哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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待ってました!のヨルゴス・ランティモス監督
前半、魚眼レンズでのぞき込むような映像が多く、映像に合わせたようなひずんだ音楽が印象的。
くすんだグレーがかった色味の硬質な画面も、ファンタジー味を強調してとても魅力的。(「ヒンターラント」をちょっと思い出した)なにより、ゴッドの作り出した?キメラ動物がうろつく屋敷が、ひゃー!待ってました!という感じなのである。
胎児の脳を移植されたベラがロボットのような動きや喋り方からだんだんこなれていく変化がすごい。
「ピグマリオン」かと思いきや、彼女を作り出したゴッドも実験体にされていたエグい生い立ちが赤裸々に語られ、2人はいわば分身なのだと分かる。
そして、下心弁護士にそそのかされ、大冒険に出るベラ。
旅の中で様々な価値観に出会い、成長するベラ。
心を獲得していくベラ。(どれもエグい描写だが)
しかし、彼女の本当の過去が追いかけてくる。DV夫に軟禁されてしまい…。
そして、当然といえば当然?この監督らしいキテレツなハッピーエンドがやってくる!
好きな人にはたまらん映画でした
雰囲気
新宿ピカデリーで鑑賞。
すでに上映回少なめ、夜の回でしたがまあまあ入ってました。
美術、衣装、音楽、エマストーンが秀逸
原作未読
お話は飲み込みづらい
早稲田松竹でアステロイドシティと二本立て見たらいいと思います
隙のない完成度の高さ
前評判通り、難解かつエログロナンセンスなもので、思いっ切り観る人を選ぶ作品です。
無垢な主人公ベラがシュールな冒険を通じて一人の人間として成長し、自立して行く過程をやたら丁寧に描く、非常にシュールな映画でした。正に自分探しの旅。まぁ、探すにも他にやり方があるだろうと思いながらも納得するしかない自分がいました。
極端過ぎるものではあるけれども、女性の置かれた現状を敢えて歪んで表現することでリアルに描こうとしているように受け止めました。あらゆるものから自由になるのは難しい。
「時計仕掛けのオレンジ」が悪を描いているならば、本作は似た世界観で善を描いているような感想です。
無茶苦茶な世界観なのに彼女の成長がとても丁寧に描かれていて、やはり感銘を与える仕事は隙のないものなのだということを改めて思わされました。
とにかく映像表現が素晴らしいです。ベラの心の動きとリンクしてる。
受け取ったメッセージを一言で表現すれば、「本当の人生や本当の自分は、他人の価値観ではなく、自分の目で見て、自分で感じたものでなければ得られないものだ」ということでした。
最近、「かつての巨匠」が作る雑な映画が、その「雑さ」故にシュールに見えてうんざりすることが多かったのですが、本当の芸術は一瞬の才能の閃きによる奇跡か、積み重ねられた超人的緻密な努力かは分からないにせよ、隙のないものではなくてはならないのだと改めて思いました。
まだ結論は早いですが、近年ナンバーワンの作品です。面白いかと言われたら微妙ですが、とにかく圧倒されました。
生みの親を自分のように蘇生させなかったのは、ベラの優しさなのかな。
しかし、エマ・ストーン、こんな作品によく関わったよなぁ…。でも、この役に文字通り体当たりでぶつかった彼女に世界の矛盾と対峙する勇気を感じました。
アートな映画
感想をどう表現したら良いのか??奇妙でサイコなファンタジーなんだけど、嫌な感情は湧きませんでした。
鑑賞の途中からタイトルの哀れなるものが、登場人物のうち誰のことなのか考えていますが未だに答えが分かりません。私から見ると、狂気だけどハッピーな人達ばかり出てきます。翻弄されたり振り回されたり…でも哀れというより、自分に正直に生きてる人達です。
エマストーン演じるベラが成長する過程は、危なっかしいけど逞しい!ちゃんと子供から大人になっていくのが分かります。あのラ・ラ・ランドのキュートな女優さんと同一人物とは思えません。
