哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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一人の女性の冒険譚、成長譚としてシンプルに観た方が良さそう
19世紀末のヨーロッパなどを舞台にした冒険譚、成長譚である。こういった話の場合、主人公がなるべく無垢で無知な方が面白くなる。この映画では主人公ベラの設定に驚くべき仕掛けを持ち込み成長前と成長後の姿に最大の幅をもたせた。
もちろん彼女の冒険と絡めて昔も今も変わらない男性主体の社会への批判がされていることは読み取れる。でもこの映画で一番楽しいのは、ベラが家を離れ初めて立ち寄ったリスボンの場面。SFチックな乗り物が行き来し光と色が炸裂する魅力的な街並み。ベラとダンカンの奇妙ででも活力あふれるダンス。これはおそらく、ベラの視点で見た世界を表現しているのだろうが驚きと喜びに溢れた素晴らしいシーン群です。
その後、パリ、ロンドンと、ベラが成長していくにつれて、批判性は高まり幸福感は薄れていく。世界の実態を知り改善する意欲を持つというのは現実と折り合いをつけるということだからプリミティブな生命力の輝きは失われていくということなのかな。
気づいたこと。ゴッドウィン・バクスターはベラを救命し作り変えた人で、ベラからはゴッドと呼ばれ慕われているのだけど、一から彼女を創造したわけでもなく彼自身の命にも限りがある。つまり本当の神ではない。一方、この映画ではチャプター毎に魚眼レンズで撮影した不思議なシーンが挟み込まれる。私の考えではあれが神の視点ではないか。例えば足を撃たれた将軍を皆で引きずっているという何気ないシーンばかりなのだが、神はそういった平明な日常もちゃんと見ているっていうことではないか。なぜ神の視点を挟み込んでいるかはきちんと説明できないがなんとなくこの映画では必要な感じがしないではない。
そしてエマ・ストーン。アカデミー賞などは正直どうでも良いが、この複雑な構成の長丁場の映画にほとんど出ずっぱりであのテンションの演技を続ける集中力と体力。凄まじいものである。
ひゃっほぅい。
私はドンピシャ。大好きな漫画の世界だったから。
だってピノコだし。愉快痛快ききかいかいの怪物くんの歌が終始頭の中をリフレイン。
絵も作り込まれていてすごく綺麗。
哀れなるもの、それは男。
いろんなものに囚われて可哀想。
女の方が柔軟だよ。そうじゃなければやってこれなかったんだろうけど。
今の時代男性が中世的な感じになってるのは柔軟性を要求されるから?
そして熱烈ジャンプはスポーツ。
だから娼婦をやることに罪悪感なんてない。
いろんな相手が来ちゃうのは困るけど。
まぁお勉強。好奇心のが勝つ。(笑)
でもね、愛を知ったら全く意味が違ってくるんだけど、そこまで描くのは原作と違っちゃうし、まとめるのは難しくなるからここまでなのかな?その方がアカデミーっぽいけどね。
最後元旦那にゴッドの脳を移植するんだと思ったけど、やはりいろいろ揉め事とか起こりそうだからやめといたのかな。
↑
ベラに恋心起こすとか。
相変わらず日本人俳優に変換される私の脳は市川実日子とエンケンでした。
断トツの優しさ
ヨルゴス・ランティモスの作品の中で断トツ優しくてびっくりした。
今までは箱で囲った世界を観察していたのが、パカっと被せていた箱を持ち上げて
うわぁ〜っと自由に広がっていくような気持ちよさ。
最後が後味いいなんてびっくり。だがこれもまた良し。(多分普通の感覚だと激しい終わり方だけど、過去作との比較だと優しい!ってなるよね?)
