哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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皆さんのおっしゃるとおり傑作
傑作かもしれません。美しい映像や怪演、アーティスティックな音楽や演出。考えさせられる色々な人間の過ちや課題。おしゃれですよね。でもなぜか私には成長における知的好奇心と動物的な性とのギャップが大きなテーマに見えて凡庸というか、古臭い?最後のシーンがマルコビッチの穴やら羊たちの沈黙過ぎて胸糞悪いし、震えていた無垢なヤギの立場は?って、冷めてしまいました。
哀れなるもの
「解決」のないプロット
冒頭、ベラが不器用にピアノの鍵盤を叩きまくる。そうして響き渡る不協和音、まさにそのイメージがこの映画全体の底流をなしているように感じられた。何も解決されず、何のモラル・メッセージも引き出され得ない。ただただ私たちが「綺麗事」の世の中を生きる中で抑圧している物事がド派手に散らかされたまま、幕が下ろされる。それは、「人間は獣」だから哲学的思考によって自己研鑽をできると考えるのは虚妄に過ぎないと断じた、船上の黒人の少年の悲観的な思想を裏付けるものであるようにも思われた。
人間には、理性的規律心に加え必然的に野獣的欲望が内在する。それが自己に属するものであれ他者に属するものであれ、欲望は理性により規律することができると信じていたダンカンとアルフィーはともに破滅した。他方でベラは、理性と欲望との両極性を素直に受け入れその都度の心の声に応じて選択を重ねた結果、成功を手に入れる。とはいえ、あの結末を見る限り、それが物語世界全体としての「ハッピーエンド」に適うものでないのも確かである。
モラルというのが理性の要請に応えるものである以上、欲望の根源的な不屈性を主題化した本作品からその種のメッセージを引き出せないのは当然でもある。人間存在は理性と欲望の葛藤の中で生きるものであり、それを綺麗に解決する手段を一律に提示することなどできない。しかし、我々が忌避すべきものとしてーあくまで否認の形式でー「哀れなるものたち」について語ることはできる。それは、まさにダンカンとアルフィーのように、自己のみならず他者の欲望の奔流をも理性の刃によって自在に断ち切ることができるという空想に固執することを意味するのだろう。
感想が分かりません
もう一歩かな
過去作と比べてもちょっと退屈でした。原作ありきなのでそうなっちゃったのかな?未読です。
ベラが成長していくのはいいけど、ベラの人となりや性格が全く分からず、ただ、ただスポンジのように素直に知識を吸収していくだけで、不思議と周りに人が集まってくるのが良く分からなかった。子供のように壊す事や泣き叫ぶ子供が嫌いだったのに、老女達との触れ合いや読書だけで急に劣悪な環境下で子供が死んでいくのにショックを受けるって、、、原作がそうなのでしょうか?
美術や世界観はとても面白いけど、ウェス•アンダーソンっぽいチープさを感じました。マーク•ラファロ、ウィレム•デフォーはとてもよかったし、エマの体当たり演技も役者魂を感じました。
キャストは超豪華だけど賞レースに絡むほどの作品ではないように思えました。
映像美
最近では珍しいズームイン・アウトや魚眼レンズも駆使した撮影に現実から少し離れた美しい街や家の美術、そして笑わないエマ・ストーンの冷たい美形。画面の美しさは特筆すべき。
筋としては、人造人間ベスのぼうけんを通してこちらの考えを耕してくれる。個人的にはバービーよりもこちらのほうがレベルがたかいとかんじた。
しかしラストのワンワンは見たくなかったし、焦点がボケる気がした。
エマ・ストーンでエロ映画が撮りたかった
何回観ても....難解かもねーん。
鑑賞後は『Poor Things』の意味が変わる
エンドロールでスクリーンに改めて表示される『Poor Things』。長いプロローグでは、ベラや「ゴッド」博士に改造されたクリーチャーのことだと思っていた。ところが、その思い込みが、異なるマインドに切り替わっている自分に驚くしかない。
「哀れなるものたち」とは、未成熟な十分に発達していないベラをグルーミングしてパトロン気取りでいるダンカン、ベラを従属物だと思っている男たち。『Poor Things』とは、こいつらのことなんだと気がつく。
「哀れなるものたち」の要素は自分にもある。それを自覚させられて愕然としながらも、アーティスティックなエンドロール映像の数々に引き込まれてしまう。
エマ・ストーンの怪演、モノクロパートの不気味さ、色使いが目に焼き付くような冒険パート。エンタメとメッセージを両立してしまうこの大傑作に拍手喝采でございます。
先週は、仕事のトラブルでチケットを無駄にしてしまったが、結果としてDolby Atomsで鑑賞できたから大正解。この作品は、音響がすごいの。
凄い設定、見た目は大人の幼女ベラ
予告編を観て、SFコメディかなと想像しながら着席。主役のベラが登場した途端、暴力、破壊、吐き出し、失尿などの行為。なんだコイツ、妖怪人間なのかよって違和感持ってたら、えっ!自殺した妊婦を受け取った科学者のゴッドが、まだ生きていた腹の中の子供の脳を母親に移植したって!本当天才だわ。でも、鶏ドッグってなんだよ?何のために作ってんだよ。移植してからちょっと経ってるだけ、だからベラは見た目は大人、精神は子供な訳だ。色々喋ってるのを聞いてると8歳位に思えたが、成長が早いって言ってたから、それ程時は経ってなかったんだろうな。
