哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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エマのとりこ
過去作『籠子の中の乙女』と、『女王陛下のお気に入り』
はどちらもセリフのやりとりがとても印象的で好きでした
今作は特に印象的なセリフはなかったものの
中世ヨーロッパのファッションにミニスカートを加えた独特のファッションや美術的な世界観とエマ(ベラ)のピュアさと聡明さを合わせた魅力にに惹きつけられぱなしでした
赤ん坊の脳みそを移植されて徐々に成長するまでの数年間が
食欲から性欲、知識欲と変化していく過程も
動物的な言動から冒険心、恐ろしく真っ直ぐな感性が
生まれる姿もエマの凛々しい眉毛や黒々とした長い髪が
彼女の内面を表していたように思う
彼女を鑑賞するだけでも価値がある作品
時間と金を無駄にした
エマ・ストーンの体当たり演技も、魚眼レンズ他クセ強めの映像も、不協和音だらけの音響も良かったけど、、、
エログロと芸術。 2時間21分あってやや食傷気味だけど、見たほうが...
エログロと芸術。
2時間21分あってやや食傷気味だけど、見たほうがいいと言えば見た方がいいかなと。
現代なのか、中世なのか、はたまた未来なのか。
絶妙にミックスされた衣装、色彩、アイテムで構築された世界観は非常に素晴らしい。
また、その世界観に負けないエマストーンの存在感は必見。
まるで美術館を回っているかのような2時間でした。
エログロは賛否あるんでしょうが、
人間は獣っていう言葉通り、生死の本質を生々しく描画するとああいう表現に行き着くのかなとも思えました。
思うままに生きるベラやゴッドウィンと、金や立場に執着する人達の対比がよく描かれていたと思います。
ただ、そこまで揺さぶられなかったなーと思うのは、どこか火の鳥やブラックジャックで見たなぁって思ってしまったからかも。
世界を知れば、世界を手にできる
まず、想像したよりグロかった。そしてエロい。それなのになぜか清々しい。それは、この映画が人間賛歌を謳っているからなのだろう。人間の愛欲を皮肉たっぷりに描く、成長物語、冒険物語だからだろう。人造人間と言えば、フランケンシュタインかキャシャーンかって思い浮かぶけど、このベラの陽気さはチャーミングだったし、知能、感情、性欲、理性がぐんぐんと発達していく様は見事だった。エマ・ストーンの演技の賜物だった。邪悪なものを憎み、哀れなるものを慈しみ、未知の世界に貪欲に、閉じこもることを好まず、果てしなく広がる世界へと恐れずに足を踏み出していくベラの魅力。美しく、新鮮で、不穏で、奇妙。性的な興奮でさえ背徳的なものと思っていない。そんな純粋なる人造人間を前にして、むしろ生身の人間の浅ましさが浮き彫りになるのが滑稽とも思えた。
そして最後、ベラの聡明なる笑顔を見た時、「ベラに幸あれ」とエールを送りたい気分で満たされた。
カオスからコスモス?へ
ニュアンスが合っているか、この表現が合っているのか分からないし仰々し過ぎる気もするが、取り敢えず全体を通してカオス(混沌)からコスモス(秩序)へ段々と散らばったものが収縮していくという印象を受けた。もっとシンプルに入口が広くて出口は狭い、みたいな漏斗のような雰囲気に近いかも笑
冒頭から映像表現が素晴らしく、色使いや構図、撮影方法、カメラの動きなどあらゆるシーンに工夫が合って素晴らしかった。
ただし前半は正直とにかくシュールで、ついて行けそうにないな。うん。といった感じで観ていた。トップ女優がシュールで芸術的な映画の為に身体を張ってます的なやつか。と早速結論づけてしまいそうだった。
後から思うとわざとか?と思ったが、ベラがダンカンと旅に出てモノクロからカラーになった後から急激に話が入ってくるようになり、面白くなってくる。
街を探検し色々なものを観て、「体験」し、「成長」していくベラ。ダンカンに指導を受けながら、失敗しながら外の世界との関わりを覚えていく。
そして船に乗ったあたりから一気に思想的な成長を遂げ、さらに貧困を知り、世の中は本の中の理想だけではない現実も知ることになる。
パリに放流され、娼館で働き様々な男女と関わり、金を手にして文化や医学にも触れ、気がつけばどうだろう。あれほど散らばっていたものが一つの、しかも綺麗な球体として完成されていた。