エンディングの映像がまた気持ちいいの。
ほんとに大好き。映画観るために生きててよかった。
スクリーンを出たあと、地面に膝ついてガッツポーズしたかったし、周りの人によかったですね!面白かったですね!って話かけたくなった。不審者になるのでやらなかったけど。
フランケンシュタイン女版とゆう感じだけど
基本的にフランケンシュタイン側にしか感情移入できない人間としては、この映画の空間は
空気が美味しく、温度もちょうど良く、湿度も最高な空間でまったりしているような気持ち良さがあった。
ほんとに変な映画で最高。
マーク・ラファロの演技が良すぎて大好きになっちゃった。髪むしりながらキレてることで思わず声出して笑っちゃった。それに対してのベラの返事が「国に帰りなさい」なのも爆笑。
ヨルゴス・ランティモスの映画はシリアスに見えてこうゆう瞬間風速的な笑いどころあるのもすき。
女王陛下に引き続き最高なダンスシーンもあったな。
この作品を見る前にフランケンシュタイン(1931)とミツバチのささやき観ててよかった。
生まれ変わるものたち
ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。他、多数。
先日発表されたアカデミー賞ノミネートでも11部門。
奇才ヨルゴス・ランティモスが『女王陛下のお気に入り』で組んだエマ・ストーンを今度は主演に迎えて。
そう、ランティモス作品。一筋縄ではいかないのは見る前から想像付く。
今回もまた。概要はズバリ、女版“フランケンシュタインの怪物”。
作風もビジュアルも期待通りの。つまりそれは、好きな人には好きでダメな人には全く。今回もはっきり分かるだろう。
確かにまたまた異色作だが、描かれている事自体は意外やシンプル。これまでのような難解さナシ。
元々『フランケンシュタイン』が好きな事もあり興味も惹かれ、ランティモス監督作の中ではお気に入りになった。
ダーク・ファンタジーでもあり寓話でもある。
入水自殺した若い女性、ベラ。
マッド・サイエンティスト、ゴドウィンによって蘇生。命を絶った時身籠っていた胎児の脳を移植されて…。
ゴドウィンの屋敷には頭と身体は元々別の繋ぎ合わされた珍妙な動物たちが…。衝撃とキワモノ感しかしないが、不思議と我々はベラと一緒になって、ベラが知っていく感情や世界や冒険や成長を体験していく。
蘇生したばかりのベラ。胎児の脳を移植されたので、日本で超人気の名探偵の逆バージョン。
言葉も喋れない。おぼつかない足取り。排泄も一人では出来ない。感情を伝えるには赤子のように声を上げるだけ。
食欲はある。好き嫌いはあるようだが、“食べる”という欲は人間が生まれながらに持つ本能。
次第に人間らしく。人間らしくというのもアレだが、言葉も喋れるようになり、喜怒哀楽もはっきりと。でもこの喜怒哀楽もその意味への理解はまだで、ただその時の感情を表す手段として。例えば、馬車から降りて外に出たいのにダメと言われ、子供のように泣き喚く。
少々、残酷さもあり。小動物を殺す。他への興味も人間の本能。
食べる。寝る。そしてベラはまた一つ新たに見つけた。
感じる。
感受性…ではなく、性欲。一度死んだ身体にも伝わる気持ち良さ。
その先に種の存続もあるが、性欲だって恥じらう事ない人間本来の本能。そうやって私たち人間は遥か昔から存続してきた。
ゴドウィンを“父/ゴッド”とし、助手マックスと婚約し、ベラは屋敷という鳥籠の中で、ツギハギだらけの小鳥として生きていく筈だったが、思わぬ急変。
放蕩の弁護士ダンカンと出会い、彼に誘われるまま、駆け落ち。
世界を見、自分探しの旅へ。
ここから白黒からカラーへ。映像の切り替わりもただ単に過去/現在ではなく、外の世界や自由や広がりもあるようだ。
どうやらダンカンの狙いはただの性欲満たしなだけのようで。
ヤリまくり、ヤリまくり、ヤリまくり…。
エマ・ストーンが初とも言えるフルヌード&激しい濡れ場。喘ぎ声に悶絶。18禁も頷ける。
が、ただのエロ映画ではない。旅の最初の地、リスボン。