家に監禁されるのが嫌になったベラは、怪しげな男と旅に出る事にした。おいおい、それ騙されてるんじゃね?普通は許されないよな。でもゴッドには許してもらえた。それから始まる男女の肉体関係ラッシュ。ベラはパリに着いて仕事を始める。社会経験も無く学力もない女がお金を稼ぐにはこれしか無いのか?えっ、パリには普通に売○宿があんのか?それにしても、こんなにセックスシーンがあるなんてビックリしたわ。エマ・ストーンの裸、ガンガン。男達なんてチ○○プラプラ。こりゃ18以下は観られないわ。てか、自分が20歳位だったら、興奮し過ぎる程だったわ。
ずっとハラハラドキドキ、凄く楽しめました。
映像饗宴、成長への冒険旅と変革が織り成す常識の破壊
ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督によるファンタジーの映像が美しいです。豪華な衣装やセットも楽しめます。
科学者ゴドウィン・バクスター博士の幼少期における複雑な父親との関係が、主人公ベラへの愛情に反映されています。また、改革者である科学者自身の顔と体は、世間の目にどのように映っているかが皮肉混じりに描かれています。
ベラを中心に展開される男女関係は、従来の枠を打破し、逆転の魅力に満ちています。科学者と解剖医のスタート設定により、エロティックなシーンも知的に観られます。一方で、愛情を抱く婚約者との関係の表現仕方は計算高さが印象的です。
ベラの冒険旅で目にした奴隷層、貧富層の環境で生まれた赤ちゃんたちの世界観と、母親である年齢相応の富裕層の知的なマダム、そして娼婦たちを利用して生計を立てる老婆から学ぶ人生観。これらの要素がストーリーに組み込まれ、科学者である父親以外の視点からもベラの独特な世界観が形成されます。
成長の過程では未知への冒険心が欠かせない要素として描かれています。
素晴らしい映像体験
待ってました!のヨルゴス・ランティモス監督
前半、魚眼レンズでのぞき込むような映像が多く、映像に合わせたようなひずんだ音楽が印象的。
くすんだグレーがかった色味の硬質な画面も、ファンタジー味を強調してとても魅力的。(「ヒンターラント」をちょっと思い出した)なにより、ゴッドの作り出した?キメラ動物がうろつく屋敷が、ひゃー!待ってました!という感じなのである。
胎児の脳を移植されたベラがロボットのような動きや喋り方からだんだんこなれていく変化がすごい。
「ピグマリオン」かと思いきや、彼女を作り出したゴッドも実験体にされていたエグい生い立ちが赤裸々に語られ、2人はいわば分身なのだと分かる。
そして、下心弁護士にそそのかされ、大冒険に出るベラ。
旅の中で様々な価値観に出会い、成長するベラ。
心を獲得していくベラ。(どれもエグい描写だが)
しかし、彼女の本当の過去が追いかけてくる。DV夫に軟禁されてしまい…。
そして、当然といえば当然?この監督らしいキテレツなハッピーエンドがやってくる!
好きな人にはたまらん映画でした
雰囲気
隙のない完成度の高さ
前評判通り、難解かつエログロナンセンスなもので、思いっ切り観る人を選ぶ作品です。
無垢な主人公ベラがシュールな冒険を通じて一人の人間として成長し、自立して行く過程をやたら丁寧に描く、非常にシュールな映画でした。正に自分探しの旅。まぁ、探すにも他にやり方があるだろうと思いながらも納得するしかない自分がいました。
極端過ぎるものではあるけれども、女性の置かれた現状を敢えて歪んで表現することでリアルに描こうとしているように受け止めました。あらゆるものから自由になるのは難しい。
「時計仕掛けのオレンジ」が悪を描いているならば、本作は似た世界観で善を描いているような感想です。
無茶苦茶な世界観なのに彼女の成長がとても丁寧に描かれていて、やはり感銘を与える仕事は隙のないものなのだということを改めて思わされました。
とにかく映像表現が素晴らしいです。ベラの心の動きとリンクしてる。
受け取ったメッセージを一言で表現すれば、「本当の人生や本当の自分は、他人の価値観ではなく、自分の目で見て、自分で感じたものでなければ得られないものだ」ということでした。
最近、「かつての巨匠」が作る雑な映画が、その「雑さ」故にシュールに見えてうんざりすることが多かったのですが、本当の芸術は一瞬の才能の閃きによる奇跡か、積み重ねられた超人的緻密な努力かは分からないにせよ、隙のないものではなくてはならないのだと改めて思いました。
まだ結論は早いですが、近年ナンバーワンの作品です。面白いかと言われたら微妙ですが、とにかく圧倒されました。
生みの親を自分のように蘇生させなかったのは、ベラの優しさなのかな。
しかし、エマ・ストーン、こんな作品によく関わったよなぁ…。でも、この役に文字通り体当たりでぶつかった彼女に世界の矛盾と対峙する勇気を感じました。
アートな映画
感想をどう表現したら良いのか??奇妙でサイコなファンタジーなんだけど、嫌な感情は湧きませんでした。
鑑賞の途中からタイトルの哀れなるものが、登場人物のうち誰のことなのか考えていますが未だに答えが分かりません。私から見ると、狂気だけどハッピーな人達ばかり出てきます。翻弄されたり振り回されたり…でも哀れというより、自分に正直に生きてる人達です。
エマストーン演じるベラが成長する過程は、危なっかしいけど逞しい!ちゃんと子供から大人になっていくのが分かります。あのラ・ラ・ランドのキュートな女優さんと同一人物とは思えません。
あと、時代設定がよく分からないけど、建物や背景や小物まで美術館のような映画です。ストーリー抜きにして、それだけをよく見るためにもう一回見てもいいかなって思うくらいでした。
世界観が独特で好き嫌いは分かれそうだけど、私には良い映画でした。
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