劇場公開日 2023年10月20日

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「デ・ニーロの好々爺然としながらの悪辣さよりも、いいように利用されて...」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0デ・ニーロの好々爺然としながらの悪辣さよりも、いいように利用されて...

2023年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

デ・ニーロの好々爺然としながらの悪辣さよりも、いいように利用されているだけのディカプリオのダメ男ぶりの方が寧ろ恐ろしい。自分たちが殺した女の名前を取った娘を可愛がり、その死を嘆き悲しむ神経は計り知れないものがある。彼ら夫婦の描写も愛とか疑心暗鬼、とかいった言葉ではとうてい言い表せない独特の緊張感と湿度があって、人がゴミのように死んでいく乾いた外の世界の空気感と好一対を成している。最後の演出はいかにも時間切れの苦し紛れだが、因果応報とは程遠い現実に虚脱してしまう効果はある。史実に基づいた話なら、オイルマネーの行方などもっと社会的な背景は描いて然るべきとは思う。

sugsyu