ここでベラが知ったのは…
外の世界の美しさ。この後他にも世界の街に赴くが、ベラが初めて見た外の世界という事でその美しさは出色。リアルというより、不思議の国に迷い込んだアリスのようなファンタスティックさ。
映像、美術、エマが着こなす衣装…ビジュアルは秀逸。
街中で聞いた歌声。それに魅了される。
物事の認識、話の受け答えなど徐々にはっきりと。ディナーの席でまだまだマナーはなっていないが、何だか痛快でもあった。
ダンスも踊る。身体を駆け巡るこの躍動。
豪華客船にて。
老婦人と哲学者と出会う。
二人との会話の中で…。
見る/知るだけじゃなく、学ぶ/考える。
二人とのやり取りもなかなかのもの。皮肉屋の哲学者とも。
別れ際の言葉は皮肉屋のこの哲学者を感心させるほど。
赤子のようだった頃とは大変な違い。学び、成長していくも人間の欲する本能だ。
パリ。
この頃、ダンカンとの仲は険悪。
ダンカンは金を無くし、言動も荒れ、ベラに当たる。
ここでベラは驚きの行動。ダンカンに見切りを付け、一人で旅を続けるという。
今までは誰かがいて、従ってきた。もう必要ない。一人で出来る。その機会、挑戦。
決断するという事を知る。
自立するという事を知る。
まあその方法が、若い女性ならばのアレだが、自由や解放、お金を稼ぐ、一人で生きるという事を知る。
その“館”で、他の女たちとも交流を育む。
帰ってきたベラ。
ゴドウィンは病が…。マックスと結婚を。
『フランケンシュタイン』な話で、ハッピーエンド…?
その時、“意義を唱える者”。
元夫だという。ベラ…元の名前はヴィクトリア。死ぬ前結婚していた正真正銘の元夫だった。
ちなみにこれは執念深いダンカンの差し金。
ベラは一旦結婚を中止し、元夫の元へ。
人は時に、過去と向き合わなければならない。
自分に何があったのか。
それを乗り越えずして、新たな幸せは手に入れられない。
すぐ分かる元夫の本性。軍人で、暴力的で支配的。
逃げたって捕まる。逃れるには、もう命を絶つしかない。
それが私の終わりであり、始まり。
以前の私はか弱く、無理だったのだろう。
しかし、今は違う。見て、知って、感じて、学んで、考え、広めて、決断して、自立して、臆する事なく向き合って。
私はもうか弱いヴィクトリアじゃない。
ベラだ!
140分強、エマ・ストーン劇場。
大胆シーンも含め、キワモノ的難しい役所を見事に。
赤子のような序盤から自我と自立した女性を、もうただただ圧巻…!
さあ、2度目のオスカーなるか…!? 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』リリー・グラッドストーンと一騎討ち状態だが、果たして…?
助演陣もインパクト。見る前はウィレム・デフォーがサイコで、マーク・ラファロがサポート役と思ったが、その逆。デフォーは常人離れも含みつつ、生みの親/父としての眼差し。ラファロの愚かさぶりもさすがの巧さ。
一番我々寄りのラミー・ユセフも好助演。
憎々しい元夫。コイツの最後の姿は本作一番の笑い所だった。
下手すりゃヤベー作品になりそうなものを、唯一無二の世界観と演出で陶酔すらさせられる作品へと昇華させたランティモスの手腕。
賛否両論は必至。もうこれもこの奇才の醍醐味だ。
“哀れなるものたち”とは死から蘇生したベラの事と思っていたが、ただそれだけじゃない。
“ものたち”。ベラ以上に、愚かで哀れな周り。
またはその世界。ベラは旅先で、ある惨たらしく悲しい様を見る。
人生を謳歌する者もいれば、その下の下で、這いずり回る者、苦しむ者、夢も希望も自由もない者…。
歪んだ世界、不条理な世界。
これが求めた自由な世界の本当の姿なのか…?
いや、違う。だったらそこから何かをする。動く。変える。
フェミニズム、差別偏見、格差、多様性…。
私自身も世界も、新たな命を持って生まれ変わる事が出来る。
ラストシーンも人によってはハッピーエンドでもあり、衝撃でもあるが、私個人まさかランティモス作品でこんなにもポジティブにさせられるとは…!