あれ?なんかこの映画実はめちゃくちゃまとまってるじゃん。と理解できると諸手を挙げて「凄い映画だ。」と感じることができた。
気になった点。ベラの正体というか仕掛けは確かに面白い。が、無垢な状態の女性主人公が歩んでいく道筋としては、性への目覚めや、男から(ダンカン)の扱われ方やレストランでのはしたない事を言ったりするコメディ?や金が必要で娼館で働くなど、大方予想できるラインでやや面白味には欠ける。
終盤のある種「気高さ」のある彼女へ至る為にはその対比として必要な部分だったのかもしれないが。
あと自身の正体とそれを作ったゴドウィン(博士 フランケン)に対し「流石にそれは許せない」と言っていた彼女が、元夫の脳をヤギにしてしまったのは、ちょっとよく分からない。結局彼女もその許せないゴドウィンの様なマッドサイエンティストになってしまっているのはどうなのかな?元夫は確かにクズたけど。
ややツッコミたい所も感じるが、いずれにしても評価せざるを得ないという出来だったと思う。
エマ・ストーンの覚悟
世界をもっと知りたい。良識なんてクソくらえって感じ
人造人間ベラのヨーロッパSEX漫遊記
結論から先に言うと凄まじい傑作、封切り間近だからと去年の東京国際映画祭でスルーしたことを激しく後悔しました。まあこんなほぼ直訳の邦題はオシャレではあるんですが映画の内容自体は判らないので私ならこう名付けます。
“人造人間ベラのヨーロッパSEX漫遊記”
直接説明はないですが舞台は19世紀のヨーロッパ・・・ですが世界史の教科書で見覚えのあるそれかと思いきやヨルゴス・ランティモスが描いてみせるのは『ブレードランナー』みたいなスチームパンクなマシンが日常に溶け込んでいる全然デタラメで美しい世界。この辺りは18世紀を舞台にしながら風景にもサントラにも違和感が滲んでいた『女王陛下のお気に入り』からさらにシュールさに磨きがかかった感じ。お話を書くと野暮にも程があるので似たような作品で喩えると、序盤は『フランケンシュタイン』、中盤は『エマニエル夫人』、終盤は『ファントム・スレッド』もしくは『バービー』という感じ。とにかく執拗に繰り返される性描写が赤裸々にも程があってしかも無修正、まさかエマ・ストーンがシルビア・クリステルを軽々と超えてくるとは誰も期待していなかったことでしょう。というかこれがそのままスクリーンで上映出来るならモザイクとかボカシとかもう要らんってことですよ。そこだけ切り取っても画期的。ホンマ『ブギーナイツ』とか『ぼくのエリ』とかも無修正でスクリーン上映して欲しいです。
『女王陛下の〜』は登場人物の誰にも感情移入出来ない物語で魑魅魍魎達の七転八倒を半笑いで眺めるようなトラジコメディとなっていましたが、こちらは奔放極まりないベラの快進撃がとにかく痛快で最初から最後まで楽しくてしょうがないです。ほとんど全てのカットが斬新かつ美しいですが、特に印象的だったのがベラが訪れたリスボンの街角で弾き語りで歌われるファドに心を奪われるシーン。Carminhoが歌う“O Quarto”(部屋)という曲ですがその歌詞がベラの境遇と共振する様が物語のフックとなっています。
美しくも無知なベラを誘惑したはずが壮絶な速さで世界を理解していくベラに翻弄されて身を持ち崩していく胡散臭い弁護士ダンカンを演じるマーク・ラファロが開陳するヘタレぶりも見事ですが、やはりベラの創造主たるゴッドことゴドウィン・バクスター博士を演じるウィレム・デフォーの存在感が圧巻。自らも父によって人体実験の限りを尽くされたボロボロの肉体を引きずりながらベラに惜しみなく愛を注ぐマッドサイエンティストという常軌を逸したキャラクターを演じられるのは確かにこの人しかいないでしょう。
予告を見た瞬間にこりゃ『フランケンシュタイン』オマージュだなと思ったのでちょうど再上映中のヴィクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』を先に観ておいたのですがこれは大正解。村にやってきた映画『フランケンシュタイン』を観て怪物に魅せられた少女アナが無邪気な遊びを繰り返した末に自分を閉じ込めている見えない壁にぶつかり父と対峙する物語が見事にシンクロしていました。
色々楽しい作品ですがR18+なのでどエゲツナイものがバンバン映り込んでいますし、ベースにあるのが痛烈な社会風刺ですのでそんなワサビが苦手な人は近づかない方がいいかとは思います。
