年亡くなったばかりの彼に捧げられる本編の終了後もしばらく暗闇に留まりましょう。前述した嵐の回帰でしょうか。雷鳴がとどろき、鳥やコヨーテの鳴き声が耳に届きます。無数の死者への哀悼の念が胸に去来することでしょう。 ●最後にひと言 主人公たちの心を支配するのは、欲望の果てしなき肯定です。スコセッシが過去作で描いてきたテーマは、ここでも通底しています。後半はFBIの捜査官が事件を追い、西部劇、さらには法廷劇のような展開となります。T その法廷でアーネストが証言する場面が圧巻です。様々な感情が一気にあふれ出したような顔のアップ。3時間26分の長い上映時間はこのためにあったのだと思わせるほど、見事でした。
言ってショミカシ
オイルマネーに沸くオクラホマ州にて、先住民のオセージ族の女性モリーと結婚したアーネストだが、周りのオセージ族が次々と変死していくという事件が発生し…といった物語。 利権と欲望の渦巻くドラマ作品。 アーネストの叔父は地元の有力者らしく、色々と牛耳っているようだが…そして石油による巨万の富を得たオセージ族…その相続権がどうたらこうたら…なるほどそういうことですね。 全体を通し、シンプルな展開と言えばそうだが、自分の欲望の為によくこんなことまでできるな~という、人の心を持たない輩の存在には愕然とさせられますね。 その他、結局アーネストの本当の気持ちはどっちだったのだろうか?また、モリ―の方はどのくらいわかっていたのだろうか…。 そんなことを考えながら観られる、難しくも深い作品だった。 物語自体はとても良くて面白かったのですが…ただやっぱりワタクシにはちょっと長すぎたかな…。面白ければ時間を感じない、ということはよくあるけれども、本作は面白くはあったが体感時間はそれこそ3時間半どころではない、もっと延々と感じられた作品だった。
どうしても長い
教訓というものは何もなかった。 レオナルドディカプリオの演技は よかった。 登場人物が多すぎて、誰が何に 関わっているのか非常にわかりにくかったです。 ディカプリオの奥さんの、出会ってから恋に 落ちるまでの心の動きやそれ以降の気持ちの 変化というのが非常にわかりにくく、全体的に も共感することはできなかった。 ただ、淡々と進んでいく感じだった。
長い…醜い偏見と差別
辺境に追いやられたインディアン(○○族)の居住地から湧き出た石油 その石油で成り上がったインディアン(赤と言っていた)と、お金にみいられた白人の話 三時間超えとながく、この場面要らんヤローと突っ込みたくなるところもあったが、実話ということもあり、カットできなかったのかも… 日本と韓国の民族問題が重なることも… いずれにしても、お金は人を変えてしまうということで、愛<お金、お金で人間の命が簡単に…ということ お金は人を変えてしまう麻薬である
名人
マーティンスコセッシ名人の新作 しかも主演はディカプリオ! 206分がたったの2000円⁉︎ リアルタイムて劇場で見られるなんて、 地球に生まれてよかったー! と思いつつ見ましたが、ストーリーが地味だなあと。 後半は週末の眠気がともない、誰が誰で どつやって殺されたんだっけ?とぼんやり ディカプリオの役柄もどっちつかずで中途半端か でも顔面力上がってきましたね。 眉間の皺とメンチを切った時の目力はさすが!
鑑賞動機ディカプリオ5割、予告3割、リリー・グラッドストーン1割
スコセッシやデ・ニーロは途中でトイレに行きたくならないのだろうか。かなりハードル高い上映時間だったけど、それでも長さを感じさせないでくれたので良かった。集中すれば尿意も消滅するのだろうか。
前後して『ギルバート・グレイプ』を観たので、ディカプリオの円熟ぶりに、年月の重みを感じる。ホワイトではなくアーネストを中心に据えるという変更も、観終わってみれば当然のことのように思える。絶対にアーネストの方が演じるの難しいもの。
ディカプリオの表情をかなりの長回しでとっているところを、顔芸と一言で言うのは簡単である。でも、じっくりと時間をとってシーンとして提示してあることで、ただ流されていくダメ人間とはいえ、内なる葛藤や逡巡や自己欺瞞、妻への愛情と叔父への恐怖など色々なものがぐちゃぐちゃに混ざり合ってカオスとなっている心境を、セリフで説明せずに垣間見せてくれたわけだし、それらを観客が自分で考え想像することができる余白を作っているのだと思った。なんかようやくスコセッシの凄さを実感できた気がする。
リリー・グラッドストーンも良かった。最初のお嬢様然とした余裕を滲ませる場面、値踏みしつつそして打算ありありとわかりつつ受け入れていく様、家族を殺された際の慟哭、アーネストを信じていいのか揺れながら憔悴していく様など、様々な表情や立ち振る舞いで、ディカプリオに引けを取らない演技だったように思う。
そして、この重苦しく恐ろしい話もいよいよ決着が…というところで、あの演出ですよ。一気に現実に引き戻される。スコセッシは出てきたのはわかったけど。いやあ、なんなんでしょう、なんかこういいように弄ばれた感が残ってしょうがない。
本当に大切なものとは?
これまで自給自足をしてきたインディアン達が石油を得て、白人の論理である資本主義を受け入れる事で恩恵を受けたが、金が全てという資本主義のダークサイドにもさらされる事になってしまう。
その時にインディアンはあまりにも無力である。何故ならそれまでそんな知略謀略の搦手なんかで戦ってなんてこなかったからだ。
最後には結局何もかもを搾り取られてしまう。
事件の全容が明らかになり、犯人も捕まってすっかり焼け野原になった地に久しぶりの平穏が訪れる。インディアン達が増え出し草原の中で太陽を描く。
太陽とは復活のメタファー。
先祖伝来脈々と続く民族的アイデンティティのことだろう。
それを捨ててしまった時、要は冒頭の先祖伝来の笛を埋めた時から闇が訪れていたのだ。
圧巻の映像美!
マーティンスコセッシ監督×ディカプリオ×ロバート・デ・ニーロとなれば悪かろうはずがない! まずはこの圧倒的な映像とカメラワーク! もうこれだけで映画を大スクリーンで見る幸せを感じられます。VFXなにするものぞ!です。 質素に暮らすアメリカンインディアンの村に突如吹き出した石油のおかげで村は大金持ちに。そしてそこに群がる白人たち。 インディアンに対する迫害と捉えられがちですが、この映画を見る限りでは単に石油マネーを狙った利権争い、相続争いにまつわる殺人事件。これは相手がインディアンでなくても黒人でも白人同士でもありそうな出来事で、金の為なら何でもするデニーロおじさんとおじさんに逆らえない気弱なディカプリオに巻き込まれた奥さん一家の悲劇という構図ですね。ディカプリオがちゃんと奥さんを愛していた(らしい)のが救いで、余韻の残る素晴らしい作品に仕上がっていました。 ただ3時間半はさすがに長い。最近長い映画が多いけどせめて2時間半くらいにしてください💦
全390件中、101~120件目を表示