エマ・ストーンの怪演は◎だがタイトルの解釈が自信ない
前半は見事なセット、エマ・ストーンの迫力の沼にハマって上がる期待値…のはずが、途中から冗長な印象。
娼婦宿の展開は面白いが、R18画像はしつこい。
これらの男どもも哀れの一群を伝えるためなら長すぎたし、船旅は男が可哀想すぎる(笑)
急速な成長で自我に目覚め、縛られることを一貫して拒否したエマが周りの男共に投げかける感情がタイトルで良いのかが?でした。
少し長いし、周りが屈折し過ぎとも思うがエマの怪演が突き抜けているので十分見応えある。
ただ最後犬にする必要あったのか?そこに男の感情は無いわけなので単なる報復みたいに見えて
不気味だけど綺麗な映像とエマ・ストーン
女性版のフランケンシュタインという感じのお話でした。エマ・ストーン演じる主人公ベラ・バクスターは、外科医であるゴドウィン・バクスターの手で胎児の脳の移植を受けて”生まれ変わり”、そのままゴドウィンに育てられる訳ですが、ゴドウィン自身も父親から様々な人体実験を受けていて見た目はまさにフランケンシュタイン。そんなゴドウィン=フランケンシュタインが生み出したのがベラなので、まさに女性版フランケンシュタインでした。
メアリー・シェリーの小説に出て来るフランケンシュタイン同様、ベラが色々なことを学ぶことで名実ともに大人になっていく成長物語と言えば聞こえはいいですが、中盤からベラが放蕩者の弁護士であるダンカンとともに家を出て海外を旅するようになり、さらには生活の糧を得るために娼婦になるに至ってはセックスシーンの連続で、R18+指定もむべなるかなという展開に。ただ胎児から母体への脳移植というショッキングな前提だけでなく、ゴドウィンらによる解剖シーンも多々出て来るので、セクシーというよりうすら寒い不気味さを絶えず感じる作品でした。
ベラが娼婦になることを通じて社会性を身に着け、自我を形成していくというストーリーは(勿論ベラの成長過程には、貧しい者に対する慈愛を育む場面があるなど、他の要素も多々ありましたが)、個人的にあまりピンと来ませんでした。ただ19世紀っぽい雰囲気の中にもSFチックで幻想的な雰囲気の映像は非常に素晴らしく、また緩急を付けた音楽もストーリーや映像にピッタリとマッチしていました。
勿論女性版フランケンシュタインを演じたエマ・ストーンの演技は素晴らしく、表面的に狂気じみていた前半から、様々な経験を通じて知性を身に着け、内面的な美しさを得て行くベラの成長を、実に上手く演じていたと思います。
そんな訳で、今年のアカデミー賞でも有力候補である本作の評価は、★4.5とします。
ピカソの絵画
哲学的にも超大作なんだろうと思います。
宗教画の様な背景や白黒で表現された過去の映像、カラーの現代そして未来を表すかのような客船や街並み。
無理やり解釈すれば、男と女の営みなんか大した問題じゃない。
世界はそんなちっぽけな事だけで動いている訳では無い?
所々でギャグを交えて表現されていると思うのですが、考える事が多すぎて笑う暇が有りませんでした。
観終わった後から色々考えさせられる深い深い作品だと思いました。
不協和音
よくこの役をエマ・ストーンが受けたなあ、が第一印象
嫌悪感を抱かせる性的な描写の連続と効果的な不協和音
事前知識まったくないまま、何も知らずに鑑賞してしまったが、ある程度覚悟してから鑑賞すべきだった
尚、エンドロールが世界一読みづらい映画でした(笑)
Have you ever been outside?