あと、時代設定がよく分からないけど、建物や背景や小物まで美術館のような映画です。ストーリー抜きにして、それだけをよく見るためにもう一回見てもいいかなって思うくらいでした。
世界観が独特で好き嫌いは分かれそうだけど、私には良い映画でした。
すごい
・正直なところ、ストーリーの設定から美術から没入感は凄かった。ベラの変化と社会の関わりという印象でテーマとかが全くわからなかった。あそこの世界と現実とを繋げて考えられず、遠くの世界の話って感じで見たせいだろうか。ググったりしてたらフェミニズムらしくて、そうだったのか…といった感覚。娼館に神父や父親と息子二人とか。逆だったらダメだけど、男はそういうのいいんだよみたいなのがそういうことなのか。そう思って振り返るとなんだか考えさせられる。もう一度見る機会があったら、理解できるだろうか…エマ・ストーンはとても良かった。
・胎児の脳をその母親の死体に移植してどうなるかっていう話が驚いた。その成長速度がめざましくて、何となく成長を見守ったような気になった。やっぱ脳みそも大きくなっていったのかなぁとか思った。
・弁護士の執着と将軍の冷酷さとゴッドの顔と実験への姿勢のすさまじさの印象が強い。フェミニズムという話を踏まえて考えると確かにそういわれてみればという感じ。弁護士の醜態が所々でくすっと笑えた。そういえば三人とも外にでないようにと言っていた。弁護士に関しては会食の際にセリフは三つだと言っていた。あれは男の愚かな所有欲を揶揄してたんだ!と気づかなかった。男ってああいうもんだよな程度だった。自分の感受性のなさが切なくなった。
・豚とアヒルだったかの繋げてた生物の絵がおもしろかった。
・ベラが性行為をした瞬間、モノクロがカラーに変わって、そこから世界が一変した表現の感覚がすごいなぁと思った。あれは女性のほうがピンとくるんだろう。徐々に大人の体になってってという所をすっ飛ばして大人の女性にっていう感じが正直どんな感じなんだろう。ベラはとても感動していた。幸福を見つけた!っていう。それが何だか面白かった。どういう事かはわからないけど、気持ちいいから良いことだ!っていう事かと。
・ベラの行動がとにかく読めなかったのがよかった。結婚が決まっているのに公然と駆け落ちしていって、ひたすら熱烈ジャンプをしたかと思ったら船に乗せられた辺りから悲しみや理想を知って、急激に大人になっていって結婚式の時は将軍の家に行くっていうし。
ただ、高評価の作品だったので良さが理解できなかったことが切ない。
エマ・ストーン
同監督の『ロブスター』がキライで、予告で知ったクセのある世界観も、どうかな…と思いつつ、
好きなエマ・ストーンが出てるって事で、1週遅れで観賞しました。
R18になってたけど、エマの、ガッツリのヌードや、けっこう激しいカラミありで、体当たりの演技。
エマは、この映画で主演女優賞を獲得したみたいです。
『ラ・ラ・ランド』や『アメイジング・スパイダーマン』のエマが好きな自分にとっては、複雑だけどね…(笑)
フランケンみたいなウィレム・デフォーとか、アヒルみたいな犬とか、ゲテモノ系を感じますが、
ゲテモノ系に見せかけて、キチンとメッセージあります。
一般的には、まあ面白いんだろうけど好みじゃない(笑)
70~75点ぐらい。
※原作は小説みたいだけど読んでません。
現代の大人達の、ためになる御伽話
人間の生き様を最大級のエンタメで魅せてくれる大傑作。最初から最後までオシャレ!キレイ!コスチュームが特に素敵で、背景も合わせて色合わせしている感じ。2時間超えの長編だけど、体感時間は45分くらい。赤ちゃんから成人女性まで演じきったエマストーンが凄いわけだけど、ウィレムデフォーに釘付けだった。あとマークラファロとエマストーンのダンスシーンが最高だった。あのシーンだけでもまた見たい。ヤギ男で終わる最後もシュールで面白い。最高。
自由で自立したお伽噺的女性を描く映画
エマ・ストーンの演技力が凄まじかった、幼児、思春期、成年期を一人の女性が演じ分ける力の凄さだけでも一見の価値あり
