「原作未読。 レイブラッドベリ、萩尾望都の「びっくり箱」、山下和美の...」哀れなるものたち まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
原作未読。 レイブラッドベリ、萩尾望都の「びっくり箱」、山下和美の...
原作未読。
レイブラッドベリ、萩尾望都の「びっくり箱」、山下和美の「ランド」、古きはフランケンシュタインなどを彷彿とさせる。
タイトルは「哀れなるものたち」。
人間に最も必要なものは憐憫の情。それが無いと、外見は人間でも中身は化け物みたいな生き物になってしまいます。人間を人間たらしめているものは他者を哀れむ心。そう、必要なのであって備わってるわけじゃない。
さて、そこで作品をどう鑑賞したらいいのか…戸惑いました。ベラが船旅の途中で、貧しい子供たちが固い地面で寝ているのを見て、可哀そうだと涙するシーンがあります。私はこんなふかふかのベッドに寝ているのに、と。そういう非常に豊かな感情が彼女に発露するにはあまりにも展開が唐突過ぎて、自分としては序盤でスーッと冷めてしまいました。身の毛もよだつ、あの狂ったおぞましい成育環境で、外を旅して読書したくらいでそんな感覚育たないぞ。いくらハイスピードで成長しているとはいえ色々雑過ぎんか。ああ…私の心が全然ついて行かない(涙)物語の進行上、必要な展開なんでしょうけども。
こういう作品でそんな風に引っかかってしまうのはナンセンスか。
私が女だからなのか、違和感もありました。ベラが旅先で泥酔して道端に寝ていても誰にも襲われないし、旅に誘った男もベラをなぶり殺しにしない(ある意味まとも)、ゴッドもベラを切り刻むけど性的なことはしない、助手をしていたフィアンセも「性交渉は結婚してからですョ!ダメダメ!」という超マジメ君。性に関しては奇跡的な治安の良さと環境に恵まれている。物語の便宜上そうなのかもしれないけど、実際は女に生まれついたってだけであらゆるハイリスクを背負う宿命をもつので、もし女性の自由とか解放云々いうならそこらへん全く触れないのはどうなんかな、とは思いました。
登場する男たちが軒並みしょうもない感じでしたが、最後にベラも彼らとおんなじ事してて(自分の思い通りにならない元夫にヤギ脳を移植とか)、それじゃ結局同じ穴のムジナじゃん!今までのなんやかんやをどうしてくれるんだ⁈という気持ちになりました。なんなんだ、こりゃ。
キリスト教的タブーの話は、他の方のコメント読んで学びました。なるほどね…!!ぜんっっぜん気付きませんでした。そうか、それでベラは突然食卓でリンゴを…(ゴニョゴニョ)
でも、そう言われれば随所にありますねー。私は全体的にベラが痛々しいと感じてしまって作品としてはあんまり好きな部類ではないけど、映画って色々あって面白いですね。