見る側を試す映画
字幕版を鑑賞。1992 年に英国で発表された小説が原作の映画で、2023 年ヴェネツィア国際映画祭最高賞の金獅子賞、2024 年ゴールデングローブ賞の作品賞と主演女優賞など、数多くの受賞で話題となり、アカデミー賞でも3部門でノミネートされた。映画の話題に乗り遅れまいとして原作小説の日本語翻訳本が 2023 年に発売されるという珍しい経過を辿っている。原作は未読である。見た側が試されるような内容を持っている。
世を儚んで川に身を投げた臨月の妊婦の遺体が天才外科医によって拾われ、母親の身体に胎児の脳を移植して蘇らせるという離れ技によって、成人女性に幼児の頭脳を持たせた新たな生命体が誕生したことが話の発端である。脳移植は未だに実現の目処が立っていない医療技術であり、他の臓器に比べて繋がなければならない血管の数などが桁違いであり、一部でも血液の流通が滞ると数分で酸欠死を起こしてしまう。また、移植が成功して蘇ったと仮定して、それは脳の持ち主の人格と見るのか、身体の持ち主の人格と見るのかなど、法律的にも越えるべき大きな問題がある。
脳移植を扱った映画には、「ゲット・アウト」という傑作ホラーもあったが、いずれもフランケンシュタイン級のゲテモノ話になるのが避けられない。本作も決してその流れから逃れることはできていないが、物語の切り口が斬新で、ただのエログロに堕するのを辛うじて避けていた。R18+ というのは、簡単にいうと「成人映画」という意味であり、ボカシのない局部が映っていたりするが、必ずしも嬉しい見せ物ではなかった。
成人女性の体に幼児の脳を入れたために、様々な異様なシーンが続出する。一見すれば狂人に見えてしまうのは、その幼児脳が社会性といったものを一切持ち合わせていないためであろう。モラルがないということは社会的な束縛から逃れられるという意味なのだろうが、それは褒められた自由ではなく、世の中の狡猾な男性の搾取を受けてしまうことにもなりかねない。苦界に身を落とすのに躊躇いがないといったところも、ある意味自由な発想なのだろうが、人間の尊厳という価値観を持たないだけの幼稚さでしかないようにも見える。経済的な価値観の欠如も甚だしく、可哀想な子供に他人の金で施しをするなどというのは滑稽の極みである。
幼児脳の成長は著しく速く、哲学書を読んで難易度の高い用語を駆使して話せるようになるような描写もあるが、本で読んだことが身に付くのは、実体験が価値観のベースにあるからであって、文字情報だけで思想が形成できるというのは、まず絶対にありえない描写であった。こうした現実的でない細々としたことが気になって物語の世界に入り込むのが邪魔された。
一見よく出来た女性解放の話のように見えるが、出来の悪い SF ホラーのようにも見えた。「ゴジラ -1.0」や「ゴールデンカムイ」のように素直に他人に薦めたくなる映画とは同列には語れない映画である。「パラサイト」に最優秀作品賞を与えるような昨今のアカデミー賞のトレンドは、私には全く気に入らないのだが、そういう連中には評価が高そうだというのは察せられた。
音楽は冒頭からチューニングができていない弦楽器の演奏が流れて来て、非常に腹が立った。映画のシーンをなぞるように不快な曲が続き、本当に何度も途中で帰ろうかと思ったほどである。幼児から次第に自己を作り上げていく女性を演じたエマ・ストーンは、プロデュースも兼ねるほど本気で仕事をしていて、その能力は高く評価されるだろうが、初めの頃の野獣のような粗暴な振る舞いは、47 丁を彷彿とさせて不快極まった。他人に薦めたくなるような映画ではない。
(映像4+脚本3+役者5+音楽0+演出2)×4= 56 点。
スチームパンクとゴシックと成長譚
プロデューサーもやったエマ・ストーンは意志あって臨んだ通り圧倒された。世界は更新されるのだという強いメッセージを感じた
でも趣味が悪いよね… 鶏犬とか個人的に嫌悪感しかない… フレブルとガチョウの組み合わせって スチームパンクの世界観が好きな人はとても楽しく見れると思う。作り込んだ映像セットは芸術的で、音楽も脳内を揺さぶってくる旋律。映画を観たなーって感じた。
これはホラー?奇想天外過ぎて
フランケンシュタイン博士?アヒル犬?ブタ鳥?
いったい何を見せられているのか???
