「今年のナンバーワンかも。。。」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン mickeithさんの映画レビュー(感想・評価)
今年のナンバーワンかも。。。
3時間26分は長いことには間違いないが、それを決して長く感じさせなかった。途中で時計を見ることもなく、気がついたらラストの寸劇まであっという間に過ぎた。確かに前半は状況説明などで少しスローな展開であったが、あの描写がないと時代背景などが上手く伝わらなかったかもしれない、後半はハイテンポで進み、ここで退屈する余裕は全く無い。スコセッシ監督がインタビューでカットできる限界までカットし尽くして、意味のある場面だけを残した結果、こうなったというコメントの意味はよく分かる。だから無駄なシーンをカットして短くしたらいいという意見は筋違いかもしれない。セリフだけでなく、無言のシーンにおいてもデカプリオの顔の演技は、こんなにいい役者だったのかと改めて再評価せねばならないほど、愚かで、クズで、ちょっと考えればお前がやってることは愛してる妻への冒涜であるのに、叔父の洗脳から逃げられないダメ男を、観客をイライラさせるほど上手に演じている。デニーロに折檻される場面の表情は悲しすぎる。妻にあの注射は何だったのか?と問い詰められる時の嘘の下手さ、もしかしたら妻は正直に言えば許してくれたかもしれない場面での優柔不断さ、どの重要な場面にも、ノーと言えないこの男の愚かさがにじみ出てる。デ・ニーロは極悪人であるが、その極悪性を微塵にも顔に出さず、あくまでも、部族に理解力のある良い人を演じる、さすがの存在感、自分の手を何も汚さず、ニコニコしながら平気で、デカプリオに人を殺させる、殺す段取りをさせる。その人間心理が一つ一つの場面にも煮詰められていて、一回見ただけで軽率に評価できるような作品とも思えない。もう一度出来れば見て、新たな発見を探してみたい。されど、今年すでに30本以上映画見たが、これ以上の作品はなかったので、自分の中ではナンバーワン評価。主役二人は素晴らしいが、モーリー役のリリー・グラッドストーンの凛とした演技は役者をもう辞めようと思っていたらしいが、是非ともオスカーを差し上げたいくらい見事でした。