「悪夢的アニメーション表現」オオカミの家 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
悪夢的アニメーション表現
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人形を使ったストップモーションアニメ、というだけではなく、絵画表現も用いて部屋全体をキャンバスのようにしている、ヤン・シュヴァンクマイエルをイメージさせる、という記事を読んで興味を持ち観に行ったものです。
実在したカルト教団施設をモチーフにしているという部分も気になりました。
アニメーションは二次元と三次元が入り混じった不思議な感覚のもので、壁や家具や人間が奇妙に変容してゆくさまは、とても見応えがありました。
全体の構成も皮肉めいたもので、主人公のめくるめく悪夢が展開されてゆくような物語も不安感が拭えません。
オオカミの家から逃げ出してきたと思われる主人公が、オオカミのやり方を踏襲しているのではないかと感じる部分があり、主人公が作っているこの家が「オオカミの家」ということなのか、逃げ出しても主人公の家=精神世界はオオカミに支配されている「オオカミの家」ということなのか、などと考えましたが。
ラストの展開も合わせ、なんともやるせない複雑な気持ちになります。
悪夢的な物語と異様に変容するアニメーション表現はとてもよく合っていて、インパクトのある面白い作品でした。
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