戸惑いがしばらく続いたモノクロ映像。
どうやら思っていたモノとは違うらしい。
そのうちR18所以の映像のオンパレードに転じたあたりから様相が変わっていく。エマ・ストーンの文字どおりの体当たり演技だが不思議と全くセクシーではない。キテレツ過ぎて色気どころではない。
終盤にはシリアスな展開が待っているのかと思ったが
〆がヤギ人間ではコメディホラーと認定せざるを得ない。私的にエマ・ストーンファンだっただけに複雑な気持ちで映画館を後にした。
気晴らしにゴルフの打ちっぱなし🏌️♀️へ直行⛳️
アカデミーノミネート作品の奇々怪界は今年も続くのでしょうか?😭
08
文句なし!エマ・ストーンの演技からこの作品で伝えたい思いが伝わる。
予告編から楽しみにしていた本作品だが、文句なしこの作品のメッセージが
伝わった。
本作品はとにかくエマ・ストーンの演技が素晴らしかった。何より演技から
強い意志がスクリーンから伝わった。
ヨルゴス・ランデイモス監督作品は女王陛下のお気に入りに続き2作目だが
独創性は監督らしいし、今回はしっかり本作品で伝えたいことがはっきりしていた。
意外と考えさせられる内容。学ぶことによって成長する。唸らされた。脱帽。
ちょっと性描写がきついなと思う場面もあるが、これを吹き飛ばすエマ・ストーンの
怪演に脱帽。
2024年ベスト作品候補にあげたい作品。おすすめします。
タイトルなし
大賞を取ったりするタイプの映画だとは思わないけど(魂が震えたりはしない)、ユニークで、しかもドクターと彼女の愛情、夫との愛情が感じられて良かった。音楽が圧倒的によく、合成動物のビジュアルはすごいし、船の上での空など素晴らしかった。もちろん、エマ・ ストーンの演技は素晴らしい。隠れたテーマは、男性のジェンダー支配への批判であり、彼女の父は科学者で、科学的精神で現実に向き合うこと以外、一切、通俗的道徳で娘を縛らないので、女性ジェンダー規範も入りようがない。彼女にとって人生は欲望と実験と冒険の場である。彼女の好奇心も科学的なハビトゥスだし、ドクターは、何より彼女をその点で育てたと言える。
とはいえ、不幸な赤ん坊に感情移入する倫理感がいきなり出てきているのは不自然か。
しかし性的欲望は知的な問いへと昇華されていく。彼女の成長派この意味で見事。
何とも不思議な映画でした。
18禁って事で「暴力シーンでも有るのかな?」って思ってたら、エマ・ストーンが思いっ切りの18禁してました。
エマ・ストーンの演技力の高さは言うまでもないけど、奇妙な世界を奇妙と感じさせずに奇妙に描くのは凄い事ですね。日本語になってないけど、まさにそう言った映画でした。
初日の初回上映で見たけど平日とは言え、お客さんは少なかったです。この手の映画は今の日本じゃ流行らないですね。
独特の世界観は非日常の映画館で見るべき作品です。
エログロファンタジーコメディ
とりあえずエマ・ストーン
アカデミー賞最有力
何故18禁
ということで先行上映にて鑑賞
予想よりはるかにエログロで中盤までに飽きてきてしまいましたが、そこからいい感じの展開になってラストは爽快に終わります(ホラーコメディ?)
結果的に観て良かったのですが、140分は長いです。エロは半分くらいで充分かと。
女性の解放とか成長とか難しいレビューを見かけるのですが、もっと単純に楽しめる作品だと思います。エマ・ストーンの怪演を見るだけでも。
映像について)
ディズニー映画にありそうな感じがしました。
舞浜のイクスピアリの街みたいな(笑)
ハチャメチャ幸福論
今まで読んだ、聴いた、脳内で生成した、どんな幸福論よりも
素晴らしくて愉快で説得力に溢れた幸福論でした♪
役者達の素晴らしい演技
映像も夢見る💭ように美しく
音楽🎵も歪んだ音が効果的で
まっすぐ生きる大切さを心底感じる瞬間をスクリーンから何度も心地よく浴びせられ、洗心されて至福の時🫶
今、映画を観終わってトイレに座り込みながら素直に幸福だと感じ取ることが出来た
これが凄いことだわさ
タイトルの「プアーシングス」
翻訳すれば 「可哀想に」
こりゃ大した映画だわ
大好きちゃむ この映画(笑)
蘇生
自我に目覚め、異性を認識し、冒険を選び、ダンスを覚え、哲学に関心を寄せ、社会の歪んだ部分にも気付き、別れを経験し…と、一人の人間の成長を奇抜な設定で見せられました。
主人公は、哀れな?愚かな?男たちに囲まれながらも、「自由の道を描ける女」に成長していき、痛快な結末を迎えるに至りました。
これは幸運なことのように見えました。その点は男女の差はないような気がします。
この作品のおかげで、自分が選んだ道を歩くことの大事さ、歩けることの幸せを、生まれ変わるというステップを踏まずに気付かせてもらえました。
すっごい悪趣味な世界観と変態的な情操教育なので、子どもには見せられません!
