「隙のない完成度の高さ」哀れなるものたち helio624さんの映画レビュー(感想・評価)
隙のない完成度の高さ
前評判通り、難解かつエログロナンセンスなもので、思いっ切り観る人を選ぶ作品です。
無垢な主人公ベラがシュールな冒険を通じて一人の人間として成長し、自立して行く過程をやたら丁寧に描く、非常にシュールな映画でした。正に自分探しの旅。まぁ、探すにも他にやり方があるだろうと思いながらも納得するしかない自分がいました。
極端過ぎるものではあるけれども、女性の置かれた現状を敢えて歪んで表現することでリアルに描こうとしているように受け止めました。あらゆるものから自由になるのは難しい。
「時計仕掛けのオレンジ」が悪を描いているならば、本作は似た世界観で善を描いているような感想です。
無茶苦茶な世界観なのに彼女の成長がとても丁寧に描かれていて、やはり感銘を与える仕事は隙のないものなのだということを改めて思わされました。
とにかく映像表現が素晴らしいです。ベラの心の動きとリンクしてる。
受け取ったメッセージを一言で表現すれば、「本当の人生や本当の自分は、他人の価値観ではなく、自分の目で見て、自分で感じたものでなければ得られないものだ」ということでした。
最近、「かつての巨匠」が作る雑な映画が、その「雑さ」故にシュールに見えてうんざりすることが多かったのですが、本当の芸術は一瞬の才能の閃きによる奇跡か、積み重ねられた超人的緻密な努力かは分からないにせよ、隙のないものではなくてはならないのだと改めて思いました。
まだ結論は早いですが、近年ナンバーワンの作品です。面白いかと言われたら微妙ですが、とにかく圧倒されました。
生みの親を自分のように蘇生させなかったのは、ベラの優しさなのかな。
しかし、エマ・ストーン、こんな作品によく関わったよなぁ…。でも、この役に文字通り体当たりでぶつかった彼女に世界の矛盾と対峙する勇気を感じました。
コメントありがとうございます!
脳の話、僕もそう思ったんですよ。でも違って。色んな世界を自らの目で見て、怒りや悲しみや愛や赦しや、それらを乗り越えた答えなのかな?なんて思いました。
こんにちは。
とても読み応えのある素晴らしいレビューでした!
ゴッド博士を自分の様に蘇生させなかったのはベラの優しさ。。
なるほど!そうかもですね。
私は鑑賞中、アルフィーにゴッドの脳を入れるのかと思ったのですが、まさか!のラストでビックリしました
(^。^)