天才の目を通してみた世界の鮮やかさと残酷さ。
前情報無しで鑑賞。天才の目を通してみた世界がこんなふうなのだと感心しました。
最前半の黒澤「赤ひげ」を思わせるモノクロから一転して、ロンドン、リスボン、アレクサンドリア、パリ、青い海の圧倒的な色彩が印象的でした。
ウィレム・デフォーの抑えながらも狂った演技は彼の華やかな芸歴の中でもピカ一(前情報無しだったのでアカデミー賞当確かと思っていたら候補にもなってませんでした笑)。エマ・ストーンの演技はうますぎて鼻につく。好き嫌いが分かれる感想です。
2時間超で長いですが、退屈なく観ることができました。様々な男たちのセックスプレイシーンも新鮮で、様子がよく分かり良かったです。
ラストのラストシーンは蛇足。ちなみに、特殊な環境から医者を目指す女性としてシーボルトの娘楠本いねさんを思い出しました。原作者は彼女知ってるのかなあ?シーボルトは若い頃やんちゃで、顔面が傷だらけだったというのは余分な知識ですね。
良い映画でした。
(一回運営様にレビューが消されて2回目のレビューです)
鑑賞動機:ランティモス8割、あらすじ2割
「まーた、変な映画撮って」と書いてみたものの、原作あるし、脚本はまかせてるから、隅々までランティモス印というわけではないのだろうけど。
動物が最初に出てくるところで、危うく自然すぎてスルーしそうになった。馬車かと思ったら…
私が知っている過去とは微妙に違う世界だと思うのだけれど、ベラという異分子に接した周囲が変わったり変わらなかったり、あるいはベラ自身の変化が見どころなのかな、と。最初は無知/無垢故にだけど最後は…みたいな対比もあるのかな、とかね。パリのパートは、最近観た『ラ・メゾン』と捉え方の違いを考えるのもした。
本を海に放り込むのに、次々代わりを出してくるとこ好き。逆にラストはあまり好きじゃない。ランティモスは一筋縄にはいかない。
とても退屈なキノピオ
意見をはっきり言える女性かっこいい。 それで人を傷つけることがあっ...
あまり多くを語ってしまうのももったいないのでとりあえず一言 一切の...
あまり多くを語ってしまうのももったいないのでとりあえず一言
一切の予備知識無しで観に行って後悔しない作品です。
SEED、鬼滅、ゴールデンカムイ、といった強力な同時期上映作に劣らぬ名作ですので是非時間があればこちらも。
楽に観られメッセージも伝わってくる
ファンタジー物はあまり好みではないけれど、これは素敵な映画だと思った。
メッセージは伝わってくる。
曖昧にせず、勇気を持ってありのままの現実をしっかり見よう。そして、心の広さ、強さを持とう、と。
あまりキレイとは言えない性描写は、現実を見ようという立場においては、欠くことができない。このような赤裸々な描写をしてくれていることを有り難くも思う。
セックスは、良かれ悪かれ人間の大きな現実的要素の一つ。真剣に生きるのなら大きなテーマなのだから。
様々な苦労を経たベラは、清々しく美しく、自信に満ちてカッコいい。同じ女として惹かれる。最後は気持ち良く終わり、元気がもらえる。
部屋や街などの背景も可愛く、冒険ゲームのようなノリも楽しい。癒やし要素があり、台詞もわかりやすい。重くなりがちな内容だけれど、楽に観られる魅力があった。
ベラ・バクスターの知(痴)的な大冒険
通常スクリーンで鑑賞(字幕)。
独創的な世界観でした。混乱と感動で感想が素直にまとまりません。こんな映画体験初めて。何から書けば良いのやら…
好き嫌いが分かれそうな独創的な世界観に夢中になっている内に、142分があっと云う間に過ぎてしまいました。
エマ・ストーンの演技がすごい。世界を知ったベラの成長を演じ切った演技の引き出しの多さに敬服しっぱなし。
ウィレム・デフォーの怪人的存在感も圧倒的だし、マーク・ラファロの狂愛も哀れで滑稽で仕方ありませんでした。
自由を求めて好奇心いっぱいに知(痴)的な冒険を繰り広げるベラと共に、世界に溢れる自由と束縛を考えさせられる。
自身の解放をコミカル且つセクシャルに謳い上げる手法は実験的であり、興味深い描写に満ちていて魅せられました。
ヨルゴス・ランティモス監督の作品は後味が悪いイメージしかなく、実際そう云う結末が多いですが本作は終始、陽性。
観ていて楽しく痛快で、最高の映画体験でした。
まさかのR指定
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