2024.1.26 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のイギリス映画(142分、R18+)
原作はアラスター・グレイの小説『Poor Things(1992年)』
ある実験にて幼児化した女性の成長を描くヒューマンドラマ
監督はヨルゴス・ランティモス
脚本はトニー・マクマナラ
原題は『Poor Things』で「かわいそうなものたち」と言う意味
物語の舞台は、イギリスのロンドン
ある橋から身投げした女性(エマ・ストーン)は、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)に助けられ、ある実験対象となった
それは身籠っていた胎児の脳を移植すると言うもので、それによって女性は「脳は幼児、身体は大人」と言う個体として復活する
ゴッドウィンは彼女にベラと言う名前をつけて、助手のプリム夫人(ビッキー・ペッパーダイン)とともに、彼女の成長を促していくことになった
ゴッドウィンは医学生のマックス・マッキャンドルズ(ラミー・ユセフ)をベラの記録係に指名し、彼は真面目にベラの生育状態を克明に記録していく
ベラはマックスを気に入り、ゴッドウィンは二人を結婚させようと考えていた
その結婚契約書をの作成を頼まれた弁護士のダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファエロ)は、この契約で結婚しようとするベラと言う女性に興味を示す
彼はベラにこの契約は不当で、もっと世界のことを知るべきだと諭す
ベラはその考えに感化され、ゴッドウィンに結婚前にダンカンとともに冒険をしてくると言って一緒に行ってしまうのである
物語は、ダンカンとの冒険を描く中で、彼女が精神的に成長し、世界を知ると言う内容になっていた
自分が恵まれた状況であると知り、男女の仲で育まれる性的な欲求を堪能し、最終的には娼館にて働いて、自立していくことになる
その行く先々で色んな人物の価値観にふれていく中で、ベラの人格が形成されていくのだが、人間が大人になるために必要な要素をぶち込みまくっていると言う印象を受けた
性的な探究心では、多くの性癖を持つ変態が登場しまくり、無修正に近い性交が描かれまくる
文字通り「まくる」と言う感じで、合計10回以上のセックスシーンがあったりする
ノーマルな体位変換から、性教育を施す子どもと親と言うものまで登場し、それによって培われる人間哲学が正しいのかすらわからないと言う感じになっていた
登場する男性は基本的にバカで愚かと言う感じになっていて、女性の奉仕活動に多くの時間を割きつつも、学んでいくことはたいしたことがなかったりする
変態性の強い映画で、カップル&ファミリーだと地雷案件としか言いようがないので、誰かに紹介することは憚られる内容であると思う
ぶっちゃけ、「ちょっと長いわ」と思いながら観ていたが、それは着地点がはじめに提示されているものの、回り道ばかりしていく流れにイライラしてしまうからではないだろうか
いずれにせよ、監督が監督なのでヤバいんだろうなあと思っていたが、想像以上の変態映画で驚いてしまった
知的障害に見える幼少期、発達障害に見える青春期を迎えて、性的な衝動が落ち着くと思考的な欲求が育ってくる
このあたりからダンカンがただのわがまま幼児に見えてくるのもツボで、その先に人生を知るために娼館で働きながら、世の中の男性の変態性を学んでいくと言う流れはコメディ以外の何物でもないと思う
最終的に、経験豊富なベラを無条件で受け入れる王子が登場するのだが、抑圧よりも自由を選ぶところが今風ということなのかもしれません
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