「素晴らしい映像化」哀れなるものたち kazasikiさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい映像化
映画を見てすぐに、なんだか凄く納得がいかない、とてつもない消化不良を起こしているような気持ちになりました。
この気持ちを落ち着かせるために、帰りのバスの中で原作小説の電子版を買い、家についた後も一心不乱に最後まで読みふけってしまいました。
この感想は、原作小説まで読み終わった後に書いているものです。
この映画は素晴らしい映画です。映像表現の美しさ、主人公ベラを演じるエマ・ストーンの怪演、独創的で豪華な衣装、凝ったメイクやセット、良いところを挙げればきりがありません。
「哀れなるものたち」という題が何を示すかについて、映画を見た人と原作小説を見た人でかなり印象が異なると思います。自分は映画だとしっくり来なくて原作だとしっくり来ました。
自分がこの作品で一番気に入ったポイントは懸命に生きる人達の生き様を軽快な笑いに変えていることです。作中の登場人物を「馬鹿だなぁ」と笑い、しかしそのすぐ後に、似た愚かさが自分の中にもあるということに気づき、そこはかとなく嫌な気持ちになる。その一連の流れが堪らなく良いのです。
映画が気に入った人は原作もオススメです。恐らく吹き出して笑ってしまうと思うので、公共の場で読むのは控えたほうが良いでしょう。
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