劇場公開日 2024年1月26日 PROMOTION

哀れなるものたち : 特集

2024年1月15日更新

超衝撃作、大問題作、強刺激作… どんな言葉も本作に
相応しくない。エマ・ストーン×怪物的天才監督が紡ぐ
アカデミー賞有力候補作 絶句、絶頂、挑発、陶酔。
あなたが最後に感じるのは、経験したことのない、歓喜

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ラストシーンを観た時、思わずハイタッチしたくなった。

「哀れなるものたち」(1月26日公開)。ゴールデングローブ賞では作品賞と主演女優賞に輝き、「アカデミー賞の最有力候補の一角」「大傑作」と激賞され、そして第96回アカデミー賞では11部門にノミネートされた。映画ファンにおける“この1月の大注目作”だ。

物語は過激にして壮烈。ときに絶句するシーンが繰り広げられ、ときに絶頂にいたるほどの快感を得られ、ときに“生きること”への激しい欲求をも駆り立てる。

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超衝撃作、大問題作、強刺激作……どんな言葉も本作には相応しくない。観るものたちが受け取る“何か”は、おいそれとは言葉にできないし、言葉にした瞬間に大切な何かを失ってしまいそうに思える。

それでも、私たちは本作のことをなんとしても伝えたい。

この記事では、ほかのいかなる映画でもなし得ない「哀れなるものたち」固有の体験をレコメンド。上質なひとときに頭から爪先までどっぷりと浸かり、心ゆくまでご堪能いただければと思う――物語の最後に訪れるのは、脳の奥の奥の奥まで届く猛烈な歓喜だ。


【予告編】25歳、ベラ。赤ん坊の脳と大人の身体を持って再生する。

この世に絶望した女性が、新生児の脳と大人の身体で再び生を得る…前代未聞の設定の先に何がある? あなたの想像を粉々にする、驚がく必至の超渾身作

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まずは本作の特徴、あらすじ、キャスト&スタッフなどの魅力をご紹介しよう。基本情報だけでも「これは観に行かなければ」と感じるはずだ。


●傑作を作るべくして実現した再タッグ:
アカデミー賞俳優エマ・ストーン×怪物的天才監督ヨルゴス・ランティモス
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アカデミー賞9部門10ノミネートというがく然とするほどの高評価を得た「女王陛下のお気に入り」のタッグが再び。

「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主演女優賞に輝き、今世界で最も影響力のある俳優の一人となったエマ・ストーンが主演・製作。「体当たりの演技」「魂の熱演」などという言葉では片付けられないほどの“生き様”を見せ、観客に衝撃を与える。

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またヨルゴス・ランティモス監督は、日本の観客としては“誰もが知る”ほどの知名度はまだない。しかし、その作品をひと目観ればたちまち“取り憑かれる”だろう。天才という言葉だけでは収まらない、怪物的天才の新作となれば、期待しないほうが無理だ。

そして製作スタジオは、「スラムドッグ$ミリオネア」「シェイプ・オブ・ウォーター」「ノマドランド」などを創出し、世界中の映画ファンから絶大な支持を受けるサーチライト・ピクチャーズ。本作の予告編を観れば一目瞭然、まさしくとんでもない作品となっている。


●衝撃的な物語:
自らの胎児の脳を移植し、再生した女性の冒険
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あらすじはこうだ。

不幸な若い女性ベラ(演:エマ・ストーン)は自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスター(演:ウィレム・デフォー)によって“彼女が身ごもっていた胎児”の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。

「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカン(演:マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

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「自らの胎児の脳を移植し、再生した女性の冒険」……“次に観る映画を探す”あなたの興味が、強烈に駆り立てられるだろう。そんなストーリーラインの中心に据えられているのは、大人の体と子どもの脳を持つ女性の再生と冒険=人生をゼロから生き直せるのならば、どうなるか?という映画ならではの究極の問いである。知的好奇心がうずいてたまらなくなるだろう。


●強烈な刺激と快楽を伴う展開:
生と性と死と詩と愛と哀 普通の倫理など一切通用しない圧倒的なストーリーテリング
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ベラの冒険はどうなるのか? 物語は、上記のあらすじからはまったく予想だにしない、強烈な刺激を伴う展開へとなだれ込んでいく。

その展開は、現在の倫理や価値観など紙くず同然ともいえる無茶苦茶な“時代”と“場所”での冒険を通じて、私たちの倫理の危うさと、ある意味での正しさを浮き彫りにするのだ。観れば、今持っている価値観があっという間に爆破され、新たな価値観に気がつくだろう。それはまさに革命だ。

モノクロームとカラーを往還する映像世界もたまらない――生と性。死と詩。愛と哀。一匙の痛みと望外の快楽。相反する要素が代わる代わる流れ込む“魅惑の体験”に身を任せていれば、最後に経験したことのない歓喜がやってくる。R18+の世界、覗いてみたくならないか?