ただし、作品テーマのため、裸、セックス等の性的シーンが多いため、苦手な方は要注意、不快感で後味が悪くなる。
他の魅力としては、主人公の服が、前衛的なオサレドレスで、衣装が変わる度に、その美しさで目を楽しませてくれる。アート、ファッション好きにも◯
これも作品テーマのため、解剖シーンも頻繁にでてくるので、グロ系苦手な方も避けたほうがいいかも。
この映画のテーマは自由で自立したお伽噺的女性を描くことで、女性の自由や自立とは何か提示しているのだろうが、見る人によって、その提示に対する評価は大きく異なると感じた。
また、作品の素材としては、アルジャーノンに花束を的なものであり、既視感かあるが、それらを吹き飛ばすほどの、エマ・ストーンの演技力が見どころに結局尽きる。
特に胸に残るものがない
どんな映画なのか前情報を入れずに見に行ったので、上映中も着地点がわからず結構もやもやと変なストレスを抱えたまま見続けました。別にストーリーとしては難解なものでもないですが、この映像や世界観をまるごと愛せる人だったらおもしろい映画と言えるのではないでしょうか?エログロが過剰に思えたし、終わってみても特に何か考えさせられるものもないし、また見たいとは思えなかった映画でした。多数の受賞も、、、まあ、わからなくはないのですが、好き嫌いでいったら嫌いに傾きますね。
ちなみにデートムービーではないので、お気をつけください。
メアリーの総て
19世紀のゴシック小説「フランケンシュタイン」を下敷きにその作者メアリーと父母(父はアナーキズム、母はフェミニズムの先駆者)へのオマージュ作品である。ストーリーもさることながら魚眼レンズやぶっ飛んだ美術など映画の成しえる非日常的リアリティを野心的に詰め込んだこれぞ映画で、2時間ちょっとの間は日常を全て忘れてどっぷりと暗闇のスクリーン世界にいざなっていただける。アカデミーの作品賞と脚本賞、エマ・ストーンの2度目の主演女優賞、マーク・ラファロの助演男優賞は決まりだろう。事前に聞かされていたのと自分がもうゴッドウィン同様の老いぼれなのでそこまで抵抗はなかったが、性交シーンがあまりに多すぎるのがちょっと問題である。明らかに必要ないカットとそのものずばりを描写する必要が無いと思われるシーンが幾つかあった(それは放蕩弁護士とのパートで)と思う。後半の娼館での描写はもちろん必要なのだが…。ハリウッドを支配するポリコレへの挑戦なのか皮肉なのかあるいは優等生のできすぎやりすぎなのか、そのテーマがあまりに広く深く誰もが正面から向き合って来なかったが故に多種多様な物議を醸す今世紀の最重要作となることは間違いない。
自由への成長
とんでもなくクレイジーな映画だが、物語が進むほどに観るものを深淵に誘っていくような重厚感をまとった作品でもある。
まずベラの誕生が衝撃的だ。
冒頭で彼女は橋の上から身を投げるのだが、天才外科医のゴッドウィンによって彼女が身籠っていた胎児の脳を移植され蘇生する。
身体は成人だが心は生まれたままの状態であり、生前の記憶は一切ない。
ゴッドウィンの助手を務めるマックスは彼女の美貌に一目惚れし、やがて結婚を申し込む。
ベラの成長速度は凄まじいものがあるが、彼女は自分の欲求にとても忠実だ。
特に性欲に目覚めた彼女の行動はストレートだ。
ゴッドウィンはそんな純心でもあるベラを守るために、彼女を家の中に閉じ込めている。
しかし彼女は外の自由な世界を見てみたいという衝動を抑えられなくなる。
そして彼女の前に放蕩者であるダンカンという弁護士が現れ、彼の魅力に惹かれたベラはマックスの制止を振り切って駆け落ちをしてしまう。
ダンカンに誘われてベラはリスボンやパリといったヨーロッパの町を冒険していく。
最初は行く先々で自由奔放に振る舞うベラ。
彼女には社交的なルールなど通用しない。
しかし彼女はダンカンを振り回しながらも、様々な経験を通して急成長を遂げる。
初めは奇抜な世界観は面白いものの、この作品は何を語りたいのだろうかと考えさせられた。
