「小悪党から悪党に変わりつつも父親としても揺れるレオ様の物語でもありますが、モーリーの半生を描いた物語でもあります。」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
小悪党から悪党に変わりつつも父親としても揺れるレオ様の物語でもありますが、モーリーの半生を描いた物語でもあります。
レオナルド・ディカプリオの出演作は近年歴史的大作ばかりではあるけど、些か「堅い」感じがしなくもなく、気軽に映画を観よう!と言うときには個人的には合わない感じなんですが、あのロバート・デ・ニーロと共演していて、監督がマーティン・スコセッシなら、ハズレも無いだろうし、期待値が上がったので、206分と言うかなりな長尺に多少のブレーキが掛かりつつも鑑賞しました。
で、感想はと言うと…長いけど、見応えありの大作。でも…長いなぁw
ズッシリと重く、歴史的大作でありながら、レオナルド・ディカプリオの小市民的小悪党の揺れる様が何処かコミカルでシニカル。
そこにロバート・デ・ニーロと言う大ベテランが入ることで物凄い極太の芯が入り、多少の風が吹こうが物語にブレが感じない。ディカプリオは過去作でも主人公としてのイメージを忠実に守っている感が強く、そのイメージに捕らわれ過ぎている感があったけど、今作ではロバート・デ・ニーロに任せるべきところは任せていて、何処か自由に演じられている。
だからこそ、中年で何処かと情けない感じのアーネストをディカプリオが肩の荷が降りたかの如く、自由に演じられたのでないだろうか。
また、モーリー役のリリー・グラッドストーンがとても良い。個人的にはモーリーが主役として、半生を描いた物語に感じるくらいでモーリーの周囲をチョロチョロと悪党と小悪党が悪巧みをしている感じw
あと、ルイス・キャンセルミがなんか印象深いw
アメリカの歴史にはそんなにも詳しくないのですが、それでも先住民族のネイティブ・アメリカン(インディアン)の悲劇的歴史はそれなりには理解しているけど、改めて知れば知る程、アメリカの白人至上主義の傲慢さにイライラ。
追いやられた保留地の地下から、ブラックゴールドと呼ばれる程の油田の権利にすり寄る白人達は給仕として仕えながらも心の奥底では見下しているのが滑稽でありながらもしたたか。
後見人として違法に富を掠め取り、莫大な遺産を相続する為にオセージ族の女性と婚姻を結び、一族の者が徐々に亡くなっていくことで連続怪死事件が後のFBI設立に繋がっていくと言うのも興味をそそられる。
また、ラストのその後をラジオドラマ仕立てと言うのが良いんですよね♪
ここで物語のエンタメ感が一気に増して、重苦しかった雰囲気に一服の清涼感が加わっている感じが好きですね。
史実を元にした作品はドッシリと見応えある内容ではあるけど、結構複雑で堅く難しい物が多いけど、この作品人物描写に焦点を当ててるので割りと明解。
それはレオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロと言う名優が居るからこそだと思うし、人物描写が丹念に描かれているんですが、やっぱり長いんですよね。
大きな中弛みこそ感じないけど、丹念に描き過ぎてるからこそ、上映時間の長さがこれだけになるといるのは個人的にはよろしくないかと。出来れば2時間半ぐらいなら文句無しなんですけどね。
あと、気になったのはアップル・スタジオが製作に入っているからかエンドロールでのキャストやスタッフの重複と少し画感と言うか、質感がちょっと違うんですよね。アップル・スタジオが近年本格的に映画製作に乗り出したのは知ってはいたけど多分観るのは初めてかと。
場内が明るくなるまでが作品上映と考えているので、エンドロールの役割は個人的には凄く重要。
あんまり長いのはよろしくないし、主題歌やBGMが途中で切れたりするのも頂けない。
近年画質描写が良くなっているだけにちょっと違うだけでも気になってしまいます。
当初はレオナルド・ディカプリオは連邦捜査局の捜査官役として主演する予定であったらしいけど、それでは単に勧善懲悪のヒーローになることを危惧し、自身の役を小悪党で情けなくも何処か憎みきれないアーネストに代えたのは大正解かと。
そうすることで全体のバランスがとても良くなっている。アーネストが主役ではあるけど、モーリーの半生を核として、アーネストとヘイルが暗躍することで物語に広がりと深みが増している感じ。
ただ、やっぱり長いのでそこに躊躇して鑑賞に腰が重くなる人も居るだろうと思うとやっぱり勿体無い。
でも、約3時間半を使って、丹念に描かれたサスペンス作品を堪能出来ると考えると観るに値する良作かと。
上映前のトイレは済ませるのは勿論、上映中も出来るだけ水分補給はしない方が良い作品ですw
トミーさん
遅くなりましたが、コメント有難うございます。
福田村事件しかりですが、どちらも事実であったと言うのに驚きですが、モーリーも自身のネイティブアメリカンでありながら、振って沸いた大金に踊らされる同族たちに何処か達観していたようにも感じますね。
また、お暇がありましたら、覗きに来てくださいね♪
共感ありがとうございます。
これが事実に基づくモノだというのが凄いですね。資金集めも巨匠監督でないと四苦八苦だったでしょう、「福田村事件」とは雲泥。モーリーも純粋に夫を信じてた訳じゃなく、どこか自分たちネイティブアメリカンを諦めて診ていたような・・糖尿病だし。