●実力を研ぎ澄まし世界を制した共演陣:
ウィレム・デフォー、マーク・ラファロ、ラミー・ユセフ 映画の世界へ引き込む数々の名演
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エマ・ストーン以外のキャストにももちろん注目してほしい。その演技力やポリシー、長年にわたる活躍により、アカデミー賞などに輝き世界的な評価を得るようになった“本物”の俳優陣が、全身全霊をこめてアンサンブルを奏でるのだから、刮目して観ない手はない。

予告編で熱演の一端を垣間見れば、即座に“世界”に引きずり込まれるはずだ。そして、そのほか知る人ぞ知るキャストも画面の端々に登場。この記事内では具体的には言及しないので、ぜひ劇場で、自身の目で確かめてほしい。


●アカデミー賞最有力候補の一角:
ベネチアで金獅子賞、GG賞で作品賞受賞の超高評価
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その類まれな魅力を紹介してきたが、もちろん映画.com編集部だけが本作を評価しているわけではない。

第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で金獅子賞(最高賞)に輝き、第81回ゴールデングローブ賞では2部門(ミュージカル/コメディ部門の作品賞、主演女優賞:エマ・ストーン)を受賞。賞レースの先頭を疾走しており、アカデミー賞の有力候補の一角とされている。

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世間では佳作や良作と言われる数々の映画と比較しても、「哀れなるものたち」は全編を通じたオーラが段違いだと感じ取れるかもしれない。単なる際どい・刺激的な一作ではないこの“傑作”、なんとしても映画館で“食らって”ほしい。

さて、ここまで読んで「気になるけど、実際に観た人の感想も知りたい」と考える人もいるかもしれない。そこで以下の項目から、3人の映画人のレビュー(ネタバレなし)をお伝えしていくので、ぜひとも参考にしてもらえればと思う。


【実際に観た人々の衝撃】あまりのことに言葉が出ない
それでも紡いだこの感想にあなたはひたすら魅入られる

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その衝撃的な映画体験は、鑑賞直後はうまく感想が出てこない。映画を語ることを生業とする人々も例外ではなく、本作試写では多くの評論家やライターたちが絶句していた(もちろんポジティブな意味の絶句だ)。

それでも「哀れなるものたち」について語ろうとすると、絞り出てくるのは生々しい感情やむき出しの言葉である。本記事の最後に、映画文筆家の児玉美月氏、映画ライターのよしひろまさみち氏、映画.com編集長の駒井尚文による“率直な感想”をつづっていく。


●映画文筆家・児玉美月が観た「哀れなるものたち」
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世界に革命を起こす今世紀最高の映画。きっとあなたを遥か遠くへと連れて行く。

本作のテーマは、女の“性”と自由。ベラは自分で自分の身体を悦ばせ、性別問わず関係を持ち、男性主体の“性”の在り方を拡張させてゆく。その意味で「哀れなるものたち」は、まさに女の“性”と自由を描く映画だった。

・児玉美月|Mizuki Kodama
主に映画執筆業。キネマ旬報、映画芸術、ユリイカ、朝日新聞などでの執筆のほか、劇場用パンフレットなど多数寄稿。共著に「反=恋愛映画論──『花束みたいな恋をした』からホン・サンスまで」(ele-king books、2022年)、「彼女たちのまなざし 日本映画の女性作家」(フィルムアート社、2024年)などがある。


●映画ライター・よしひろまさみちが観た「哀れなるものたち」
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不安をあおる音と映像の連続なのになんと晴れやかなフィナーレ!

ヨルゴス・ランティモス監督らしく、次に何が起こるか分からないショットと音楽の大洪水。想定外の方向にしか転がらないのに、フィナーレの晴れやかさったらない!

・よしひろまさみち|Masamichi Yoshihiro
音楽誌、女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーに。映画.comのほかELLE ONLINE、sweet、otona MUSE、an・anなどで執筆。テレビ、ラジオなどにも出演し幅広く映画を紹介する。


●映画.com編集長・駒井尚文が観た「哀れなるものたち」
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エマ・ストーンが女優生命を賭けた大ギャンブルに出た一本。コンプライアンスとかポリコレとか、あらゆる道徳規範がブッ飛ぶよ。
※もう少し詳しく:駒井編集長の鑑賞レビュー

本編を見終わり、衝撃が強すぎてしばらく呆然としてしまいました。1週間ほど経て改めてふり返ってみると、この映画の勝利は、まず「設定の凄さ」です。

「大人の肉体を手に入れた幼女」あるいは「幼女の感受性(=脳)を手に入れた婦人」。次に、その設定で冒険に出た主人公に起こる「数々のイベント(=セックス)」のバリエーションも見事です。主人公の人生を擬似体験する感覚を得られれば、観客も、とてつもない冒険を経験できます。

そして、その冒険を全身で体現するエマ・ストーンがブラボーすぎる。簡単に言えば、女性の性の目覚めを、10倍速で体験するような映画です。5歳から20歳を、1年半ほどで疾走するような感覚。それを見事にやってのけたエマ・ストーン、無双ですね。

・駒井尚文|Naofumi Komai
1998年の創業時からの映画.com編集長。日刊スポーツ映画大賞選考委員。日本アカデミー賞協会会員。生涯ベスト映画は「2001年宇宙の旅」。


以上、「哀れなるものたち」を特集した。観た人同士でしか、会話のしようがない。観た人同士で、会話がしたくなる。だからこそ本作を一刻も早く鑑賞し、誰かと話したくなっていただければと思う。

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