彼女が船上でマルサという老婦人と彼女に付き従うハリーという青年に出会ったあたりから、これは純心なベラの姿を通して描かれる人間の愚かさの物語なのだと考えさせられた。
まだ心が子供のままのベラは、人間の様々な機微を察することが出来ずに浮いてしまっている存在だ。
しかし彼女が知識を蓄え、様々な視点で物事を捉えられるようになってからも、彼女の存在は相変わらず浮いたままだ。
そして気付かされる。
おかしいのは彼女ではなく、他の人間たちなのではないかと。
彼女は飢えのために死を待つだけの貧しい人たちの姿を見てショックを受け、彼らに施しをしようとする。
しかし彼女の真心は悪意ある者によって踏みにじられる。
そしてベラに有り金全部を持っていかれたダンカンは、真冬のパリの町で彼女を口汚く罵る。
ベラは自分の力で生きていくために娼婦として稼ぐことを決める。
最初は遊びのつもりでベラを連れ出したダンカンが、完全に彼女の虜になってしまうのも滑稽だ。
これは女性をあたかも自分の所有物であるかのように傲慢に振る舞う男たちの醜さを描いた物語でもある。
ダンカンは自分の意にそぐわないベラを最後は憎しみの目で見るようになる。
自分の知的好奇心を満たすためにベラを生み出したゴッドウィンもまた傲慢な存在だ。
しかしゴッドウィンがいなければベラの自我が芽生えなかったことも確かだ。
そしてベラは最終的には完全にゴッドウィンの手を離れ、自立した女性として生きていく。
ベラの誕生はかなり現実離れしたものではあるものの、彼女の生き方は人間の本質を表しているのではないかと思った。
人は誰もが自由であり、誰かの所有物ではない。
そしてお互いをリスペクトし合うことで人間関係は育まれていくべきものだ。
悪夢のようでもあり、コメディのようでもあり、ファンタジーのようでもある。
ゴッドウィンの屋敷を走り回る胴体と頭がちぐはぐでグロテスクな動物たちの存在も強烈だった。
ベラの成長を通して見せる世界の不条理
予告編から気になっていたのが流れる音楽。ちょっとずれた音程で奏でられるこのメロディだけでも本作の不思議な雰囲気を十分に感じられる。
近未来っぽいのに中世っぽくもあって、ファンタジーな世界。死亡して間もない女性の遺体に、その人の胎児の脳を移植するというトンデモ設定だからこんな雰囲気の世界にしないと受け入れられない(この世界観でも受け入れられない人はいるだろうけど)。
トンデモ設定だけど、実は一人の女性の成長物語となっている。序盤のベラは脳が幼子なので、残酷で倫理観がなく無礼で本能に忠実だ。とても動物的とも言える。そこからいろんなものを覚えて成長していく過程が面白い。そうだよな、体が大人なんだからセックスを覚えてしまうとあんな感じになってしまうのもわかる。エマ・ストーンの体当たり演技がすごかったし、あんなに見せてるのになぜかエロくはなかった。あの世界観のせいかもしれない。
なかなか不思議でなかなかの冒険物語。ベラという女性を通して見せる世界の不条理はちょっと笑えて結構考えさせられる。予告編を見てイメージしていたよりもはるかに面白い映画だった。
期待度◎鑑賞後の満足度⭐ 最高❗久方ぶりに映画館で👏してしまった。或る意味で映画を変えたと言っても良い傑作。今、この映画に出会えて幸せだ。
※2024.02.04. 2回目の鑑賞【サンシャインシネマ大和郡山】
※2024.02.07. 3回目の鑑賞【ユナイテッド・シネマ橿原】
やはり並外れてユニーク(規格外)でありながら、ほぼ完璧な(フローレスな)映画世界を構築している。
※2024.03.03. 4回目の鑑賞【なんばパークスシネマ】
原作を読んでからの鑑賞。原作も摩訶不思議な小説ながら、そこから本作の様な脚色をしたのも凄いと思う。かなり大胆に手を加えていながらも原作のスピリットは損なわれていない。
どちらが好きかと言われると、私には珍しく映画の方が好き。
①先週投稿したレビューが何故か消えていたので再度投稿しま~す。(意図的に消されたのであれば何故かは何となく分かるので今回はもう少しお上品に…)
②ヨルゴス・ランモンティス監督作品と言えば、
哀れなるものとは?
覚えきれない程の名言の数々
物語を追って140分あっという間だった。
生き方の参考になる映画
定期的にリピートしたい作品。
哀れなるもの程、哀れなる事がわからないのだろう。
人間という生物と哲学のお話。
コ、コ、コ、コメディ?!?!
邦題「哀れなるものたち」ってちょっと重くない?
私的には原題の「POOR THINGS」の方がしっくり来た。
公開から少し経ったからか、観客が少なかったので定かではないが。。
私だけずっとクスクスしていた気がして自分の感性を疑った('◉⌓◉’)
へへへ( ̄∇ ̄)
さてさて。
本作についてまずビジュアル面での見所が多い事について触れたい♪
美術や音楽が魅力的で、目も耳も喜んだ!
私が特に目を奪われたのが衣装!
衣装デザイナーのホリー・ワディントンの仕事っぷりがお見事です!
アカデミー賞・衣装デザイナー賞ノミネートも納得!
大げさな程のパフスリーブのショートジャケット、床掃除しまくりの超ロングドレス、ゴージャスなフリンジの付け襟?ケープ?が最高に可愛い。
冒頭のブルーのドレスの青!イエローのミニボトムの黄色!何とも言えぬ美しさ!
その色彩の豊かさ、全てのルックをカラーで見たくなった。
豪華なレースやフリルをふんだんにあしらった数々の衣装!
まるでハイブランドのランウェイを見ているかの様でワクワクした。
男性陣も抜かりなく、中でもゴッドウィンの帽子とコートがレバー色?臓器色?なのがイカしてた٩( ᐛ )و
かなり感激!興奮しました。
そして音楽の使い方も、その時々のベラの心を内を代弁しているかの様で効果的だった。
あのダンスシーンも怒りの感情だけでなく、優雅で不気味で楽しくて激しくて甘くて恐ろしいBGMがとてもマッチしていた。
今後語り継がれる名シーンになるだろう。
冒頭モノクロから始まり、ベラの成長を通して徐々にカラーになっていく演出も奥深〜い!
ベラの世界が広がっていき色付いていく事とシンクロしていて素敵だった。
時折り挟まれる魚眼レンズを通して、世界を歪んで見ているのは誰?と問われている気さえした。
ヴィジュアル面でもかなりのインパクトがあったが、お話しもぶっ飛んでいた。
青いドレスの女性(ヴィクトリア)の人生の終わりから始まる物語。
と、同時に新たな命《ベラ》が始まる物語でもあった。
ヴィクトリアのお腹の傷と共に、ヴィクトリアの人生はベラによって生き直される。
「体は大人、頭脳はベイビー」
無敵ベラちゃん(エマ・ストーン)
その成長過程において「なになに期」
「なぜなぜ期」が訪れる。
(私も子育てで頭を悩ませた)
これは何?あれは何?
なんでなんで?どうしてどうして?
どうして外に出てはいけないの?
なんで性は恥ずかしいの?
結婚って何?
生まれた時から隔離され、社会の異端のベラ。一般的な価値観という概念が無い無垢なベラ。
既存のルールに対する疑問が湧き上がる。
そして、自分で考え純粋に
「こっちの方が良いのでは??」と提案する。
何にも囚われていないベラだからこそ、偏見や差別など無しに行動して行く様が危なっかしいのだが、爽快でもある。
そして「なになぜ期」は型にはまった人間
(私)にとっては実に面倒臭く、時に鬱陶しい。
本作でもベラの問いに「そういうものだから」「ルールだから」と答えベラを型にはめようとする男たち。
男たちの都合よく解釈されたその
「世界のルール」を押し付ける。
男たちはベラを型に押し込めようとするのに、そこから飛び出しているベラに惹かれて行くのも滑稽だ。
ダンカン(マーク・ラファロ)が
最高ww
「なになぜ期」を経て「自分でやってみたい期」のベラは更にパワーアップして正に体も頭も全部使って冒険を続ける。
そこで、男女や貧富の差、偏見、慈愛、束縛、支配、幸せ、解放、様々な事を体験する。
偏見から解き放たれたベラは解放の喜びを知り驚く程に成長していく。
ベラの善意から無一文になった2人はパリに辿り着く。
「良識なんて知るか!」と豪語していたモテ弁護士ダンカンは何も出来ず文句と泣き言ばかりなのに対し、ベラは逞しい。
敢えて批判を恐れずに書こう。
(いや、やっぱり。ゆきはおそれている)
ベラはお金を得るために売春宿で働く。女って。。。すごいな。。って思いました。
男だったらあの状況下でこんなにスムーズにお金を得る手段はあるだろうか。。
しかし、気に食わないダンカンはベラに屈辱的な言葉をぶつける。
「自分で働いて、稼いでいるのよ」
ぐぅの音も出ねぇ〜(°▽°)
正論だ。誰も何か言う権利はないのだ。
雪玉を投げるしか出来ないダンカン。。
チーーーン(°▽°)(°▽°)
そしてベラはゴッドウィンの元へ。
自分の生まれた意味を知り、そのアイデンティティを受け入れる。
(ヴィクトリア)
それが出来たのはゴッドウィン(ウィレム・デフォー)の愛が伝わったからだと思った。
色々アウトなのは確かだが、結局父性に溢れていたんだと思った。
ウィレム・デフォーはその存在がもう実在するゴッドウィンだった!
ずっとベラを心配しながら待っていた、婚約者なのかも不安だったマックス(ラミー・ユセフ)ww
彼の大きな愛は、どんなベラでも受け入れる覚悟を見せた。
きっとベラは本当にマックスを愛する事になるんじゃないかな〜と思った。
ラストは皆んな幸せそうで(アルフィー(クリストファー・アボット)もあの方がきっと幸せw)で、ハッピーエンドかな??
とは言え、
ベラを通して自分の欲求を満たしたい
4人の男(andハリー)
(ジェロッド・カーマイケル)
哀れなるものたちは男だね( ̄∇ ̄)
久々にかなりのインパクトがある新作でした。多くのメッセージが見てとれ風刺も効いていた。
エマちゃんのセックスシーン多い問題は、私は気になりませんでした(^。^)
だってそここそがかなりのテーマ性を含んでいますもん。
船上で出会ったご婦人
(ハンナ・シグラ)存在が神!
私も彼女の様な、成熟した大人の人間になれる歳の重ね方をしていきたいな〜と思いました
٩( ᐛ )و
確実に。映画館で観るべき作品です。
ただの存在として
ジェンダー、女性の生きにくさを描いた作品は昨今、とても多い。
バービーはまだ見ていないが、幾つか見てきた中で本作が一番バランスよく鮮やかだったと絶賛したい。
だいたいグロ、悲惨、痛い、鬱々していただけに、いけいけベラ、どこまでも!
と爽快だった。
色々な現実の側面をいい具合に寓話化。
ンなあほな的SF、ファンタジー要素で美しくかわしつつ直球勝負が見事だった。
ゴッドがベラを実験対象としてのみ期待していた、
女として、子供としてはなく、ただの存在、肉塊として、
それがベラの自己肯定感を爆上げしたような気がしている。
気負わない、縛られることのないベラ、あるがまま、飾り、飾られないベラ、最強。
おかげで巷にありがちな男女の立場の逆転はちりばめられると、
特に船旅パートなど、痛快も一周回ってコメディーでさえあった。
R18だが、かつてなくいやらしさはない。
内へとジクジク掘るではなく、外へ外へ、全てを飲み込むエネルギーに満ちていた本作、エマがとにかくカッコいい。
惚れた。
飲み込んで来た側の人にはきっと、不快だと思うけれど。
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